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剣の精霊

引き続き、ジャングルの中を探検中です。


なお、アシュラが後ろで、アニキ怖い、アニキ怖いとブツブツ呟きながら付いてきていますが決して気にしてはいけません。


俺たちは道中、襲ってくる【邪霊】たちを撃退しつつ、かと言って深追いもせず、順調にジャングルの奥地を目指していた。


「かつてないくらい順調に進んでいますね。・・・夢みたいです」


・・・それはどういう意味で言っているんだい?アスターくん?俺が頼もしいって意味かい?それともアシュラに苦労させられてきたって意味かい?・・・後者だろうな。


「そいつは重畳。所でアスターはミコトちゃんとの【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】を使わなかったな?やっぱり制限の関係か?」


「あい?」


自分の名前が出たからだろうか、ミコトちゃんが首をかしげながらこちらを見る。なお、彼女は【成体】化したアーテルの背に乗って探索を満喫している。


「あーい♪あーい♪」


「クール♪クール♪」


と大変ご機嫌そうで何よりです。かわいい。


「ええ、今の僕たちでは20分くらいが限度でしょうね。一応、LPミドルポーションも作って来ましたけど、数に限りがありますからね。いざって言う時に取っておかないと・・・」


「まあ、そうだよな。・・・今なんて言った?」


ミドルポーションを作った、だと?普通に買い揃えようとしたら高くつくミドルポーションを?・・・ポーションの原料を畑で作っていたのは見たが・・・ミドルポーションも作れる、だと?


「・・・どうしたんですか?アルクさん、目がお金マークになってますよ?」


「いや、別に・・・え?お金マーク?」


バカな・・・この俺がそんなベタベタなリアクションを・・・するわけ・・・ないじゃ・・・ないか。


「どうしたんですか?アルクさん、なんだかどんどん目が鋭くなっていくみたいですけど」


「いや、気にするな。PvPを仕掛けて根こそぎ奪おうなんて思ってないから」


「・・・」


距離を取られた。冗談が過ぎたらしい。・・・ホント、冗談だから。


「あう!!」


「クル!!」


ん?なんかミコトちゃんとアーテルがなんだか騒いでるな。というか、いつの間に、そんな先に進んでたんだ二人とも。


急いで二人を追っかけると、そこにあったのは・・・


「・・・あったな」


「ありましたね」


「やけにあっさり見つかったっすね」


その場所は大きく森が開け、広い空間に巨大なピラミッドのような石が積まれた山のような遺跡がそこにあった。ピラミッドの前面は階段になっており、頂上付近に入り口らしき物が見える。これは・・・そう、メキシコにあるマヤ文明の遺跡みたいな感じだ。


だが、それよりもまず気になる事がある。


「妙だな。昨日、上空から見たときはこんな場所は無かったはずだ。これだけの巨大な建造物を見逃すはずはないと思うんだが・・・」


「そうっすね。ボクも昨日は距離的にもこのあたりまで余裕で来てたと思うっす。でも昨日はこんな場所、全然見つからなかったっす!!」


ふむ、俺もアシュラも昨日は発見できなかったのに、今日は発見できた。と言うことは・・・


「となると、何かのトリガー、いえ、フラグが立ったということでしょうか?」


まあ、そういうことなんだろうが、フラグとなると・・・


「『剣鎧王と拳武王の伝説』か」


「ああ、なるほど。その伝説を知っていることが条件と言うことですか」


もっと厳密に言えば他にもあるのかもしれんが・・・俺たちは情報系クランじゃないし、今は良いや。後でアスターたちと相談して、情報を【インフォガルド】あたりに売りつけよう。検証はお任せで。


「まーまー、そんな細かい事は気にしないでさっさと行く「カチャ」・・・前にちゃんと注意して行かないといけないっすよね!!」


・・・良かった。アシュラもちゃんと学習していた。俺は抜きかけた銃をしまった。・・・アスターが、猛獣の躾け方がどうこう言っているが何のことだろう?ボクワカンナイ。


何はともあれ、せっかく遺跡に辿りついておいて帰るなんて選択肢は無いので、用心深くピラミッドの方へ進む。・・・遺跡とは言っているが、道もピラミッドも異様に綺麗だ。朽ち果てている様子が無い。もうこの時点で異常なことが分かる。そして・・・


