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遺跡の壁画

中に入っていきなり目に入る物がある。


「・・・まさかの、いきなり下り階段っす・・・」


「・・・ま、まあ、構造上仕方ないのかも知れないんじゃないかな・・・」


ピラミッドという構造上、頂上に近づくほど内部が狭くなるのは自明の理だろう。当然、頂上の入り口から入ってきた場所も、大したスペースは無い。


「まあ、ある程度は予測できてただろう?それよりも気になる物があるだろうが」


階段もそうだが、気になるのはその奥にある壁、いや壁に描かれた画だ。より正確には石壁に彫られた壁画、だが。


「いかにも古代の壁画って感じっすねー。子供が二人、手を繋いでるっすね」


「ああ、場所から考えても誰なのかは言うまでもないな」


伝説にある二人の幼い兄弟、後に【剣鎧王】と【拳武王】になる子供たちだろう。二人の子供は背の高さが若干違う。背が高い方が兄の方なんだろう。だが、壁画という性質上なのかは二人の姿は大分簡略化されているようだ。衣服や髪型、顔は同じに見える。


壁画は気になるが、この場所には他に何も無いようだ。【邪霊】が出てくる気配も無い。と、いうわけで順番に階段を降りていく。内部の下り階段は途中で踊り場がある折り返すタイプの階段のようだ。そして階段の側面や踊り場には壁画が彫られている。


「こっちの壁画は背の高い方の子供が剣を構えていますね」


「こっちは背の低い方がモンスターみたいなのを殴ってる画っす」


下に降りるにしたがって壁画の内容が変化して行く。どうも兄弟の成長を描いているように見えるな。兄弟がモンスターや大人の人間を倒す様、大勢の人間に混じって修行する様、一方は鎧を、一方は道着を着る様、大勢の人間に混じって巨大モンスターと戦う様、などなどだ。


「まるで成長記録だな。・・・いや、ここが墓だとなると人生記録か」


多分だが降っていくにしたがって子供たちが成長していき、亡くなるまでの光景が延々と続いていくのではないだろうか。


「・・・そういえば、普通に明るいですね。もう外の光なんか届かないくらいまで降りてきたと思いますが・・・」


「ああ、分かりにくいがかすかに周りの壁が光っているみたいだ。外とほぼ変わらない明るさだな。仕組みはよく分からんが」


ゲーム世界の不思議設定ってことじゃないか?


「・・・解析完了。コノ遺跡ハ【精霊】ノ力ヲ吸収シ、蓄積スル【レイタイト鉱石】デ構成サレテイマス。コノ遺跡ニ生息スル【精霊】ノ力ガ蓄積サレ、発光シテイル模様デス」


・・・おお、カイザー。解析能力まで手に入れていたのか。しかもさらっと新しい鉱石の名前まで。恐るべし、【クランメカロイド】。


「ふむふむ。じゃあ、少なくとも遺跡の中で光源の心配は要らないわけだな」


なんて言ってると急に真っ暗になるトラップとか出てくるかもしれないけどな(笑)


「・・・にしても【邪霊】が出てくる様子が無いっすねー」


先ほどからひたすらに下へ下へと降りて行っているが、相変らず階段と壁画が続いていくだけである。唯一救いなのが、壁画の内容がどんどん変わっていくのでまったく変化が無いわけではない、という所だ。


