今回は・・・
===移動===>エリア2 上空
俺はアーテルの背に乗って【世界樹】近くの集落からまっすぐ南下して現在、エリア2の上空を優雅に飛行していた。
上空から見た感じだが、どうも【精霊界】というのは様々な自然環境が色々混じっているように見える。
エリア0は【世界樹】を中心に森が広がっている。この森、よく見ると葉が緑色の区画、黄色の区画、赤色の区画と色とりどりの大変ユニークな森だった・・・あの水色だったり紫色だったり青色だったりする木は何て名前なんだろうか?
なお、この森は【鎮守の森】と呼ばれているらしく、立ち入り禁止だそうだ。立ち入ったら・・・ガーディアンに追い出されるらしい。・・・すごい気になるがいきなりこの世界にケンカ売る勇気は俺にはないのでしばらくは立ち入らないつもりだ。・・・絶対とは言っていない。ガーディアンも見てみたいしな。
その【鎮守の森】の外周部分に様々な種族が暮らす集落や畑が広がっていた。ギルドや喫茶店があったのもその内の一つだな。畑に関してはNPCだけでなくプレイヤーも購入可能らしい。実際、何人かのプレイヤーが作業していた。・・・あの野菜の数々が手に入るのなら一考の余地有りだな。どれだけ手間がかかるか分からんけど。
そしてその外周部分のさらに外に向かっていくと、不自然に環境が切り替わる場所がある。集落や畑が続いていると思ったら急に森になっていたり草原になっていたりする。この不自然に途切れている環境の境目のところがエリアの境目になるらしい。
エリア1に入ると草原や川、森がドーナツ状に広がっているという微妙に不自然な場所になっているが、そのさらに外側に、今度はエリア2の山や谷、岩石地帯などが見えるようになる。やはりドーナツ状だ。そして、現在俺たちが居る場所だな。
そして遠めに見えるエリア3は砂漠やジャングルのような物が広がって見える。もしかしたらエリアを進むごとに厳しい自然環境になっていくのかもしれないな。
・・・簡単に言ってはいるがドーナツ状に広がっているエリアの一つ一つの幅は数十キロ単位の広さがあるからね?エリア一つとってもどんだけあるんだか・・・横断するだけでもアーテルが居なかったら何日かかったか分かったもんじゃない。
一応、セーフティエリアと【転移装置】が各エリアに一定間隔で置かれているみたいだから、そこまで不便ではないのかもしれんが・・・大変なことには変わりない。
なお【精霊】だが、ここに来るまでに何体か見かけたが、水の塊だったり土の塊だったりする【邪霊】と違って、普通に人間っぽい外見だった。・・・宙にぷかぷか浮いているのを普通というのかどうか分からんが。あと火を纏ってたり髪が水だったり全身に茎が巻き付いてたりとかな。
それと性別や年齢はバラバラだった。小学生みたいな子供っぽい【精霊】も居れば受付のお姉さんのような大人の【精霊】もいた。外見の違いの理由は・・・よく分からないな。レベルによる物なのか最初に決まっている物なのか進化でもするのか。
あと【精霊】には普通に触る事も出来るみたいだ。物理攻撃はスカになるのに不思議だよな。そして【精霊】からの攻撃はすべて魔法攻撃になるそうだ。【水の邪霊】からパンチ?されて微々たるダメージを受けたが、それは物理ダメージではなく魔法ダメージだったらしい。
こうしてみると【精霊】の力っていうのは極端だ。物理攻撃に特化した武術クラスにはめっぽう強いが、魔法対策が万全な相手に対しては完封される恐れがある。そういえば【魔法界】に魔法が効かないモンスターがいたな。そういった相手は【精霊】の天敵なんだろうな。
そうなると【剣の精霊】や【銃の精霊】っていうのがどんな戦い方するのか気になるが・・・こればっかりは確かめるしかないか。・・・掲示板?情報クラン?・・・先に知っちゃったら楽しくないだろ?
「しっかし、見つかんないなー、遺跡。」
「クルルー。」
どこまで行っても自然が広がってるだけで人工物なんて微塵も見つからない。見つかるのは【邪霊】ばっかりだ。そいつらもレベルは低いし、レアでもないようだから無視するか、撃退するか、だが・・・
探し方が悪いか?まっすぐ南下してるから各エリアを横断している事になる。もっとエリアを一周するように探索すべきか。・・・時間かかりそうだな。
次のエリア3、4、5辺りを見て決めるか。理想としてはエリア5辺りでLv.50台の強力な【精霊】を【眷属】にする事だが・・・あまりに時間がかかるようなら後回しにしたほうが良いかもしれん。トーナメントに向けて時間も限られているわけだしな。
そういえばラングやガットたちも【眷属】選びにはかなり時間をかけていたな。自分の望みどおりの【眷属】とめぐり合うためには相応の努力の時間が必要ってことか。
・・・まあ、気楽に行こうか。縁があれば出会えるだろうし、縁がなければまた今度で良い。探す楽しみもあれば不意に出会う楽しみもあるだろう。我らが【アークガルド】のモットーは、無理せず楽しめれば良いんじゃない?だ。・・・今決めたけど。
・・・そういえば縁といえば・・・
「そういえば新しい世界に来ると大抵悲鳴が聞こえてくるよな。」
「クル?」
「ほら、【幻獣界】ではアーニャの悲鳴が聞こえてきたし、【機甲界】ではラグマリアにぶっ飛ばされた野朗どもの悲鳴が聞こえてきただろ?それが縁でアーニャやアヴァンとも知り合いになれたわけだし。」
「クルルー!」
まあ、悲鳴始まりの縁が良いのかって言われたが微妙だけど。少なくともアーニャもアヴァンも良い奴らで、良い出会いだったっていうのは断言できる。
「まあ、でも今回はさすがに無いだろうな。」
「クルル?」
「いくらワンパターンな作者でも毎回同じ展開なんて・・・」
「クルッ!クルッ!!」
「ん?どうしたアーテル?」
まさかメタ発言に危機感を覚えたか?・・・あ、もうエリア3に着くのか・・・え?違う?
「一体どうし・・・んぎゃーーー!!」
「クルルー!!!」
急によく分からない衝撃に襲われ、体が硬直する。体が痺れて上手く動かない。
アーテルの体に掴まっていられず、地面に落下する俺。幸い地面は平地だったが・・・
「クルー!!」
良かった。アーテルは無事のようだが・・・地面に倒れこむ俺。
わずかに動く目を動かして周囲をうかがう。そして見つけた。
【雷の中級邪霊 Lv.32】
理性を失った雷の中級精霊
人の形をした雷の塊・・・が集団で宙に浮きながらこちらを見ていた。
どうやらアイツラに雷を落とされたらしい。
全身が痺れているのはそのせいか。
おのれ作者め!
【邪霊】を使って俺に悲鳴を上げさせるとは・・・許せん!!
・・・嘘です。ごめんなさい。
だからこっちに来ないでくれる?【雷の中級邪霊】の皆さん。
俺、まだ痺れて動けません事よ?
ドナドナされる未来が俺の脳裏に浮かんだ。
「あ、あのー、すいません。大丈夫・・・ですか?」
そこに救いの声がかけられた。
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