アテナとアルマ
===移動===>>PvPエリア 闘技場控え室
「ラングくーん?どういうつもりかなー?・・・あれラングは?」
控え室に戻ってきた俺だったがそこに待っていたのはガットと美女二人だけだった。
「アヤツなら逃げたぞ。」
あの野郎。
「あのーすいません。」
「追いかけるから居場所を教えてくれ。」
「そんなモン、ワシが知るわけないじゃろう。他のエリアか自分のクランホームか、ログアウトはしていないようじゃが、居場所通知をOFFにしておる。諦めるんじゃな。」
「ねぇ、ちょっと。」
「じゃあ、ガット、代わりにPvPしようぜ!」
「お断りじゃ、バカタレ!」
「「ちょっと、聞いてますか!?」」
「ウワッ!びっくりした。・・・誰だっけ?」
「ちょっと!?アンタが助けようとした美女二人じゃない!?」
「・・・自分で美女とか言うのはどうかと思うんだが。」
「ウッ!?」
あ、赤くなったで、この天使ちゃん。
「アテナが美女かどうかは置いといて・・・助かりました。アルクさん。」
こっちは偉い冷静だな。さすが?魔族。・・・関係ないか。
「助ける?なんのことだ?俺は邪魔だったアホをぶっ飛ばしただけだぞ。・・・そういえばあの三人組はどうしたんだ?」
「アヤツらならもう逃げて行ったぞ。お主は知らんかったじゃろうが、アヤツらは中堅どころのそこそこ名のあるプレイヤーじゃぞ。といっても最近は問題ばかりで大手クランから追い出されたようじゃが。」
「・・・それって当然ラングの奴も知ってたんだよな?」
「無論じゃ。というより、アヤツから聞いた情報じゃぞ。」
「・・・あの野郎、昨日ゲームを始めたばかりの俺にそんなヤツらの相手をさせたのか。」
「え?昨日始めたばかり?」「信じられない・・・」
美女二人がなんか騒いでるが俺の耳には入らない。
「中堅と言っても始まりの街をウロチョロしとるような連中じゃぞ?アルクなら大丈夫と踏んだんじゃなかろうか?」
「・・・大した根拠ないだろそれ。負けたらどうするつもりだったんだ。」
「・・・だから逃げたんじゃろ?」
「あの野郎・・・」
やはり追いかけてシバキ倒すべきか。
「ねぇ!!ちょっと!!さっきから私たちを置いて話しないでよ!!」
「んん?・・・なんだまだいたのか。とりあえずアイツらから解放されたんだから自由にすればいいのに。」
「だ・か・ら!!そのお礼の途中でしょうが!?」
「お礼?なんのことだ?俺は邪魔だったアホをぶっ飛ばしただけだぞ。・・・そういえばあの三人組は今後どうなるんだ?」
「あ、話がループした。」
チッ、気づかれたか。仕方がない。
「あー、お礼とかいいから。俺はアイツらと違ってあんた等の邪魔をする気もないし、ナンパするつもりも無いから。もう行って良いよ。」
「・・・お主、さっきからこの子らに冷たい感じじゃが・・・ツンデレにでも目覚めたのか?」
「ガット?やっぱりPvPに・・・」
「おっと、ワシもそろそろ退散しようかの。」
あ、逃げやがった。
「・・・あの方達は貴方のパーティメンバーですか?」
行って良いって言ったのに何で話を続けるんですかね魔族さん。
「いや、タダのフレンドであってパーティでもクランでもない。そもそも俺はソロプレイヤーだ。」
「それなら丁度いいですね。私たちとパーティを組みませんか?」
・・・なんやて?
