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もう一体の・・・

「そうそう、せっかくガットもいるから見てほしいものがあるんだ。・・・これだよ。」


美女二人に挟まれてる(のになぜか嬉しくない)俺を他所にラングが取り出したのは・・・刀だった。


【霊刀・虎 ☆7】

特性:ATK+100 属性:聖 消耗度:0%

SLOT1:亡霊に対して特攻効果

亡霊武者の刀を打ち直した刀。浄化の力が宿っている。


名前・・・


「む?・・・見た目は変哲もない刀じゃが効果は見たことがない物じゃな。どうしたんじゃこれは?」


「不死山周辺に出現する亡霊武者からのドロップ品で作成した刀だよ。うちのクランの鍛冶師が試しに作っててもらったらこうなったんだよ。」


「おい、それより名前・・・」


「ふむ、性能は微妙じゃが亡霊武者の素材の効果かのう。もっと上質な素材を混ぜればそれなりの武器になるやもしれん。」


「僕もそう思ったんだけどね。うちの鍛冶師のじゃあ厳しいようだ。他の素材を混ぜても普通に刀になってしまったよ。レイドクエストに使えるかと思ったんだけど、この性能じゃあ、普通に僕たちの普段使いの武器のほうが強力なんだよね。」


「・・・」


「なるほどのう。それは研究のしがいがありそうじゃ。おい、アルク。お主も素材を持っておるじゃろう。ワシに譲ってくれんか?」


「それは良いがまずは名前につっこめよ。」


「・・・やれやれアルク。名前が一体どうしたというんだい?」


・・・この野郎、すっとぼける気か。


「・・・この刀の名前、なんて読むんだ?れいとう・とら、か?・・・それともれいとう・こ、か?」


・・・おい、なぜ目を逸らすんだラング。こっち見ろこら。


「・・・リーダーの悪ふざけです(ボソッ)。」


・・・ロゼさんが呟くように犯行を自供した。犯人はラングのようだが。


「ま、まあ、アルクが気にしていたSLOT効果っていうのがわかっただろ?・・・1本は君にあげるさ。」


そういって刀を押し付けてくるラング。・・・使うのは良いとして名前を呼びたくないと思ってしまうのは何故だろうか。


「・・・面白くなってきたわい。」


そういってガットは俺から亡霊武者の素材を受け取って、ついでにアーニャからワンホールのケーキも受け取って、ヴィオレとともに帰っていった。・・・ケーキネタはもういいって。


「・・・さて僕たちは明後日のレイドクエストについて話し合おうか?」


ようやく本題といった感じで全員が席に着く。・・・アテナさんとアルマさんはなぜ俺の両隣に座るのでしょうか?


「・・・レイドイベントに関してだけど、大雑把に大別すると二通り考えられるんだ。」


ラングのやつが某機関の指令のようなポーズをとって神妙に話し始める。


「一つは純粋にバトルで決まるタイプ。要するに力押しでクリアできるタイプだね。で、もう一方はクリアに条件が付くタイプ。何かしらの条件を達成しないとクリアできないタイプだね。」


「言いたいことは分かるがわざわざ二つに分ける必要があるのか?」


ぶっちゃけどちらにせよクリア目的なんだから変わらんと思うんだが。


「あるさ。前者の場合は一発クリア、つまり初めての挑戦でもクリアできるタイプだね。レベルやスキルが十分なら、ていう前提はあるけどね。後者の場合は一発クリアはまず無理だ。初見殺しの敵やギミックは何度も挑戦して対策を練ってようやくクリアできるタイプだ。」


「・・・なるほど。で?今回のレイドクエストはどっちのタイプだと思ってるんだ?」


「前者だと思うよ。何度も挑戦できるタイプじゃないし、パーティ数に制限が無いからね。」


つまりそういったクエストの場合は何度も挑戦できるようになってるってことか。制限に関しては大体6パーティ以内だったりするって聞いたことがあるな。


「ただ、気になるのが参加制限が3パーティ以上って部分だね。十中八九パーティごとにばらける事になるだろうね。」


そうなると全員が一か所に固まらず、最低でもパーティごとにバラバラになる可能性があるってことだな。


「要するにパーティ編成は戦力が偏らない方が良いってことだね。それを踏まえて編成はどう考えてるんだい?」


ラングが俺に問いかける。【アークガルド】としてどう考えているかを聞きたいんだろう。


「・・・俺たちのパーティ編成は第1パーティが俺とアーテル。第2パーティがアテナとレオーネ、アーニャとブランとノワールだ。第3パーティはアルマとフィオレ、アヴァンとラグマリアだ。第4パーティはアークカイザーだな。」


自分で言っといてなんだがバランスが悪いな。だが・・・


「ふむ、カイザー君の【クランメカロイド】としての力を考慮した構成だね?アルクたちの人数が少ないのは僕たち【インフォガルド】をアテにしているのかな?」


「いや?単に人数不足。」


そもそも【眷属】と主人はセットだからな。現状のメンバーから考えるとどうしてもどこかに偏ってしまう。パーティが別とは言え、カイザーは基本的に俺たち第1パーティと一緒に行動してもらうつもりだ。【メカロイド】形態は時間制限もあるからおいそれと使えないしな。


「・・・なるほど。まあ、仕方がないね。では僕たちの編成を伝える前に紹介しておこうか。【眷属召喚】!!」


急にラングが誰かを召喚しだした。光と共に現れたのは・・・ロボットだった。水色を基準とした人型ロボット。2メートル程度の伸長なのはカイザーと同じだが、カイザーより若干細身だ。そしてこのロボットが【眷属】ってことは・・・


「紹介しよう。【インフォガルド】のクランメカロイド、【インフォバルトス】だよ。」


「ヨロシクオ願イシマス。」


うやうやしく挨拶をするロボットはカイザーと同じくクランメカロイドだった。カイザーとインフォバルトス・・・バルトス君が熱い目?で見つめあってるんだが・・・


「僕たち【インフォガルド】としては僕とヒュント、ロゼとヒュームで1パーティ。そしてこのインフォバルトスで1パーティと考えているよ。」


・・・クランメカロイドが2体か・・・派手な戦いになりそうだ。


「全部で6パーティか・・・【インフォガルド】側の人数が少ないが良いのか?報酬の取り分が少なくなるぞ?」


報酬は基本人数割りだ。経験値は勝手に割り振られるが、報酬は参加したメンバーに等分し、数が少ない物に関しては、交渉か、より戦力を出したほうに譲る、というのが複数クランでレイドに参加する場合のだいたいのお約束らしい。


「そのために人数を絞ったんだよ。メインは【アークガルド】、僕たちは基本サポートだね。・・・そもそも戦闘が得意なクランでもないしね。」


・・・ふむ、もめる要素がないなら良いか。そもそもクリアできるかどうかが問題だしな。


その後も色々話し合った。ばらけるとき、どのパーティがどのパーティと一緒に行くか。移動は得意か不得意か、近接系か遠距離系か、武術系か魔法系か、などなど。


あとクランメカロイドに関しても聞いてみたが知ってることは俺たちとあまり変わらないみたいだ。いちおうバルトス君の装備は【インフォガルド】のメンバーが作ったものでアヴァンが興味深々だったが・・・逆にどんな兵器があるのかアヴァンが質問攻めにされていた。


何はともあれ決戦は明後日ということで話はまとまった。


===ログアウト===>お疲れさまでした。

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