ご利用は計画的に
===移動===>第三の街ドライ
このゲームでは初級のクラスやスキルは割と簡単に取得できる。おそらくお試しの様な感じだ。実際に試してみて自分にあったクラスや使ってみたいスキルを決めるんだろう。
問題はそのあとだ。カンストしたスキルの中級以上への進化や特定のクラスの取得にはSPが必要になる。俺は称号の効果で種族レベルやクラス、スキルの経験値を人より多く取得できている。つまりカンストまでの時間が早い分、早くスキルを進化させることができるわけだがSPだけはどうしようもない。
当然ながら何でもかんでもスキルを進化させることができるほどSPが取得できるわけではない。だからかこそプレイヤーは自分の成長したい方向に合わせてSPを使うわけだが・・・
調子こいて武術系のスキルを中級、上級に上げるのに使いすぎてしまった。orz
後悔はしないが反省はしないとな。SPはレベルアップでまだまだ取得できるし、確か他にも取得する方法があったはずだ。もうちょっと考えて使わないとな。
「・・・おい、そこで何をしている。」
地面にorzで膝を突いた俺に話しかける者がいた。顔を上げると・・・なんか白い奴がいた。
「・・・白い怪人!?」
「・・・誰が白い怪人だ。」
そこにいたのは髪も肌も服も真っ白な上、白いサングラスを掛けているという病的なまでに白い男がいた。・・・一体なにがこの男を白に掻き立てるのか。
「そんな上から下まで心配になりそうなくらい真っ白で何言ってんだ?白いサングラスなんて初めて見たぞ?」
その男は俺の言葉を聞くとやや不機嫌そうにサングラスを外した。・・・眉毛は灰色、目は黒色だ。・・・良かった。そこまで白だと正直・・・な。目が白目だったら気絶してるか、ふざけてるのか、ゾンビなのか、分からなくなるからな!
「・・・これで良いのか?」
「うむ、白目じゃなくて安心した。・・・で、俺に何か用か?」
目の前の謎の白怪人・・・前にちらっとニアミスしたっけ?少なくとも知り合いではなかったはずだが・・・
「用など無い。そこにいられたら邪魔なだけだ。」
・・・あ、ここギルドの前でした。こりゃまた失礼いたしやした。
「コイツは失敬!ささっ旦那、お通りを・・・」
「・・・なんだその悪代官に媚びる小悪党キャラは・・・」
呆れ顔をしつつ道を譲った俺の横を通り抜ける白怪人。しかしその足をピタッと止めて俺を見る。
「・・・お前もバトルトーナメントに出るのか?」
白怪人が何やら聞いてくるが・・・聞かれたからには答えねばなるまい。
「オフコースでやんす旦那!・・・人にものを訪ねるならまずは名を名乗れい!!」
「・・・名乗る前に答えてるだろうが・・・カオスだ。」
おや、案外素直・・・いや、律儀なだけか。
「カオスか・・・俺はアルクだ。・・・そういうお前は出るんだろうな。トーナメント。」
「無論だ。」
「・・・」
「・・・」
おふざけ空間(俺だけ)から一転してピリピリした空気になる。・・・こいつはあれだな。戦闘狂というかバトル好きな気がする。・・・それにその気配は・・・
白怪人・・・カオスはそのままギルドの中へと入っていった。さよなら、もまた会おう、も首を洗って待ってろ、もないとは不愛想な奴だ。
・・・あれ?アーテルとカイザーはどこ行った?きょろきょろとあたりを見回すと少し離れた所でこちらを見ていた。
「・・・二人とも、そこで何をしている?」
「クルー。」
「戦略的撤退ガ必要ト判断シマシタ。」
・・・それはあの白怪人からってことだよね?俺と一緒で変な目で見られたくないとかじゃないよね?
