アークカイザー vs ヤマタノオロチ
アークカイザーの胸部が開き、操縦席が見える。
乗り込むのは・・・
「アテナ!アルマ!」
「ええ!」
「はい!」
乗り込むのは俺、アテナ、アルマの三人だ。これも事前に話し合っていた。アヴァンとアーニャは【眷属】の方が主力なので【眷属】と一緒に搭乗しないと十分に力が発揮できない。搭乗できるのは【眷属】を含めて6人までなので、事前に搭乗する組み合わせを決めていたのだ。今回は自分たちが主力の俺、アテナ、アルマが搭乗し、残りのメンバーは外で援護という形になる。なお、操縦は俺。
「さって、搭乗完了!ヤマタノオロチは・・・」
ヤマタノオロチは多少の傷を負っていたものの勢いは衰えていないようだった。眠りこけていた三つの頭も傷だらけではあるが完全に目を覚ましているようだ。
「僕の一番の魔法だったんだけど・・・ちょっとショックだよ。」
ラングの奴がインフォバルトスのスピーカー越しに遺憾の意を示す。ドンマイ。
「タフな奴ね。」
「ええ、ですが倒す糸口は分かりました。」
「ああ、【魔杖ブルーゼブル】をアークカイザーに装備、と。」
クランメカロイドは搭乗者の武装を巨大サイズで再現できる。威力も向上する。この状態で【スリープ】を使えば・・・と、思ったのだが・・・
「グギャアアアアアアアアアアア!!!!」
この日一番の咆哮が!怒ってらっしゃるね。そりゃあもう怒ってらっしゃいますね。なんかもう(16個ある)目が血走ってますもん。体から湯気まで出て・・・湯気?
・・・違う湯気じゃない。なんだあれは・・・黒い煙?いや・・・
「全員下がって!その黒い煙に触れちゃ駄目だ!!」
「緊急警告!速ヤカニ退避ヲ!!」
ラングとカイザーの声に全員がヤマタノオロチから距離を取る。黒い煙はヤマタノオロチから次々とにじみ出ていく。その煙に触れた樹海の木が・・・ドロドロに溶けた。
「これは・・・瘴気ってやつか?それとも・・・ガティアスか?」
「解析不能・・・正体不明デス。」
あの黒いのはガティアスに取り付かれた奴が発しているものに似ている。だが、今まではあんな風に物が溶ける事なんて無かったはずだ。
「両方かもしれないねぇ。めちゃくちゃに暴れまわってるし、ブレスを撃ちまくってるし・・・暴走しているようだね。」
ほとんど自然災害のように暴れまわるヤマタノオロチ。しかも微妙に移動してるし。このままでは【ツクヨミ神社】も忍の里も危ないな。
「黒いのはともかくヤマタノオロチ自体は【スリープ】で止められるんじゃない?」
「なるほど。【スリープ】!!」
【魔杖ブルーゼブル】をヤマタノオロチに向け、アルマの【呪魔法】を拝借して使用する。だが・・・
「・・・効かない?」
さっきは効いたはずなのに今度は眠りに落ちる様子が無い。一つの頭も。・・・怒り狂ってるせいか?
「いえ、【呪魔法】は遠距離になるほど効きにくくなるんです。もっと近づかないと効果がでないんだと思います。」
アルマが解説してくれているが・・・これ以上近づくと黒い煙に触れて溶けてしまうんだが?
「・・・こうなったら強力な遠距離攻撃であの黒い煙ごとやるしかないんじゃないかな。上手く行けばあの黒い煙も吹き飛ばせるかもしれない。」
「・・・それしかないか。アヴァン、アーニャ。みんなを連れて離れていてくれ。ただ・・・」
「分かっているのだ。何時でも攻撃できるよう準備をしておくのだ・・・ラグマリア。」
「了解。【グランディスチェイサー】変形・・・チャージ開始。」
「ブランちゃん、ノワールちゃん、アーテルちゃん、レオーネちゃん、フィオレちゃん、頼むのです。」
「クル!」「ガオ!」「ピュイ!」「キュイ!」「キュア!」
よし、みんあ退いてくれた。一方で俺たちはアークカイザーの武装を【紅弓レッドセラフ】に変更する。【紅弓レッドセラフ】を構え、
「【魔力強化】!さらに【大爆発】を【魔法付加】!!」
いつもはアテナが言っているセリフを俺が言う。・・・ちょっと新鮮。アテナが横で頬を膨らませている気がするが気にしない。よし、これで準備は整った!
「やれやれ、MPがギリギリだ。これが僕達にできる最後だよ。渦巻く風よ、轟く嵐よ、敵を微塵に切り刻め【風刃の嵐】!!」
まずはラングとインフォバルトスが再度魔法を仕掛ける。巨大な嵐がヤマタノオロチを包み込む。
「【ハイパワーアロー】!!」
そこへすかさず、俺たちが仕掛ける。巨大な弓から放たれた矢はヤマタノオロチに突き刺さると大爆発を起こす。
巨大な嵐と大爆発を食らったヤマタノオロチは・・・。
「ギィィィアアアアアア!!!」
満身創痍ながらもそこにいた。先ほどと変わらず血走った目×16がこちらを睨みつけている。・・・が。
「黒い煙は消えた!今だ!!」
即座に【魔杖ブルーゼブル】に持ち替えて接近し、
「【スリープ】!!」
ヤマタノオロチを眠らせる。今度は八つの頭全てが地面に倒れこんだ。
「みんな!!」
すかさずアヴァンたちに指示を出す。
「チャージ完了。【グランディスバスターキャノン】発射!!」
砲台から放たれた光がヤマタノオロチに突き刺さる。
「皆、行くのです!!」
「クルルルーーーー!!」
アーテルの【シャイニングフェザーインパクト】が、
「ガオオオオオオオ!!」
レオーネの【雷獅虎襲撃】が、
「ピュイイイイイ!!」
フィオレの【フレイムトルネード】が、
「キュイイイイイ!!」
ブランの【ホーリーノヴァ】が、
「キュアアアアア!!」
ノワールの【ダークネススキューア】が、
ヤマタノオロチの体に突き刺さる。
眠りこけていたヤマタノオロチはダメージを受け起き上がろうとするが・・・
「もう一度【スリープ】!!」
再度眠らせる。・・・鬼畜の所業?ほっといてくれ。さらにダメ押しに
「我が敵対者よ、凍れる時の中でその身、その命を散らしめよ【凍結氷山】!!」
ヤマタノオロチを氷漬けにする。・・・うん、鬼畜の所業だね。
「・・・はぁ、きついな。MPを一気に使い切っちまったぞ。お前達の魔法、燃費悪いな。」
「その分、強力でしょ?」
「それに、それはアルクさんも同じでしょう?」
・・・違いない。俺は最後に【豪剣アディオン】に持ち替える。
「・・・本当にこれで最後だ。」
というか、これ以上戦いたくねぇ。これまでの戦いで一番疲れた。
「・・・じゃあ、最後の一撃は二人もご一緒に。」
「ええ!?」
「・・・言うんですか?」
言うんだよ。俺は・・・アークカイザーは【豪剣アディオン】を振り上げる。
せーのっ!
「「「【勇天の一撃】!!!」」」
渾身にして最強の一撃を振り下ろす。
ヤマタノオロチは・・・氷の棺ごと・・・真っ二つとなって消えた。
『第2勝利条件をクリアしました。』
『レイドクエスト【神々に封印されし魔物】をクリアしました。』
参加メンバー全員の歓声が聞こえた。
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