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アスターの実力

===移動===>エリア3 ジャングル


はい、とういうわけでやって参りました。ジャングルです。


歩けば数日、飛んでも数時間かかる距離でも【転移装置(ポータル)】なら一瞬です。一家に一台、是非欲しい!!無理?・・・今後の科学の発展に期待だな!頑張って!科学者の皆さん!!(人任せ)


さすがにジャングルの中は歩きにくいが、数々の森を制覇してきた俺に死角は無い!・・・え?よく森に行くなって?・・・気のせいだ。


「お?早速出てきたな」


【雨の中級邪霊 Lv33】

理性を失った雨の中級精霊


人型の水の塊のような姿だが、雨粒のような水の粒を周囲に纏っている。とりあえず一体だけのようだ。


「早速出たっすね!行くっすよー!!」


早速、アシュラが突撃しようとしたが・・・


「待てや」


「ぐえッ!!」


アシュラが着ている道着の襟元を引っ張って抑える。なお、その際、首が絞まったようだが気にしてはいけない。


「けほっ!けほっ!な、何するんすか!?アニキ!?」


涙目で抗議してくるアシュラを無視してアスターを見る。


「アシュラの実力は昨日ので分かったから、今度はアスターの実力を見せてほしいな」


【ファームエルフ】という謎の種族・・・生産向けらしいからもしかしたら戦闘が苦手なのかもしれない。・・・畑を耕す姿からはそうは思えないが・・・この際だからアスターがちゃんと戦えるのかを見ておきたい。


「・・・わかりました」


そんな俺の考えを察したのだろう、アスターは特に反論もなく前に出る。なお、アシュラはぶーたれているが無視だ。


「【暗黒の大鎌(ダークデスサイズ)】!!」


アスターが叫ぶと、その手に漆黒の大鎌が現れた。物理的な武器ではない。柄の部分から刃の部分に到るまで全て真っ黒だ。


「・・・あれは?」


「魔法で作りだした武器っす!あれで攻撃すると魔法攻撃判定されるので【邪霊】にも有効っす!!」


ぶーたれていたアシュラがいつの間にか俺の横に立って解説してくれる。なるほど、魔法で作り出した武器か。【精霊界】では下手な武器を装備するより有効かもしれない。


・・・それはいい。


何でデスサイズというものをチョイスした?


他に無かったのか?デスサイズって死神が持ってる大鎌のことだよな。見た目、そのまんまだし。


「ほら、農業って雑草を刈るときに鎌を使ったりするじゃないっすか。丁度良いって言ってたっすよ?」


それは草刈り用の鎌のことだろう!お前の持ってるのは死神の鎌だ!!


「ハッハッハー!行くぞオラァ!!」


武器を持ったアスターは案の定、攻撃的な性格へと変貌し、【邪霊】に突進していく。その様は、正に死神のよう・・・アイツ、【生命の精霊】の主だよな?


「あーうー!!」


当のミコトちゃんといえば、アスターの後方で、がんばれー!と言わんばかりにちっこい握りこぶしを上空に向けている。・・・あの子はやっぱり、アスターの豹変については気にしないようだ。


しかし、行動を起こしたのはアスターの方が早かったが、攻撃を仕掛けたのは【雨の邪霊】の方が早かった。【雨の邪霊】が掌をアスターに向けると、周囲に浮かんでいた無数の雨粒がアスターに向かって、弾丸のように打ち出された。


「クッ!!」


アスターは回避しようとするが、なにぶん数が多く、広範囲にわたる攻撃だったためもろに食らってしまった。なかなかのダメージを受けたようだ。


「ミコト!頼む!!」


「あい!!」


アスターの声にミコトちゃんが応えると、ミコトちゃんも掌をアスターに向けた。途端にアスターの体を淡い光が覆い、ダメージが回復していく。さすが【生命の精霊】、回復が早い。


「ありがとう、ミコト!・・・よっしゃ行くぞ!!」


あ、今一瞬、元のアスターに戻った。アシュラは武器を持つと性格が変わると言っていたが、どうも苛烈な性格になるのは敵に対してだけらしいな。普段おしゃべりな奴が戦闘になった途端、急に無口になって黙々と戦闘を行うタイプの奴がいる。あいつはその逆のタイプか。


