条件を付けてみる

===移動===>>冒険者ギルド 打ち合わせ室

闘技場の控え室にいつまでもいるわけにはいかなかったので俺達は早々に移動した。毎度お馴染み、冒険者ギルドの打ち合わせ室に。・・・一日に何度も借りるのは微妙に恥ずかしいな。

「さてアテナ君、アルマ君。早速だが君達にはクラン入会試験を受けてもらう。」

「前回と急に雰囲気が変わったわね。」

「急にどうしたんですか？」

気にするな。ただのノリだ。

「無論、君達の実力を知るためだよ。俺の実力は見せたとおりだ。だが君たちに我がクランに見合うだけの実力があるかどうか確かめさせてもらおう。」

こう言っておけば、二人の実力不足が原因でクラン入会を見送る理由になるからな。・・・実力があった場合はどうするのかって？・・・その時は・・・諦めよう。少なくとも足を引っ張られることはないってことだしな。

「・・・なんか偉そうで腹が立つわね。」

「というか流れ的にアルクさんがリーダーになりそうですね。」

あ、しまった。これじゃあリーダーは避けられないじゃないか。・・・ま、まあいい。本題はそこじゃない。俺は机の上にガットから貰った武器をすべて置いた。

「君達にはこれらの武器を貸し出そう。好きな武器を選ぶといい。そして選んだらフリーフィールド【始まりの森フォーレス】でフィールドボスのビッグベアを倒してきてもらう。時間制限は明日のこの時間まで。つまり２４時間だ。ただし、それぞれソロでクリアしてもらう。」

二人は真剣に俺の話を聞いていた。条件達成が可能かどうか、どの武器を使うか、そして何でそんなことしなきゃいけないのか、悩んでいる事だろう。

「ちなみに俺は既にクリアした。昨日の時点でな。」

「昨日って、アルクさんは昨日始めたんですよね？」

「その通り。」

「じゃあ、アンタその日の内にクリアしちゃったの！？」

「その通りだ。」

ついでに称号も頂きました。言わないけど。

「ソロが集まるクランを作るんだ。ソロで動けることを証明しないとな？寄生とか言われるのも嫌だよな？」

「・・・確かにその通りね。わかったわ。じゃあ、私はこの弓と刀を借りていくわ。」

あら、意外に素直にやるんだな。もっとごねるのかと思ったが。

「それでは私はこの杖と槍をお借りしますね。」

あら、君もやるんだね。てっきり煙に巻こうとするのかと思ったのに。

「それじゃあ、早速行って来るわね！！」「行って来ます。」

そう言って打ち合わせ室から飛び出していった。えらい自信満々だったけどマジでできるのか？てっきりギブアップするのかと思ったんだが。そうしたらこの話をうやむやにできたのに。・・・なんかどんどん墓穴を掘ってる気がするな。考えないようにしよう。

え？武器を持ち逃げされる心配はないのかって？大丈夫、俺の武器はすべてガットの作ったものだ。そしてガットは俺を置いて逃げた。故にすべてガットが悪いのだ。うん。だからこれをネタにガットをゆす・・・おっと、これ以上はいえないな。

さて、俺も今日の用事を済ませないとな。・・・アレ？俺今日何する予定だったけ？今までのインパクトが凄すぎて忘れちった。ああ、そうそうスキルだ。専門的なスキルは他の世界に行かないと手に入らないが、基本的なスキルなら人間界でも手に入る。より正確に言えば【技術巻物(スクロール)】というアイテムを使用すればスキルを取得できる。

まずは【技術巻物(スクロール)】が売ってる店に行ってみよう。あ、その前に昨日の素材を換金しないとな。そういえば他の世界ってどうやって行くんだ？それも調べないとな。あとは、・・・あ、アイテムもか。色々買わないとな。

===移動===>>スクロールショップ

買い物中。

===移動中===>>ゲームセンターを発見！！

息抜き中。

===移動===>>アイテムショップ

買い物中。

===移動===>>ゲームセンター

息抜き中。

===移動===>>冒険者ギルド 打ち合わせ室

ハイ、戻ってきました。２時間ぐらいかかったかな。いやー物が一杯あるとどれを買うか困るね。え？途中で遊んでただろって？息抜きだよ息抜き。

それはともかく買ってきたものだ。店でも見たけど改めて確認する。

【武装換装 Lv.1】

予めキーワードと武器・防具を決めておけば、キーワードを唱えるだけで武器を装備できる。

今まで装備していた武器は自動で【収納箱(アイテムボックス)】に送られる

コレは地味に役立つ。昨日はいちいち【メニュー】を開いてたからな。戦闘中に変更できなくて困ってたんだ。防具に関してはまだ一つしかないけどね。

【両手装備 Lv.1】

両手に別々の武器を装備する事ができる。ただし両手武器(弓など)を複数装備する事はできない

いわゆる二刀流にするためのスキルだ。別に刀に限ったスキルじゃないのでこの名前らしい。

【鑑定 Lv.1】

アイテムや罠などを解析する

【気配感知 Lv.1】

周囲の生物の気配を察知する

【挑発 Lv.1】

敵の攻撃対象を自分に引き付ける

【隠蔽 Lv.1】

自分の姿やステータスを隠す

【看破 Lv.1】

相手の姿やステータスを解析する

ここら辺は冒険者には必要な基本のスキルだろう。

【採掘 Lv.1】

指定ポイントから鉱石を取得できる

【採取 Lv.1】

指定ポイントから植物を取得できる

【釣り Lv.1】

指定ポイントから魚類を取得できる

【精肉 Lv.1】

倒したモンスターから食用肉を取得する

これらは持っているだけで効果があるスキルだが、持っていないと大変な事になる地味に重要なスキルだ。例えば採取ポイントで薬草を取ろうとしたとき、スキルが無いと雑草を取っただけで素材にはならないのだ。

【鍛冶 Lv.1】【錬金 Lv.1】【調合 Lv.1】【細工 Lv.1】【精錬 Lv.1】【料理 Lv.1】【裁縫 Lv.1】

これらは生産系のスキルだ。詳しく説明すると長くなるので今は割愛、今度ガットに教えてもらおう。正直使うかどうかは不明だが。【技術巻物(スクロール)】を使えばSP消費なしで取得できるので一通りそろえてしまった。とりあえず【鍛冶】で武器や防具の消耗度の減少を、【調合】でポーションなどの回復アイテムを作れるらしいので、使うとしたらそのあたりかな。

以上がラングからもらった情報ディスクに載っていた序盤のオススメ基本スキルだ。正直、昨日コレを見てから森に行けば良かったと思わなくもないが、それだと称号が取得できなかったので結果オーライだろう。元々ネタバレになるからあんまり見ないようにしたかったがせっかく(タダ同然で)もらったのだからと、少し見てみたら、ご丁寧にオススメ基本スキルが載っていた。俺から見ても必要だと思えるスキルばかりなので買い漁ってきた次第だ。

ただ技能系のスキルや魔法系のスキルは無かった。やはりそこらへんのスキルは武術界や魔法界に行く必要があるらしい。行く方法はわかったし、今度は回復アイテムも多少は買ったのであとは行くだけだ。

・・・ハテ？なにか忘れているような気がするが気のせいだろう。

早速向かおうとしたとき、バアーンと部屋の扉が開いた。

「お待たせしました。」「クリアしてきたわよ！！」

・・・マジ？