「実はねー、私たちも困ってたのよ。ゲームを始めて、冒険者登録して、【転移装置】に移動するまでに5回も勧誘されたのよ!」
「いや聞いてませんけど。」
「元々、私たちもソロで回るつもりで、【転移装置】で別れようとしたんですけど、最後の最後にしつこい人に捕まって・・・」
「だったらそのままソロで行ってください。」
「このままソロで行動してても危険だと思うのよ、こっちは独り×2だしね!」
「結局二人なら大丈夫・・・ではなかったか。いやでも、このゲームじゃそんなことはないんじゃあ。」
「かといってどこかのクランやパーティに入りたくありません。そういう煩わしいのが嫌でソロで活動しようとしてたんですが・・・」
「それは俺もそうだけど・・・、俺の話聞いてる?」
「どっかに属したら、アレやれ、コレやれって言われそうだしねー。」
「いや、そこまで知らんがな。」
「だったらいっそのこと、ソロ同士でパーティを組めばいいんじゃないかと思うんですよ。」
「俺はそうは思わないんですが?」
「でも誰でもいいってわけじゃないわ!アイツらみたいに下心満載なヤツラじゃなくって、純粋にゲームを楽しめる相手じゃないとね!」
「それには俺も同意する。」
「それでは宜しくお願いしますね?」
「どういうことだよ!!」
なんだこの会話。交互に話しかけてきやがって。しかも最後の同意だけで話を終わらせようとしやがった。恐るべき詐欺の手段を見た気がする。
「何よ?こんな美女二人とパーティを組めるんだからアンタだって嬉しいでしょ?」
「お前さっきと言ってる事矛盾してるぞ。下心無い奴だったら相手が美女だろうが嬉しいとか思わないだろ。」
「ウッ!」
「痛いところを突かれました。コレは困りましたね。」
まあ俺も?美女二人とパーティを組めるのは吝かでもないよ?でも俺は戦闘メインで行くつもりなわけで、ぶっちゃけ見た目だけ良い奴とパーティを組んでどうしろって話ですよ。
「困る事ないだろ。最初の目的通り、ソロで活動すればいいんだから。さっきみたいな奴がいたら通報しろ。」
「通報するのはいいとしても、いちいち煩わされるのも嫌じゃないですか。」
「パーティを組んだからってそれは変わらんと思うぞ。」
「でも男性がいれば変わると思うんですよ。それにアルクさんなら信用できると思いますので。」
そう言われると悪い気はしないんだがなぁ。
「それは・・・そうなのか?でも他に心当たりがないの?」
「残念ながら無いですね。アルクさんは乗り気ではないですか?」
「そうですね。」
「これだけお願いしても?」
「そうですね。」
「こんなに困っているのに?」
「そうですね。」
「パーティは組めないと?」
「そうですね。」
「ではクランなら考えてもらえますか?」
「そうですね。・・・ハッ!!」
「それでは決まりですね。私は【アルマ】、種族は【魔族】です。」
「私は【アテナ】、種族は【天使】よ!」
・・・こんな古典的な手にひっかかるとはあああああああ!!!
これはもうクランを結成するしかない!!
「・・・って、んなわけあるか!!」
「「ですよねー・・・」」
当たり前だ。
・・・だが、ノリが良いのは嫌いじゃない。
仕方無いなぁ・・・もうちょっと真面目に考えてやるか。
おまけ 某掲示板より抜粋
222:名無し
勇者が修羅場ってた
223:名無し
マジか、天使と魔族で勇者を取り合いかよ!
224:名無し
天使と魔族が勇者にパーティ組もうと迫ってた |д゜)
225:名無し
あー、そっちになったのか
あの強さなら無理ないか
226:名無し
というかそれってさっきの三人組が二人にやってたことでは?
227:名無し
男がやれば通報ものでも
美女がやれば許されるのだよ (-_-)
228:名無し
なんという女尊男卑 (._.)
229:名無し
あ、勇者が負けた
230:名無し
っていうかだまし討ち?
231:名無し
いやあれは引っかかるのが悪い(悪)
232:名無し
逆に考えるんだ
(やっかいな)美女二人を引き受けた彼こそ真の勇者だ!!
233:名無し
なるほど!!
234:名無し
カッコの中に本音がwww
235:名無し
勇者の明日に幸あれ




