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神々に封印されし魔物

なおも地面が揺れ続けている。不死山の火口からは黒い煙がもくもくと立ち上っている。その煙は黒い雲となって広がり、今にも空を覆いつくそうとしている。


噴火?いや、違う。


火口から黒い、巨大な何かが這い出てきている。不死山の麓から見上げているにも関わらず確認できるその巨体は、ゆっくりと時間をかけてその全容を現した。


ありえないほどの巨体、そして何より、蛇のように長い八つの頭。


『カラミティモンスター【ヤマタノオロチ】が復活しました。』


アナウンスと共に魔物の正体が判明する。・・・まあ、見れば分かるが。


「ヤマタノオロチか・・・ある意味予想通りだけど、あの巨体は予想外だよ。べヒーモスより大きいよね?あれ。」


簡単な目測だが、4足動物のような体の部分()()で軽く100メートル近くある。この時点でべヒーモスとほぼ同じ大きさだ。だがそれ以上に長い首をしている。蛇のような頭も結構でかい。


「べヒーモスの倍以上あるよな。・・・あの時は何人くらいのプレイヤーが集まってたんだっけ?」


「たしか300人くらいだったかな。」


対して今の俺たちはプレイヤーが7人に【眷属】が10体。・・・泣いて良い?


『【スサノオ神社】【アマテラス神社】【ツクヨミ神社】の防衛に成功しました。結界が発動します。』


呆然としている所に再びアナウンスが。・・・結界?


と疑問に思っていると目の前の【スサノオ神社】から光が。大きく光ったかと思うとその光はヤマタノオロチに向かって飛んでいった。よく見ると他にもう2つ、光が飛んできている。おそらく【アマテラス神社】と【ツクヨミ神社】からのものだろう。


3つの光がヤマタノオロチに直撃する。オロチは苦しげなうめき声を上げるが・・・なんなんだ?・・・あと、この距離でうめき声が聞こえるとはどんだけ声がでけえんだよ!


『三神社の結界の効果により【ヤマタノオロチ】のレベルが下がりました。』


【ヤマタノオロチ Lv.55】

???????????????????????


「・・・どうやら前半の防衛戦がここに繋がるみたいだね。」


「・・・てことは失敗してたらもっと高レベルだったってことか。」


下がってLv.55って・・・もし防衛に失敗していたらあいつのレベルはいくつになってたんだ?このレイドクエストってLv50以上推奨じゃなかったか?・・・いや、確かにLv.50以上ってことはLv.60もLv.70も含むんだろうけどさ。


「・・・考えている余裕は無いようですよ。ヤマタノオロチが移動しだしました。」


見るとヤマタノオロチはこちらに背を向けて不死山を降りるように歩き出している。あの方向は・・・


「【ツクヨミ神社】のある方向か!?」


「もしくは忍の里かもしれないよ。まあ、アイツの進行方向上にあるんだから一緒だけど。」


このままじゃやばいってことは嫌でも分かる。


「・・・行くぞ。総力戦だ。全員でアイツを倒すぞ!!」


「それしかないね。」


アテナたちにもチャットで伝える。


『わかったわ!』


『了解です!!』


これで全員がアイツの元に集結するはずだ。


「よし、行くぞ!アーテル、カイザー!!」


「クルッ!!」「了解デス。」


「僕達も行くよ。」


俺はアーテルの背に乗り、ラングたちの共にヤマタノオロチのもとへと急行した。


===移動===>不死山


ヤマタノオロチは既に不死山から樹海へと足を踏み入れようとしていた。・・・あのサイズと比較すると樹海の木が割り箸みたいに見えてくるな。現にアイツに踏まれてぽっきり折れてるし。


「我が敵対者よ、凍れる時の中でその身、その命を散らしめよ【凍結氷山フローズンアイスバーグ】!!」


「【グランディスバスター】発射。」


距離的にも一番近かったアルマたちが既にヤマタノオロチに攻撃を仕掛けていた。


・・・とりあえず足は止まったが・・・ダメージはあるのか?大規模な攻撃だと思ってきたアルマの魔法があの巨体と比べると案外そうでもないなと思えてしまうからあら不思議。