・・・深く考えないようにしよう。さて、一旦ホームに戻るか。
・・・それにしてもあの白怪人・・・カオスだったか。前回は分からなかったが・・・今ならわかるな。・・・微かだが・・・【神気】を纏っていた・・・。
===移動===>【アークガルド】クランホーム
ホームまで戻ってくると・・・庭でアルマがケーキを食っていた。
「・・・あ。」
「・・・」
俺はツカツカと歩み寄ると・・・アルマの頭をアイアンクローでガシッと掴んだ。
「貴様・・・何をサボっとる。」
しかもワンホールのケーキ。・・・これ一人で全部食う気か。
「アイタタタタッ!さ、サボってるわけではありませんよ!ウルタイト鉱石はちゃんと採掘してきましたし・・・それに、これはアーニャさんからもらった物です!」
「なに?」
アーニャが?あの真面目なアーニャがみんなが出払っているときにアルマにだけケーキを振舞っただと!そんな馬鹿な!まさか、コイツ・・・何か賄賂を・・・
「・・・本当ですよ?・・・あとチョコレートパフェを独占しようとしたアルクさんに文句を言われる筋合いはありませんよ?・・・あといい加減この手を放してくれません?」
クッ!痛いところを・・・情けは人のためならずとはこのことか!(注:全く違います)
しぶしぶ、アルマの頭から手を放してやる。・・・ついでにフォークを取り出してケーキを拝借。アルマがああ!とか言ってるが知らん。パフェだって結局あげたんだしな!
「・・・で?なんでケーキなんだ?」
「ええ、それがですねぇ・・・」
「あ!アルクさん!おかえりなさいなのです!!」
いつになくテンションの高いアーニャがやってきた。手にはお菓子やらジュースやらが一杯・・・まだ食う気なのか?
「聞いてくださいなのです、アルクさん!とうとう見つけたのです!!」
「見つけた?何を?」
元気なのは良いことだがちょっと落ち着いてほしい。アーニャにしては珍しい・・・いや、前にもこんなテンションの時があったか?アーニャがテンションの上がることと言ったら・・・あ。
「もしかして・・・ドラゴンか?」
「そうなのです!ウルティム鉱山ダンジョンの奥の奥までずぅーっと潜っていったら出たのです。地竜なのです!」
地竜・・・大地の竜ってことか。【幻獣界】ではブランやノワール以外のドラゴンは見つからなかったと聞いてるが・・・まさか、そんなところにいたのは。
「それは良かったな。・・・じゃあ早速【眷属】にしたのか?」
といってもそれらしい姿は見られないが・・・
「いえ、まだなのです!!」
・・・いや、そんな元気いっぱいに否定されても・・・色々な意味で困惑している俺にアルマが補足してくれる。
「出会ったのは良いのですが、相手のレベルが50で私たちだけでは厳しいと思いまして・・・せめてガットさんの装備があればまた別だったと思うのですが・・・それに倒すのではなく弱らせなければいけないので・・・」
そうか。【テイム】でも【幻獣卵符】でも【眷属】にするにはまず相手を弱らせなければいけないんだったな。Lv.50じゃあそこまでの余裕はないか。
「それに今はレイドクエストに向けて準備中なのです!今、地竜さんを【眷属】にしてもレベリングする時間も余裕もないのです!地竜さんはレイドクエストが終わったら挑戦なのです!!」
・・・ええ子やなぁ、アーニャ。それに素晴らしい計画性だ。・・・俺とは大違いだ。地竜を【眷属】にするときは俺も手伝うからな!!
「たっだいまー!・・・あー!私に内緒で美味しそうなの食べてる!!」
丁度よいタイミングでアテナが帰ってきた。心なしかホクホク顔だが・・・どんだけ暴れてきたんだろうか?レオーネが疲れた顔してるぞ?
「アテナか・・・そっちの首尾はどうだ?」
フォークを取り出してケーキにパクつくアテナに尋ねる。・・・アルマが自分の取り分が減って残念そうだが・・・美味しいものを独り占めしてはいけないのだ。ろくな目に合わないから。ソースは俺。
「バッチグーよ!クランの共有倉庫に入れておいたわ!アヴァンにもメールで伝えて確認してもらったわ。十分な数がそろったって!」
・・・それはいいんだが、アヴァンは籠りっぱなしか?本当にこのまま引きこもりにならないだろうな。
しかし、アヴァンも着々と準備を進めているようだ。俺もちゃんとしないとな。
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