祝勝会
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おはようこんにちこんばんは。
本日は祝勝会という名のオフの日である。・・・ゲームの中でオフも何もないと思うが今日まで色々忙しかったので、今日はゆっくりのんびり休もうという日なのだ。
「チェックなのだ。」
「むむむ!・・・やるね、アヴァン君。しかし・・・」
「・・・む!そう来るのだ!?」
アヴァンとラングがチェスで対戦している。何人かの参加者でトーナメント形式で対戦して、最後に残ったのがこの二人だった。俺?・・・初戦でアヴァンに当たって負けましたが、なにか?
「クルッ!」
「ムム、効果的ナ一手ヲ計算中。」
直ぐ隣ではなんとアーテルとラグマリアが同じくチェスをしている。幼体のアーテルの見た目はちっさい馬なので、駒を掴む手がないので口でくわえて駒を動かしている。多少行儀は悪いがゲームの中なので勘弁して欲しい。
ちなみに現在、アーテルの方が優勢である。この勝負に勝ったほう、つまり【眷属組】1位と、アヴァンかラングのどちらか勝ったほう、つまりプレイヤー1位と対戦し、真の優勝を決める予定である。
・・・アーテルには是非、優勝して俺の仇をとって欲しい。
アーニャ、ロゼさん、ヴィオレは台所で料理中である。アーニャはいつもどおりとして、ロゼさんやヴィオレも【料理】スキルのレベリング中だというから驚きだ。正直、知的クールなロゼさんと男前な姉御のヴィオレにはらしく無いイメージだったんだが・・・食は人を変えるのかね。まあ、向こうは向こうで楽しそうにやっているから良いのだろう。
他の面子はといえば・・・
「やった!!ストライクよ!」
「むむむ!これで6連続ストライクですか。このままでは・・・」
「あらーん!アテナちゃん、じょうずー!!」
ボウリングを楽しんでした。
・・・ああ、言い忘れていたが俺たちがいるのは【アークガルド】クランホーム地下にある遊技場だ。ゲームセンターとも言う。対戦ゲーム、メダルゲーム、UFOキャッチャーなどが揃っている。
・・・そんな施設あったかって?レイドクエストのクリア報酬の金、さっそく使っちった。テヘペロ。宵越しの金を残さない男、アルクです。
まあ、冗談はさておき、かねてより狙っていた遊技場施設を買いに行った際、ボウリング場も追加できる事を知った俺は即決で衝動買いしてしまったのである。なお、他にもバッティングセンターやスケートリンクなども追加できるようなので今度狙ってみようと思う。
そんな分けで俺たちは早速遊技場で遊び倒している次第だ。
アテナやアルマ、他の【眷属】たち(とオカマ)が揃ってボウリングを楽しんでいる。ボウリングなら基本的にボールを転がすだけ(上手い下手は置いておいて)なので4足歩行のレオーネや鳥のフィオレでも何とか楽しめるだろう。
それにこのボウリング場、レーンを広げて数人で同時に投げたり、ピン数を百本にして倒した数を防いだり、自らボールとなってピンに突っ込んだりと、リアルではできない楽しみ方もできる。・・・最後のは楽しみではなくバツゲームのような気がするな。
まあ、みんなが楽しめれば良いのだ。
ちなみに俺はボウリングに参加していない。では俺は何をしているかと言えば・・・
「何人たりとも俺の前を走らせん!!」
「甘いわ!!」
「なに!なんてコーナリングだ!!」
絶賛レースゲームで対戦中である(笑)。ちゃんとハンドルとアクセル、ブレーキのついたゲームセンターでよくある車で対戦するあれである。
対戦相手はガット。抜きつ抜かれつの白熱したデッドヒートを繰り返している所である。・・・どこからか、ゲーセン行けよ、という声が聞こえてきそうだが、気にしない。
しかし、俺たちもただ遊んでいるわけではないのだ。
「・・・いよっしゃああ!」
「・・・クッ、ギアの切り替えをミスったか!」
勝負は辛くも俺の勝利。いやー、ギリギリの勝負だった。
「んじゃあ、約束どおり、次の装備製作の値引き宜しく。」
「ぬう、やむをえまい。」
ちなみにこの勝負は、俺が勝ったら装備製作の値引き、ガットが勝てば素材の無料進呈という、男の意地とプライドと金と素材を賭けた真剣勝負だったのだ。
「・・・へぇー。装備製作の値引き、ねぇー。」
