邪霊との戦い方
===移動===>エリア1
俺たちは早速エリア1まで来ていた。そこで早速受け付けのお姉さんの言葉の意味が分かった。
【水の邪霊 Lv.3】
理性を失った水の精霊
目の前にいるのは【水の邪霊】である。その姿は・・・水の塊である。ただし、人の形をしている。人の形をした水の塊が襲ってくるというのは中々ホラーな場面だが、レベルが圧倒的に低いので大した問題にならない。問題なのは・・・
「よっ!はっ!せいっ!」
その水の塊にパンチしようがキックしようが何も効かないことだ。
「・・・!」
逆に水の塊が殴りかかってきたらダメージがあった。なんという理不尽。ダメージは1しか無かったが。
ちなみに今の俺は戦闘服以外何も装備していない。【攻鎧アルドギア】も装備していないので防御力は大幅に下がっているはずなのだがそれでもダメージ1である。インフレ万歳。
とはいえ、こっちの攻撃が効かないのは大問題である。試しに【豪剣アディオン】で斬ってみても同様である。文字通り水を斬っているようで直ぐにもとの形に戻ってしまう。地味にショック。
【豪剣アディオン】をしまって、今度は魔法で攻撃する。
「【ファイヤボール】!」
あっけなく【水の邪霊】を倒すことが出来た。やはり通常攻撃ではなく魔法攻撃でないと倒せないようだ。
「クルー!」
一方で【風の邪霊】と戦っていたアーテルが戻ってきた。やはりこちらも牙や爪で倒すことは出来なかったようだが、ブレスでは倒すことができたようだ。・・・ちなみに【風の邪霊】の姿は人の形をした竜巻?のような姿をしていてやはり、斬っても殴っても直ぐに元の形に戻っていた。
やはり単純な物理攻撃では駄目らしい。これ、武術系のクラスはお手上げってことじゃね?
「・・・お、また出た。」
今度は【土の邪霊】だった。レベルは同じ。はっきり言って雑魚ではあるんだが・・・今度は刀を二本取り出した。【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】である。レイドクエストの報酬で、とりあえず俺以外使わないそうなので俺が持っていることになった物だ。
「これで・・・斬る!・・・お!」
今度は倒せた。【霊刀ムラクモ】は聖属性、【妖刀オロチ】は呪属性が最初から付加されている。おそらく【邪霊】を倒すことが出来たのはこれのせいだろう。ということは物理攻撃でも属性を付加さえすれば倒すことが出来るということか。
その後も色々と試してみた。【豪剣アディオン】でも魔法属性を【魔法付加】すれば攻撃は有効、武術系スキルも同じ。無属性の攻撃は通常攻撃でもスキルによる攻撃でも効かない。
【邪霊】に有効な属性はそれぞれ異なり、水と火、風と雷、光と闇といった感じに反対属性が有効である。また・・・
「【風遁:鎌鼬】!」
刀を振ると同時に出た風の刃が【水の邪霊】を倒した。どうやら【忍者】系のスキルも有効のようだ。総合すると、属性攻撃しろ!ってことだな。・・・武術職オンリーだと厳しい世界だな。
よし、次の確認だ。・・・【土の邪霊】が出てきたな。こっちは人の形をした土の塊だな。
俺は【グランディスマグナム】を取り出し、まずはバレットモードで実弾で撃つ。 【土の邪霊】の体に穴が空くが・・・直ぐにふさがった。やはり実弾も物理攻撃認定のようだ。では続いてエナジーモードでエナジー弾を撃つ。・・・今度は穴が空いてもふさがらないな。エナジー系の攻撃は魔法攻撃扱いだからか【邪霊】に対しても有効なようだ。最後にバスターモードで【土の邪霊】を吹き飛ばす。
どうやら兵器も効く効かないがあるようだが、まったく効かないということは無い様で安心した。攻撃手段が限られてしまうが、俺も他のクランメンバーも【精霊界】でも問題なくやっていけるだろう。
「・・・このくらいで良いか。確認したい事は確認したし、戻るぞ、アーテル。」
「クル!」
俺はアーテルの背に乗り、【精霊士ギルド】へ戻る事にした。・・・討伐数?30体近く倒したからもう十分だぞ。
===移動===>【精霊士ギルド】
「はい、クエスト達成です。それではこちらが【契約】の【技術巻物】になります。」
『【眷属クエスト 精霊士ギルド入会試験】をクリアしました。』
【技術巻物】を使ってスキルを覚えてギルドでやることはとりあえず終了だな。
この後は・・・やはり強力な【精霊】を【眷属】にしたい所だ。問題はどこにどんな【精霊】が居るのか、なんだが。
「・・・すいません、【精霊】が居る場所について教えてもらえますか?」
「【精霊】は基本、自分の環境にあった場所に居ますよ。【木の精霊】なら森の中に居ますし、【水の精霊】なら川や湖にいます。まあ、中にはあっちこっちふらふらしている【精霊】や場所なんてお構いなしに暴れまわっている【邪霊】もいますが。」
なるほど、まあ、これは概ね予想通りだ。問題なのは・・・
「では【服の精霊】や【剣の精霊】なんかは?」
「勿論、【服の精霊】は服屋に、【剣の精霊】は武器屋にいますよ?」
・・・え?そんな感じなの?もっとこう、激闘の末に、とかいう感じじゃないの?
