最後の準備
===ログイン===>【アークガルド】クランホーム
おはようこんにちこんばんは。
今日は明日に備えてひたすらレベリングを行った。無論無理のない程度に、だ。具体的には集めまくったアイテムを消費しすぎないように、だな。
長時間にわたるレイドクエストの場合、回復アイテムはいくつあっても足りないというのがラングの言葉だ。回復アイテム自体は普段から小まめに買いためてはいるのだが、今回はいつも以上に買い求めているので金欠気味だ。
だが、一度レイドクエストを受けると成功、失敗にかかわらず再度受注するのに1週間かかるのでできるだけ1度でクリアしたい。そのための準備を怠ることはできない。・・・消費した金の分だけ報酬に期待したいところだ。
そんなわけで各自レベリングを行った。その甲斐があってカイザー、アヴァン、ラグマリアを除いたメンバー全員がLv.50を突破した。カイザーは時間が短すぎることもあってLv.47で時間切れ、アヴァンたちは兵器開発で忙しかったのでレベリング自体行えていない。もう少し粘れたかもしれないが無理はしないことが前提だし、今更じたばたしても変わらないだろうということで、あとは本番でほかのメンバーがフォローすることにしよう。
「・・・で、そっちの準備はどうなんだ?アヴァン。」
「ばっちりなのだ!先ほど、ガット殿から出来立てほやほやの装備も貰ってきたのだ!」
【碧鎧グラングリン ☆10】
特性:DEF+280 MDEF+280 属性:土雷 損傷度:0%
SLOT1:--- SLOT2:--- SLOT3:--- SLOT4:--- SLOT5:---
ミスリルマーズ製のグリーブ、バンブレース、ブレストがセットになった鎧
製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可
アヴァン専用
アヴァンがガットから聞いた話によると【ミスリルタイト】と【マータイト】を掛け合わせると【ミスリルマーズ】になったらしい。防御力は落ちるがその分加工しやすく、SLOTも増えたらしい。兵器に転用したりギミックを仕込んだりと色々できそうだ、だそうだ。
俺たちの装備と比べると性能がいくらか落ちるのだが、それを補う兵器があるらしい(バリアとか)ので問題ないそうだ。
なお、ガットの奴は刀の研究で忙しいとのことで顔は見せなかった。健闘を祈る、という伝言だけ頼まれたそうだ。・・・また引きこもるつもりか、ヴィオレの苦労が見えるな。・・・俺たちのせいだけど。
アヴァンが作った兵器についてはテストがてら見せてもらったが・・・今は何も言うまい。ラグマリアとカイザーの武装は無事に強化されたと言っておこう。あとは本番での活躍をお楽しみに、だ。
そうそう、アヴァンが売り出したおもちゃ・・・【フロートボード】という空を飛ぶスノボーみたいなやつだがなかなか好評のようだ。物もそうだが実演した動画(主演、俺)がわかりやすいと評判らしい。様々な場所で【フロートボード】に乗ったプレイヤーが現れているそうだ。
本人も言ったように文字だけで説明されるより、PVのように実演して見せた方がわかりやすく、受け入れやすいらしい。おかけで【アークガルド】としての収入もウハウハだ。・・・今回はアイテム代に消えたけど。
また、これに触発されたのかは知らないが、アーニャも似たような事をやりだした。アテナとアルマがキャイキャイ言いながらアーニャの作った料理を紹介し、食べるだけの動画だ。・・・PVというよりCMみたいになってるが・・・これも好評らしい。おいしそう、食べたい、美人などなどのコメントが寄せられているらしいが・・・最後のは違うよな?
なお、CM第一弾は・・・1ホールのケーキだった。・・・もう俺は何も言わない。売り出した分が一瞬で売り切れた(結構な値段だったのに)らしいし、文句の言いようがない。
話が逸れたが、今日できる準備は完了、あとは明日を待つばかりである。と、いうことで・・・
「さあ!料理ができたのです!!」
必勝祈願というわけではないが、全員でホームの庭に集まって、決戦前に士気を上げるための宴である。目の前にはかつ丼、カツカレー、串カツなどなど・・・かつ料理が並んでいる・・・受験か!
「おいしー!」
ああ、最初の一口をアテナに取られた。俺も負けてはいられないとカツカレーにがっつく。・・・うまい。さすがアーニャ。・・・このカツは一体何の肉なのか気になるが・・・いや、気にしない。こんなにうまいんだからな!
「いやー、本当においしいね!」
・・・いつの間にかラングの奴が混ざっていたが俺はもう突っ込まないぞ。目の前の御馳走が最優先だ。
「ガツガツガツガツ。」
・・・おお、ロゼさんがいつものクールなキャラを忘れてカツにがっついている。あのロゼさんに我を忘れさせるとは恐るべし、カツ。
「・・・スバラシイ。ドノ料理モ本機ノデータベースニ存在シナイ味デス。計測不能。」
「アーニャ様ノ作ル料理ハドレモ至高ノ物ナノデスヨ。」
「賛同シマス。データデ測リ切レル物デハアリマセン。」
【インフォガルド】の【クランメカロイド】、インフォバルトスことバルトス君もラグマリアやカイザーと混じって料理を楽しんでいる。・・・この味がわかるとは高性能なロボットだ。・・・そしてその高性能なロボットでも測り切れないほどアーニャの料理はすごいのか・・・。
「美味い!美味すぎるのだ!!」
アヴァンよ、美味いのは分かるが、さっきから同じことばっかり言ってるぞ。天才だったらもう少しボキャブラリーを・・・
「いえいえ、この美味な料理の前に余計な言葉は不要ですよ。」
だからアルマよ、人の心を読むな・・・味噌煮込みカツ、だと!?いつの間に確保したんだ!俺にも寄越せ!!
「クルル♪」「がお♪」「ピュイ♪」「キュイ♪」「キュア♪」
アーテルたち【眷属】組も嬉しそうにカツを頬張っている。明日は頑張ってもらう予定だから今日は存分に食らうが良い。・・・お前らは普段からアーニャのお菓子を一杯食べてるけどな!
「アルクさん、お味はいかがですか?」
おっと、これらの御馳走を作ってくれたアーニャがやってきた。お味はいかがかって?フッ・・・決まり切ったことを・・・
「無論、最高だ!そうだろ、みんな!!」
「「「「「「おー!!」」」」」」
全員が俺の言葉に賛同する。今この場で俺たちの心は間違いなく一つになっている。明日の決戦に向けて士気は最高に高まっていると言って良いだろう。もはや明日に向けて何の憂いもない。
「良かったのです!この後にデザートもあるのでみんなで食べてほしいのです!!」
・・・失敬、憂いはあったわ。アーニャの作ってくれたデザート、是非とも完食せねば!!
「・・・私、【アークガルド】に移籍したくなってきました・・・」
「・・・それを言わないでくれロゼ。・・・僕だってクランをほっぽりだしたくなってくるだろう。」
なんてやり取りをラングとロゼさんがしていたらしいが、そんなことは気にも留めず、アーニャが出したデザートの数々に突撃していく俺たちなのであった。
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