フラグは回収されるためにある
===移動===>【スサノオ神社】
『緊急クエスト【スサノオ神社防衛】をクリアしました。』
『【ツクヨミ神社】【アマテラス神社】【スサノオ神社】を発見しました。称号【三神の探求者】を獲得しました。』
どうやら緊急クエストはクリアできたらしい。おまけに称号まで手に入れたようだ。
「やれやれ、僕達の出番がなかったね。」
ラングたちが遅れてやってくる。【スサノオ神社】は結界が破られて丸裸の状態だが、既に修復が始まっているのか、周りを白い壁のような物で覆われ始めている。
「さすがですね。あの巨大な敵を二人だけで倒してしまうとは・・・」
ロゼさんが感嘆したように言うが・・・そう、それだ。
「アテナ、それ、ガットから受け取ったのか?」
「そうよ?一昨日の夜に連絡が来ていて、今日の朝一番に取りに行ったの。」
確かに今日、アテナは用事があるとか言ってどこかに出かけていた。まあ、それはそれで良いんだが・・・
「なら、何で最初から装備してなかったんだ。」
・・・なんで目を逸らす?こっち向け、おい。
「多分、アルクさんがガットさんの装備で形勢逆転したのを見て同じことをしたかったんだと思いますよ?」
黙りこくっているアテナに代わりアルマが答える。なるほど、ピンチに陥ったヒーローが逆転するみたいな事をやりたかったのね。確かに助かったのは事実だが・・・
「そ、それよりも!【ガティアス】の事よ!まさか結界が破られるなんてびっくりね!!」
白い目で見ている俺から視線と話題を逸らすように話を変えるアテナ。
「・・・確かにそうだな。・・・ラング?」
「いや、僕達も初耳だよ。これはこれで貴重な情報だね。」
貴重どころか、忍の里にとっては重大な問題だと思うんだが。なんせ【ガティアス】は魔物の封印を壊せるってことが判明してしまったんだからな。・・・【ガティアス】の謎の生態がまた一つ明らかになった。
「確かに重大な問題です。至急長に報告しなければ・・・」
キキョウが深刻な表情を浮かべている。
「しかし、間一髪だったよね。・・・不自然なくらい。正直、タイミングが良すぎる気もするんだけど・・・」
ラングの疑問はもっともだ。もっともついでに理由は何となく分かってんだけどな。
「・・・それはアイツに聞いてみたらどうだ?」
くいっと顎を向けてその方向を見るように仕向ける。【スサノオ神社】の屋根の上を・・・
「・・・!?【ヤタガラス】!」
それを見た俺以外の全員が身構える。
「キュイイイイイイ!!」「キュアアアアアア!!」
「どうどう!落ち着くのです!ブランちゃん!ノワールちゃん!!」
やはり予想通り、ブランとノワールは異常なまでに敵意を示している。
「クルルルルルル!!」
おっとアーテルもだった。やはりドラゴンは神様が嫌いなのか?
「落ち着けアーテル。何もしてこないさ。・・・多分。」
【ヤタガラス】はじっと俺たちを見つめたままだ。
「あれが【ヤタガラス】・・・確かに神社と同じ物を感じるわね。」
「ええ、それに今の私達ではとても敵いそうもありませんね。」
「うむ、戦闘が苦手な我でもわかるのだ。あれは相手にしてはいけない物なのだ。」
アテナ、アルマ、アヴァンも初めて見た【ヤタガラス】に恐縮している。ただ強いモンスターとはわけがちがうんだよな。レオーネたちも震えちゃってるよ。
「各種センサー、測定不能。即時撤退ヲ推奨シマス。」
「同意。アレハ現状ノ我々デハ太刀打チデキマセン。」
ほら、ロボット組でさえこうなんだから。あれとバトルには時期尚早だ。もっともあちらにその意思は無いみたいだが。
当の【ヤタガラス】と言えば俺たちを見定めるように見ている。と、
「カーーーー!!!」
と鳴いた。それはもう大きな声で。それと同時に、
『レイドクエスト【神々に封印されし魔物】が解放されました。』
アナウンスが届いた。
「はい?」
・・・どうやら俺だけじゃなく、メンバー全員に届いたようだ。困惑する俺たちを他所に【ヤタガラス】は役目は終わったと言わんばかりに飛び去っていった。
「「「「・・・」」」」
沈黙と静寂がこの場を支配する。
「来たーーーーー!!ヽ(゜∀゜)ノ」
そして一人だけ空気を読まず叫ぶラング。・・・あいつは後でドツいておこう。
「・・・とりあえず、ここも結界で覆われたし、一旦里に戻るか。」
誰かのせいで微妙な空気になった所で、一旦里に戻って一息つくことにした。・・・今までのフラグはこのレイドクエストのためだったか・・・
