閑話 運営室の疑念

===視点切替===>>Seven World Online 運営室

「お、とうとう【神々に封印されし魔物】がクリアされたか。」

「ええ、クエストの難易度もそうだけど、そもそも発見が難しいからね。正直、よく見つけたと思うわ。」

「プレイヤーが通常通るルートからかなり外れているからな。」

「【忍者】クラスと合わせて情報公開すると、結構な騒ぎになりそうだな。」

「ええ、でもクリアしたメンバーの中に【インフォガルド】のリーダーとサブリーダーがいるわ。問題ないように情報を拡散して行くでしょう。」

「【インフォガルド】か。あそこのクランなら中途半端な拡散の仕方はしないだろうな。」

「未だに、偽情報を出したり、情報を小出しにて揉め事になるプレイヤーがいるからな。この手の問題は運営としても判断が難しくて、通報されても対処が難しいからな。プレイヤー自身が問題なく拡散してくれるのが一番だ。」

「大丈夫でしょ。【インフォガルド】のリーダーはその辺りをわきまえているようだから。ただ・・・」

「なにか懸念でも？」

「最近、【インフォガルド】が次々新情報を出してくるから多少やっかむプレイヤーが出てきているのよ。正直そんなこと通報されてもどうしようもないんだけどね。」

「ああ、同盟の【アークガルド】が破竹の勢いで進んでいるからな。コイツラの装備と眷属見たか？もうトッププレイヤーのソレとほとんど遜色ないぞ。」

「ああ、特に装備は【アイゼンガルド】製で☆１２がほとんど。そりゃあ【神々に封印されし魔物】もクリアされるわな。」

「スキルもね。チケットを使って上手く強力なスキルを取得しているわ。まあ、三神社全て防衛できていたから、ヤマタノオロチのレベルも上がらなかったのも勝因の一つだけどね。」

「ああ、防衛状況によってボスのレベルが変動するんだったか。最大でいくつになるんだっけ？」

「Lv.85よ。神社一つを防衛するごとにレベルが１０下がっていくわ。」

「・・・前から思っていたけど、極端すぎないか？」

「防衛自体はそう難しくないからな。一度クエストをクリアすると、ヤマタノオロチのレベルが選択できるようになるし、Lv.85で挑戦するかどうかはプレイヤー次第さ。」

「推奨Lv.50以上って言うのも嘘じゃないしね。」

「サギっぽいなぁ。ってそういえば推奨レベルで思い出したんだが・・・」

「なに？」

「【ヤタガラス】だよ。なんであの時点で姿を現したんだ？【ヤタガラス】は条(・)件(・)を(・)満(・)た(・)し(・)た(・)プ(・)レ(・)イ(・)ヤ(・)ー(・)が(・)レ(・)イ(・)ド(・)ク(・)エ(・)ス(・)ト(・)の(・)発(・)生(・)ポ(・)イ(・)ン(・)ト(・)に(・)近(・)づ(・)い(・)た(・)時(・)に現れるNPCだろ？」

「ああ、確かノ(・)ー(・)ヒ(・)ン(・)ト(・)で(・)見(・)つ(・)け(・)る(・)の(・)が(・)難(・)し(・)い(・)ク(・)エ(・)ス(・)ト(・)の(・)ヒ(・)ン(・)ト(・)に(・)す(・)る(・)た(・)め(・)の【ヤタガラス】だったな。そういえば変なタイミングで出てきたな。あの時点ではLv.50以上のプレイヤーはいなかったし。プレイヤーを導くための【ヤタガラス】がなぜか、レイドクエストのポイントで待ち構えてたし。」

「そうだけど・・・【神々に封印されし魔物】は推(・)奨(・)レベルが５０以上だから厳密にLv.50以上と言っているわけではないわ。まあ、確かに変といえば変だけど・・・」

「まあ、問題があったわけでもないしな。結局【神々に封印されし魔物】もクリアされたわけだし。一応、開発部に確認して終わりで良いだろ。」

「そうね。確認しておくわ。」

「室長への報告は？」

「バグでなければ良いんじゃないかしら。管理AIも異常と判断していないわけだし。」

「それもそうだな。」

===視点切替===>>XXXXXXX

武術界総合管理AI【バトルーツ】より各世界管理AIへ報告

要注意プレイヤーの動向を把握、情報を発信。

人間界総合管理AI【ヒューザー】・・・受信。

魔法界総合管理AI【マジニック】・・・受信。

機甲界総合管理AI【ロボキナ】・・・受信。

幻獣界総合管理AI【イリュースト】・・・受信。

精霊界総合管理AI【スピアリー】・・・受信。

神仏界総合管理AI【ゴッダ】・・・受信。

情報を解析・・・終了。

【ヤタガラス】による接触に成功。

要注意プレイヤー及びその周囲の誘導に成功。

該当レイドクエストを確認。映像データの解析を開始。

神仏界総合管理AI【ゴッダ】より発信、該当レイドクエストに関して、関連する【神】が要注意プレイヤーに関心を示している模様。

人間界総合管理AI【ヒューザー】より発信、要注意プレイヤーは【神気】に対し、興味と警戒を示している模様。

要注意プレイヤーに対する危険度の増大を確認。対処の是非を請う。

人間界総合管理AI【ヒューザー】・・・対処が必要と判断。

魔法界総合管理AI【マジニック】・・・対処が必要と判断。

武術界総合管理AI【バトルーツ】・・・対処が必要と判断。

機甲界総合管理AI【ロボキナ】・・・対処が必要と判断。

幻獣界総合管理AI【イリュースト】・・・対処が必要と判断。

精霊界総合管理AI【スピアリー】・・・保留。

神仏界総合管理AI【ゴッダ】・・・対処が必要と判断。

６対１で対処を・・・

「おっとそこまでだ。彼(・)ら(・)に対する対処は必要無い。引き続き監視を継続しろ。」

人間界総合管理AI【ヒューザー】・・・許諾。

魔法界総合管理AI【マジニック】・・・許諾。

武術界総合管理AI【バトルーツ】・・・許諾。

機甲界総合管理AI【ロボキナ】・・・許諾。

幻獣界総合管理AI【イリュースト】・・・許諾。

精霊界総合管理AI【スピアリー】・・・許諾。

神仏界総合管理AI【ゴッダ】・・・許諾。

全世界の許諾を確認。

引き続き監視を継続。

「・・・やれやれ、みんな優秀だが・・・融通が利かないね。」