「ああ、街の中にいる【精霊】たちは生産系が得意で戦闘はあまり得意ではありませんよ?戦闘が得意な者となると・・・遺跡を徘徊する【邪霊】を浄化し、【精霊】として【眷属】にするのが一番ですね。」
「遺跡?」
また、新しい情報が出てきたぞ。
「ええ、【精霊界】には豊かな自然と一緒に過去の遺跡や遺物なども残されているのです。そういった場所に打ち捨てられた武器や安置されていた武器が長い年月を経て【精霊】や【邪霊】になる場合もあります。そういった者たちは非常に強力で・・・挑むのは良いですが、十分に気をつけてくださいね。」
注意されてしまった・・・しかし、遺跡ねぇ。自然しか無い世界だと思ったが案外そうでもないらしい。おそらくこの世界はこの世界で歴史があるんだろう。
とりあえず、方針は決まったな。
魔法系の【精霊】も気になるが、俺としては【剣の精霊】や【銃の精霊】が気になる。もしかしたら【刀の精霊】とか【鎧の精霊】も居るかもしれない。
この世界を回りつつ遺跡探しとしゃれ込もうか。
だが、その前に・・・
===移動===>精霊喫茶【おもてなし】
「・・・美味い!!」
「クルー!」
俺たちは喫茶店でデザートを食らっていた。
メニューはキャロットケーキにオレンジジュースという、ザ・シンプルな品揃えだが、これまた美味い!!
くどすぎない甘み、体に優しい酸味・・・癒されるな。アーテルも興奮気味だ。
アーニャが作った料理と比べると・・・ちょっと劣るかな?という感じだが十分おいしい!お土産にすればきっと皆喜ぶに違いない。
ちなみにこれらの材料は【精霊ニンジン】に【精霊オレンジ】というド・シンプルな名前の野菜だった。これらも普通に店売りしていた。他の世界の野菜に比べるとかなりお高い高級品だったが・・・納得のお味である。【精霊界】は農業も盛んだとは聞いていたが本当らしい。
これらの野菜をアーニャが料理してくれたら一体どうなってしまうのか・・・今から楽しみである。
問題があるとすればやはり値段か。正直な所、レイドクエストの報酬があったからブルジョアな食べっぷりが出来るが、そう何度も続かないだろう。
それに数量も制限されていた。一人何個まで、みたいな購入制限がされていたので大量購入も出来ない。それなりに貴重な物のようだ。
アーニャが【精霊界】産の材料を使った料理はマーケットでも滅多に見かけないと言っていたが、確かにこれじゃあ数も揃えられないし、採算も取れないだろう。というか売るくらいなら自分で食ってそうだ。
おいしさには納得だが、おいそれと気軽には食べられそうも無い。・・・いっそ俺たちで農業をやってみるとか?プレイヤーが畑を買って農業を始めることも出来るらしいから、それも有りかもしれん。農業の事なんてまったく知らないけど。
まあ、それもおいおいだな。まずは当面の目的を果たそうか。
「よっし!腹も膨れたし、精霊探しの旅へとしゃれこもうか!!」
「クルー!!」
「・・・お客様、店内ではお静かに願います。」
・・・エルフの店員さんに怒られてしまった。
ごめんなさい。
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