===移動===>忍の里
里に着いたところでキキョウは早々に長のところに向かった。今後の事を相談するらしい。俺たちは里にある茶屋の中で休憩、もとい話し合いと言う事になった。
「ねぇ、アルク、さっき取得した称号なんだけど・・・」
おっと、そういえばそれを忘れてた。早速【メニュー】を開いて確認すると。
【三神の探求者】
神の領域を探索し、生き残った者への称号
【神気】を感知できるようになる
なんか物騒な事が書かれているような気がするが、問題は称号の効果の方だな。どうも【神気】が感知できなかった奴らもこの称号のおかげで感知できるようになったらしい。結界の外からでは【神気】を感知できなかったアヴァンたちでも感知できるようになったそうだ。今後、そういう場所を見つけるのに役に立つってことだろう。
そして問題がもう一つ。
「・・・やっぱり増えてるねぇ。」
にやにやしながら自分の【メニュー】を見るラングが正直アレな感じがする。どうやらテンションが上がりすぎてキャラを忘れているようだ。
【メニュー】には新たに【レイドクエスト】の項目が追加され、さらにその中に【神々に封印されし魔物】が追加されていた。
レイドクエスト【神々に封印されし魔物】
勝利条件:??????
参加制限:3パーティ以上
備考:Lv.50以上推奨
再受注制限:168時間
忍の里の長からクエストを受注できます
「勝利条件がわからないな。」
「多分、クエスト内で変化するんだと思うよ。第一段階はこれ、第二段階ではそれ、みたいな。」
俺の疑問にラングが丁寧に答えてくれる。
「再受注制限ってのは?」
「文字通り、一度クエストを受けたら168時間・・・1週間は同じくクエストを受注できないってことだね。レイドクエストなら大抵設定されているよ。」
・・・クエストをクリア、ではなく受けたらってことは成功しようが失敗しようが週に一度しか受注できないってことか。・・・気軽に受注できないのは意外と面倒だな。
「レイドクエストはそもそも複数のパーティで組んで攻略するものだからね。多人数で参加する分、敵も格段に強いし、報酬も豪華になる。そんなクエストを制限無く受けられたらあっという間にレベルカンスト、億万長者さ。」
なるほど、それを防ぐための制限か。
「僕としては何気に3パーティ以上っていう参加制限が気になるんだよね。6パーティまでとかなら聞いたことがあるんだけど、3パーティ以上っていうのは聞いたことが無い。つまり最低でも3人以上は必須ってことなんだろうけど・・・攻略に関係があるのかもね。」
まあ、その辺りは実際にクエストを受けてみないと分からないだろう。この文面だけじゃ何をどうするのか分からないしな。・・・タイトルからして予想は付くが。
「・・・で、問題はこのクエストを受けるかどうかなんだが・・・俺は受けるつもりではいるんだが・・・」
俺は全員を見回す。特にクランメンバー。参加制限がある以上、メンバーの意見を聞かないといけない。
「私も受けるわよ?興味あるし。」
アテナはどうやら賛成のようだ。
「私もですね。ただ・・・」
アルマも賛成のようだが、他に何かあるようだ。
「ただ・・・なんだ?」
「今すぐ、ではなくせめて私の装備をガットさんから受け取ってからにして欲しいかと。」
・・・ああ、そうか。まだ、俺とアテナしかガットから装備を受け取っていないんだった。他の皆は装備面で不安があるか。
「そういうことなら我もなのだ。まだまだ兵器開発が出来ていないのだ。時間をもらえれば役に立つものも作れるのだ。」
アヴァンの兵器もまだまだだったな。俺の兵器もまだだし・・・カイザーの装備もまだなんだよな。カイザーはレベルもだけど。
「アーニャも装備無しでは不安なのです。そもそもLv.50にも達していないのです。」
そうかレベルもまだだったな。Lv.50以上の敵も倒してきてはいるが・・・レイドクエストで通用するとも限らないしな。
「週に一度しか挑戦できない以上、準備は万全にしたい所だよね。僕達【インフォガルド】も勿論参加させてもらうけど準備期間が欲しいね。」
ラングたちも参加するらしいが、準備も必要ということらしい。
まあ、そうだよな。俺一人だけ挑戦しても負けは見えてるし、やるなら全員が準備万端になってからにしようか。焦りは禁物だな。
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