ちなみに壁画に描かれている二人の兄弟は、立派な青年となっており、勇ましく戦う描写が増えてきている。


「こうも何も起きないと退屈になってくるっすー。・・・おお?」


アシュラが愚痴り始めた傍から変化があった。もう何段目かわからない階段を降りたところに扉が出てきたのだ。


「・・・ようやく起こったな、変化。さてはて何が出てくるのやら」


全員に目配せをして準備万全な事を確認した上でアシュラに目線を送る。アシュラはコクリと頷くと、両開きの扉を開いていった。


・・・


「・・・ふむ、今度はそう来たか」


扉の先は非常に広い空間となっていた。戦闘する分には何も問題ない広さだ。そしてそれを証明するかのように部屋の中心には案の定、【邪霊】たちが待ち受けていた。


【剣の中級邪霊 Lv.37】

理性を失った剣の中級精霊


【槍の中級邪霊 Lv.37】

理性を失った槍の中級精霊


【斧の中級邪霊 Lv.37】

理性を失った斧の中級精霊


【弓の中級邪霊 Lv.37】

理性を失った弓の中級精霊


レベルは外にいた奴らとほとんど変わらないが、今度は【中級邪霊】になっている。それが四体。


「・・・今度は量より質で勝負ってことか?」


よく見ると各々が持っている武器がゴージャスな感じになっている。さしずめ遺跡を守る番人、その中ボスといったところか。


「・・・襲ってこないですね。僕たちを待ち構えてるんでしょうか」


あちらさんからもこちらを認識しているはずなのだが、向こうから襲ってくる様子が無い。かといって素通りさせてくれるって感じでもないが・・・


「騎士道精神でも持ち合わせてるとか?もしくは逃げるなら逃げても良いよ、ってことかもな」


「・・・むー!ボクたちを舐めてるっすねー!!」


・・・いや、アシュラ。今のは俺の考えであって本当にそうか分からないからな?そんな怒るところでもないだろうに・・・やれやれだ。


「・・・外のヤツラと同じように連携してくると考えると、1対1でバラけさせた方が良いな。・・・剣の奴は俺が相手をするから、アスターは槍の奴、アシュラは斧の奴、カイザーは弓の奴の相手を頼む」


「分かりました」


「はいっす!!」


「了解デス」


「アーテルとミコトちゃんは後方支援と回復をよろしく」


「クルッ!」


「あい!」


・・・さてそれぞれ役割が決まった所で、【中級邪霊】たちに近づいて行く。やはり予想通り、俺たちを待ち構えているらしく、ある程度まで近づくと武器を構えだした。それを確認した所で、俺たちも突撃して行く。奇襲に近い形で仕掛けた事で、それぞれ目論見どおりにバラける事ができたのだった。


俺の前には【剣の中級邪霊】が剣を構えている。心なしか、外にいた【邪霊】よりも良い構えをしているように見える。しかし、俺は外でやったように無防備に近づいて行く。そして同じように相手の剣を受け止める。


・・・今度は多少なりともダメージがあったな。それにこのパワー・・・


俺が考えている合間にも【邪霊】は攻撃を繰り出してくる。今度は受けずに避ける・・・のだが、ただの斬撃のなかに、重い攻撃、素早い攻撃などが混ざっている。


やはり、間違いないな。【邪霊】は口がないからか、喋らないが明らかに()()()()使()()()()()。【パワースラッシュ】に【スピードスラッシュ】・・・俺も使っていたスキルだ。


だが、それだけでは驚くには値しない。【剣術】のスキルなら敵だったカイザーも使っていたからだ。武器を使ってくる時点で、スキルを使ってくることは予想できていた。そして・・・


「【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!」


【邪霊】の剣を避けると同時に一気に加速して敵の懐にもぐりこみ、


「【バスタースラッシュ】!!」


【豪剣アディオン】で【剣の中級邪霊】を剣ごと真っ二つにした。


「【剣術】の初歩的なスキルを使うくらいじゃ俺には勝てないさ」


さて、俺のところは早々に終わったが、他はどうかな。


「【グランディスバンカー】セット、ハンマー、アクティブ!」


カイザーが腕に装着したパイルバンカーを構えながら【弓の中級邪霊】に突進していく。


「クラッシュ!!」


ドゴッ!という強烈な音と共に【弓の中級邪霊】の弓が砕け、共に消えいく。カイザーも余裕だったな。・・・そこは「打ち抜く!」じゃないのか。・・・俺が偏ったセリフしか教えていなかったせいだな。反省・・・反省?・・・反省だな


さてはて、アスターとアシュラはどうなってるかな。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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