もしかしたら案外、気の小さい自分を奮い立たせるためにわざと乱暴な言葉遣いになっているのかもしれないな。どちらにせよ、おもしろキャラであることには変わりないが。


「おりゃああ!!」


そうこう考えている間に、【雨の邪霊】の間近にまで接近していたアスターが、手に持ったデスサイズで切り裂く。消えていく【雨の邪霊】。どうやら終わったらしい。魔法攻撃力も中々の物のようだ。


「・・・ふぅ。どうでした?アルクさん」


右手にデスサイズ、左手にミコトちゃんを抱っこして戻ってくるアスター。武器を持ったままだが、やはり何時ものアスターだ。苛烈な性格になっても敵味方の区別はあるようだ。誰にでも噛み付くバーサーカーにはなっていないようでなにより。


「・・・ああ、問題はないんじゃないか?」


そのデスサイズ以外は。


【生命の精霊】と死神の大鎌・・・おまえは生と死の管理者でも目指してるのか?


「良いなーっす、アスターは。ボクも活躍する所をアニキに見てもらいたいっす!!」


・・・そしてなにやらずれた事を言っているアシュラ。俺たちが何しに来たのか忘れてない?


「・・・そこまで言うのなら出番をやろう」


「え?」


疑問符を浮かべるアシュラに俺がある方向を指差す。そこには昨日、俺に雷を食らわせてくれた【雷の中級邪霊】ご一行がこちらに近づいてきていた。


「あれをアシュラに任せる。ただし、昨日みたいにはぐれるなよ」


アシュラはキラキラした目を向けながら応える。


「わかったっす!見ててくださいっす!!【魔闘技:拳火】!【魔闘技:脚風】!!」


昨日やったように手足に魔法を纏い、突進していくアシュラ。【雷の邪霊】たちも雷を撃って迎撃しようとしてくるが、アシュラのスピードに追いつけていない。


「踏み込みの速度なら負けないっす!!」


アシュラがなにやら聞き捨てならないセリフを口走りながら【雷の邪霊】たちに接近して行く。


「!?・・・あの野郎!」


「ど、どうしたんですか、アルクさん!?」


「よりにもよって、俺よりも先に俺の押しキャラのセリフをパクリやがった!!」


「・・・」


なんという屈辱!・・・隣でアスターが呆れたような目を向けているが気にしない。


「わおわおーんっす!!」


意味不明の言葉を叫びながら【雷の邪霊】たちを蹂躙していくアシュラ。だが・・・


「あの野郎!またやりやがった!!」


俺の心は怒りと屈辱にまみれていたので気にならなかった。・・・え?なんのキャラのセリフだって?それは自分で調べてみよう!!


「・・・アルクさんのキャラがよく分からなくなってきました。・・・って!アシュラ!?」


嘆いていたアスターの視線の先を見ると、案の定、戦闘に夢中になって【雷の邪霊】を追ってジャングルの奥に向かおうとするアシュラの姿があった。


俺は咄嗟に【グランディスマグナム】を構え、実弾モードで発射した。


パーーーン!!


「・・・」


「・・・」


「あい?」


凍りついたように体が固まったアスターとアシュラ。そして不思議そうに俺の持つ銃を見るミコトちゃん。


「・・・え?今撃ちましたよね?味方に向かって撃ちましたよね?」


恐々としているアスターに対して応える。


「大丈夫、当ててないから。ホラ、アシュラの直ぐ横にある木に当たってるだろ?どのみち、このゲームではフレンドリーファイアはないから大丈夫さ」


そう言って、いまだ固まって動かないアシュラに近づいて行く。


「・・・アシュラ?俺がさっき言ったことをもう忘れたのか?」


「い、いいえっす・・・」


なぜか変なポーズのまま硬直しているアシュラ。そしてなぜか汗がダラダラと出ている。


「・・・昨日、勝負に勝った俺との約束覚えているよな?」


「も、もちろんっす・・・」


約束とは俺とアスターの話をちゃんと聞く、と言う内容だ。言外に人の話をちゃんと聞いて一人で突っ走るな、ということでもある。


「・・・二度までなら許そう、三度目は・・・無い」


仏の顔も三度まで、と言うやつだ。


「イ、イエッサーっす!!!」


ビシっと美しい敬礼姿を見せてくれるアシュラ。うん、どうやらちゃんと伝わったようだ。これだけ言えばもう大丈夫だろう。


・・・なお、決して、お気に入りのセリフをアシュラに取られたなどと言う私怨は入っていないことを付け加えておく。

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