・・・おや?いつの間にかヴィオレがガットの傍に来て、ガットの肩に手を置いている。
「・・・ガット、後で話があるんだけどねぇー。」
「う、うむ。」
そういえば、【アイゼンガルド】のサイフはヴィオレが握ってるんだっけ?・・・製作費を勝負で値引きとかしてたらクランの財政は成り立たなくなるだろうな。勝てば問題無いんだろうが・・・ガットのヤツが冷や汗をダラダラ流している。・・・なんか家の金をギャンブルですった夫婦みたいだな。・・・仕方ない、フォローしてやるか。
「ハッハッハ、残念だったな、ガット。せっかくヴィオレのために素材を手に入れようとしたのに!」
「・・・え?」
「お、おい、アルク。何を・・・」
二人が何か言おうとしているが、それよりも先に俺が言葉を繋ぐ。
「ま、素材はいつも通りの値段で売ってやるから、ちゃんと自分の金で買って、ヴィオレに買ってやれよ!」
「う、うむ。」
ガットは俺が挽回のチャンスを与えている事に気がついたのか、乗っかってくる。
「・・・本当なのかい?ガット?」
「も、もちろんじゃ。」
「・・・そ、そうかい。」
何故かヴィオレの顔が赤いような気がする。・・・何か別の爆弾を落としてしまったような気がするが、装備製作の値引きは撤回されなかったので、後はガットに丸投げ・・・任せよう。
「それでどうしたんだヴィオレ?上でアーニャたちと料理を作っていたんじゃないのか?」
「おっとそうだった。料理ができたからみんなを呼びに来たんだよ。」
どうやら料理ができたらしい。今日は特別なメインディッシュがあるからな。全員でもはや決まりのとなったホームの庭に移動する。
・・・アーテルとアヴァンがチェス名人のごとくにらみ合ってるんだが。背中に鬼神が見える。多少、躊躇したが、勝負は後からできると言って中断させた。・・・ラング、ブツブツ煩い。負けた試合の考察なら後にしろ。
全員で庭に移動すると、今までになく豪勢な料理が並んでいた。一昨日のカツ料理、昨日の和食フルコースも良かったが、今目の前にあるカレー、ピザ、寿司など様々な料理が並んでいるのも・・・良い!・・・なんか宴会ばっかりやっている気がするが気にしない。
「本当にワシらも参加して良いんじゃろうか・・・」
「良いんだよ!レイドクエストをクリアできたのも【アイゼンガルド】が作ってくれた装備のおかげなんだからな!!」
そう、レイドクエストに参加していなかった【アイゼンガルド】のメンバーがこの場にいるのもそういう理由である。ヴィオレやヒューナスは渋っていたが強引に連れ出した。引きこもっていたガットは、ヤマタノオロチの素材が欲しければ来い!とメールで送ったら直ぐに来た。
実際、ガットの作ってくれた装備、ヴィオレの作ってくれた戦闘服、ヒューナスのアクセサリーがなければ、即死亡していたかもしれない。俺たちがクリアできた一因は間違いなく【アイゼンガルド】なのは間違いない。故にこの場にいても何も問題ないのだ。
「さあ!メインディッシュなのです!!」
最後にアーニャが持ってきたのは・・・から揚げの山盛りである。しかし、ただのから揚げと思うなかれ、このから揚げは・・・レイドクエストのクリア報酬であるヤマタノオロチの肉のから揚げなのである!!
このゲームはモンスターのレベルが高いほどレアな素材をドロップし、レアであるほど食材も美味になるのだ。故にヤマタノオロチの肉も大変美味である事間違いなしなのだ。
・・・まあ、蛇肉なんて食べた事がないので若干不安であるが・・・
全員の目線が俺に集中する。まずはお前が食え!と。しかし、それは俺も望む所!俺は意を決し、から揚げを一つ、口に放り込む。
・・・ラーラー、ラーラー、ラーラーラー。
・・・ハッ!・・・なんか今、昇天しかけた気がする。言葉が出ない。出るのは涙とため息だけ。この幸福を再び、いや、何度もでも味わうために、ただひたすらに目の前のから揚げを口に放り込む。
そんな俺を見てか、全員がから揚げに手を伸ばし・・・
・・・ラーラー、ラーラー、ラーラーラー。
・・・みんな昇天しかけていた。
結局、この日も飲めや騒げやで一日中遊んで過ごしたとさ。
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