「グギャアアアアアアアアア!!!」


攻撃されて怒ったのか、八つの頭からそれぞれブレスを放ってきた。火、水、風、雷、氷、土、光、闇、八つの属性のブレスをそれぞれの頭から周囲に放ちまくっている。アルマたちは・・・どうやら避けられたようだ。


「俺たちも加勢・・・おぅわ!!」


加勢しようとした事でオロチからの攻撃を避ける。・・・尻尾だ。頭と同じく八つの尻尾を鞭のように振り回している。


「危ないな。サンキュー、アーテル。」


「クル!」


「八つの頭に八つの尻尾の怪物か・・・日本神話の八岐大蛇そのままだね。」


ラングが関心しながらスクショを撮っている。戦え、お前も。


「怒れる炎よ、渦巻く嵐よ、すべてを焼き払え【大爆発(エクスプロージョン)】!!」


「ブレスなのです!ブランちゃん!!ノワールちゃん!!」


「キュイ!!」「キュア!!」


おっとアテナたちも来た様だ。これで全員集合だな。


「俺たちも行くぞアーテル!【シャイニングフェザーインパクト】!!」


「クル!!」


「そして俺は【グランディスマグナム】バスターモード・・・シュート!!」


メンバー全員で攻撃を加えていく。タコ殴りである。


だが・・・


「・・・効かない?」


「いや、効いてはいるよ。よく見るとやけどや傷あとが残ってる。多分、HPが高すぎて大したダメージに見えないだけだと思う。」


「・・・となるとひたすら攻撃・・・おっと!!」


尻尾やらブレスやら合間なく攻撃してきやがる。しかもあの巨体の割りに素早い。


「うにゃー!」


「キュイイイ!」


「アーニャ!ブラン!」


まずい。ブランとその背に乗っかっていたアーニャが尻尾攻撃を食らった。吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「アテナ!ノワール!!」


「分かってるわ!」


「キュアアア!!」


アテナたちを救援に向かわせ、残りのメンバーで引きつける。


「・・・まずいね。ヤマタノオロチが移動し始めた。このまま【ツクヨミ神社】まで到達されたら厄介な事になりかねない。」


あまり考えたくないが三神社の力で弱体化しているヤマタノオロチだが、もし神社が一つでも破壊されてしまったら?・・・手に負えなくなるな。


「ここは出し惜しみしていられないね。バルトス!!」


「ハイ、マスター。」


「【メカロイド】になるんだ!!」


「了解デス。」


言うと同時にバルトスが光の粒子・・・ナノマシンを放出し始める。放出されたナノマシンは一箇所に集まり、巨体を形成して行く。


そして姿を現したのは水色を基準とした機械の巨人。【メカロイド】形態となったインフォバルトスだった。コクピットが開き、インフォバルトスに乗り込むラング。ロゼさんは今回乗り込まないで外から援護するとのこと。これは事前に話し合って決めていたことだ。もう一体のクランメカロイド、カイザーの出番はバルトスが戦った後だということも。


クランメカロイドは一騎当千だけど防衛クエストには向かない。どう頑張っても一箇所しか防衛できないからだ。だから、勝負の出しどころは間違えないように、だそうだ。増援や敵の能力を警戒しているんだろう。


だから強敵やボスが現れた時は、【インフォガルド】が先にカードを切る。トドメは【アークガルド】に任せるよ、だそうだ。・・・なに、そのイケメン発言。


「さあ、行こうか!!」


インフォバルトスからスピーカーを通してラングの声が聞こえる。その手には例の魔道書がある。


ヤマタノオロチも目の前に現れた巨人を無視できないようだ。インフォバルトスに八つの頭を向けて睨んでいる。


・・・巨大ロボット vs 大怪獣。


・・・燃えるな。


次回!インフォバルトス vs ヤマタノオロチ!!


なんつって。


作者のやる気とテンションを上げる為に


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