「お?」


道の途中に剣が落ちている。装飾も何も付いていないごく普通の片手剣だ。


「何でこんな所に落ちてるんすかね?誰かの落とし物っすか?」


無用心に落ちている剣に近づいて行くアシュラ。すると・・・


「うひゃあ!!」


アシュラは思わず悲鳴を上げて飛びのいた。それもそのはず、剣がひとりでにふわあ、と宙に浮かび上がったのである。宙に浮かんだ剣は刃をこちらに向けると、剣の柄の部分から白いモヤのような物を放ち始めた。そのモヤはやがて人のようなシルエットとなる。その様は剣を構えている人間、いや、ゴーストのようだった。


「アスター!アニキ!!幽霊っすよ!幽霊!!」


「そんなわけあるか。【看破】して見ろ」


【剣の邪霊 Lv.35】

理性を失った剣の精霊


これが武術系の・・・【剣の邪霊】か。人型のモヤのようなシルエットはこれまで出てきた【邪霊】と同じみたいだが、剣は本物のように見える。・・・剣が本体で、体はおまけみたいな感じか?


「あー、びっくりしたっす!でもとうとう見つけたっす!武術系の【精霊】!!まずはボクがお相手するっす!!」


「待てや」


「ぐええッ!!」


再び突っ込もうとするアシュラを俺が引っ張り、以下略。


「なにするっすか!アニキ!!」


「さっき出番は譲っただろう?今度は俺が行く。お前は引っ込んでろ」


驚愕の表情を浮かべるアシュラ。ようやく、さっき俺が出番を譲った理由を思い知ったようだ。良かったな、一つ勉強になって。


しぶしぶ下がるアシュラに変わって俺が前に出る。


まずは様子見。無遠慮に近づく俺に対して、切りかかる【剣の邪霊】。ガキンッ!と鎧の腕部分で剣を受け止める。ダメージは・・・ほぼ無いが、今のは間違いなく()()()()だった。剣を受け止めつつ、空いた方の手で白い人型のモヤに対して殴りかかる。


しかし、空気を殴るかのように手ごたえが無く、俺の拳は素通りしてしまった。ふむ、体の部分は他の【邪霊】と一緒か。物理攻撃は効かないようだ。だが剣の方には()()()()()()()


ふむふむ、大体わかったな。最後に俺は【豪剣アディオン】を抜く。


「俺の名はアルク!【邪霊】を絶つ剣である!!」


・・・一度は言ってみたかったセリフである。アスターくんはやれやれと言った感じで見ているが、俺は割りと満足である。


惜しむべきは相手の【剣の邪霊】はこちらの言う事を理解していないようだ、ということだ。俺のセリフに構わず剣を振りかぶってくる。


俺は【剣の邪霊】が剣を振るうのに()()()()【豪剣アディオン】でなぎ払う。ぶつかり合う剣と剣だったが、【剣の邪霊】の剣はいともたやすく真っ二つとなった。


同時に【剣の邪霊】のHPが0になったようで折れた剣も白いモヤも消えていった。やはり剣のほうが本体か・・・今のは魔法を付加していない、単純な物理攻撃だった。それでも【邪霊】を倒すことができた。つまり、これが武術系の【精霊】との戦い方、ということだろう。


ちなみに【収納箱(アイテムボックス)】にはドロップ品として【折れた剣(精霊) ☆6】が入っていた。・・・これも後でガットに渡しておくか。あいつも興味あるだろうし。


・・・あ、しまった。倒した時の決めセリフを忘れてた。


「お疲れさまっす!アニキ!!余裕でしたっすね!!」


「武器を破壊する事で倒すことが出来る【精霊】ですか、なるほど」


戦いが終わったと見て近寄ってくるアシュラとアスター。なお、ミコトちゃんを乗っけたアーテルは万が一に備えて上空に避難してもらっている。なんせ・・・


「今のを見て倒し方が分かっただろう?んじゃ、本番と行こうか」


周囲にはいつの間にか、槍、斧、短剣、弓などを構えた【邪霊】たちに囲まれていた。


「・・・そうですね」


「望むところっす!!」


二人ともやる気マンマンらしい。良いことだ。


さあ、ショータイムだ!!


・・・なんつって。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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