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===ログイン===>【アークガルド】クランホーム
おはようこんにちこんばんは。
俺は今、クランのホームのお空で波乗りをしています。・・・何言ってんだって?状況的にそうなるってるんだからしょうがないじゃないか。なぜなら俺は今、お空を自由に駆け回る板に乗っているのだから。
「アルクサン、調子ハドウデスカ?」
俺と平行してお空を飛んでいたラグマリアに感想を聞かれた。そう、俺は今、アヴァンの作った兵器のテスト中なのだ。
アヴァンが取り出したのは、スノーボードのような薄い板だった。
「【フロートボード】なのだ。板にペダルが二つ付いているのだ。一つは上空への上昇用、もう一つは前方への移動用なのだ。ペダルを踏むとボードの下、または後ろから圧縮空気が出て空を滑るように飛ぶことが出来るのだ!」
そう、この【フロートボード】は二つのペダルを組み合わせて自由に空を駆ける兵器なのだ!その様は雪山を駆け抜けるスノーボーダー、あるいは波に乗って颯爽と進むサーファーといった感じだろうか。乗るのにちょっとコツがいるが中々楽しい。
ちなみに眼下ではアルマとアーニャが【フロートボード】に乗るのに苦戦中である。補助輪の無い自転車に初めて乗る子供のように何度かこけたりのろのろと低空を進んでいるのが見えた。・・・まあ、慣れればスイスイ進めるようになるよ。・・・俺?勿論初めてだよ?スノボーもサーフィンも経験無し!
「・・・いや、おかしいのだ。普通、初めて乗る乗り物でそんなスイスイ乗りこなせないのだ。」
地面まで降りてきた俺に対するアヴァンの第一声がそれだった。人を異常みたいに言わないで欲しい。
「ま、まあ良いのだ。それで使い心地はどうなのだ?」
俺たちはアヴァンたちの頼みで使い心地を試している所だった。自分で試してイマイチ上手くいかなかったらしい。ラグマリアやカイザーは直ぐに出来たらしいが・・・アンドロイドとロボットだからな。
「中々良いんじゃないか?多少バランス感覚がないと厳しいけど練習すれば乗れるだろ。ただ、完全に移動用だな。戦闘で使うには厳しいんじゃないか?安定しないし、どうしてもバランスを意識してしまうからな。」
それが俺の率直な感想だった。例えば【フロートボード】の上で銃を撃ってもまず当たらないだろうし、反動で落ちそうだ。近距離武器を使おうにも、ブレーキが無いからな。ペダルの強弱でしかコントロールできないから、接近戦に持ち込みにくい。
「・・・ふむ、まあそうだろうな。それは比較的安価で作れる移動手段として作ってみたのだ。【眷属】がおらず、乗り物を買うほどの資金が無いプレイヤー向けなのだ。ぶっちゃけオモチャ程度なのだ。」
「・・・そうか・・・ちょっと待て、おもちゃなのか?これ?」
アルマたちもえ?と言う感じでこちらを見ている。
「【アークガルド】の面々は【フロートボード】以上の移動手段を各自持っているのだ。戦闘手段もある以上、【フロートボード】の使い道は遊び程度にしかならないのだ。」
・・・確かにそうかもしれないが・・・
「ならなんで俺たちにテストさせたんだ?」
「・・・売りに出す時のPV用なのだ。」
・・・よく見るとカイザーがビデオのような物でこちらを写している。これじゃあほんとに新商品のプロモ映像を撮っているみたいだ。
「どんな道具でも説明文だけでは理解できないのだ。実際に使っている所を見せるのが一番分かりやすいのだ。」
それは確かにそうだろうが・・・これ、完全に兵器じゃなくおもちゃとして売り出そうとしてるよね。・・・楽しかったから別に良いけど。
「安心するのだ。本命がちゃんと他にあるのだ・・・これなのだ!!」
アヴァンがどら○もんよろしく取り出したのは・・・フックの無いハンガー?みたいな物だった。
「【エナジーフェザーマント】なのだ!これを背中に取り付けるのだ!」
そう言ってアヴァンはハンガーもどきを俺に渡してきた。俺は【メニュー】を開き、ハンガーもどきを装備する。・・・防具扱いなのか。装備したハンガーもどきは俺の背中・・・脊髄の辺りにくっつくように装備された。
「うむ、ではマント、と言ってみるのだ!」
「マント?・・・おおう!?」
俺が口にした途端、ハンガーもどきから光のマントがビュインと生えてきた。
「あ、あれはビー○マント!?」
「エナジーマントなのだ!見てくれだけではなくちゃんと防御にも使える優れものなのだ!」
アルマの危険な例えを訂正したアヴァンの言うとおり、マントはちゃんと触る事ができた。【エナジーブレード】のようにエネルギーが実体化したものなんだろうが、ブレードと違って柔らかい。ちゃんとした布で出来ているようだ。それでいてそう簡単に破れそうも無い。なるほど防御にも使える、か。
「それだけではないのだ!アルク!今度はフェザーと言ってみるのだ!!」
「フェザー?まさか・・・!?」
俺が行った途端、布のように柔らかかったマントはピンっと伸びるように硬質化し、さらに左右に展開するように広がって見せた。
「あ、あれはエ○ジーウィング!?」
「違うのだ!あれはエナジーフェザーなのだ!!」
二人が何か漫才やってるが俺の耳には入ってこなかった。なぜなら、これがフェザー、つまり翼と言うのなら・・・
「おお!飛んでる!飛んでるぜー!!」
俺の体は宙を舞った。【フロートボード】のように推進力で進むのではなく、俺の意思で自由に空を飛び、静止し、上下左右前後どこにでも進むことが出来た。そうか・・・空を飛ぶってこんな感じだったのか・・・
「わぁー!良いなーなのです!!」
「確かに、【フロートボード】よりも楽しそうですね。」
アーニャとアルマも【フロートボード】片手に羨ましそうにしている。
「・・・すまないのだ。あれはまだ試作で、あれ一つしかないのだ。なにせ作るのに結構な手間がかかる上、パーツもそれなりのものを使うのだ。」
「あ、いえいえ、急かすつもりはありませんよ?作ってくれるだけありがたいですしね。パーツが足りないようであれば入手のお手伝いしますので・・・」
「うむ、ありがたいのだ。ちゃんと全員分作るのだ。」
下でなにやら話し合っているようだが、テンションの上がった俺は夢中で空を飛びまわっていた。
「クルルー♪」
お、アーテルが並走している。一緒に空を飛べて嬉しそうだ。・・・これがあれば空の敵に対してもアーテルと手分けする事ができるな。便利な兵器だ。
「おーい、気をつけるのだー!そろそろー・・・」
アヴァンが下から何かを行ってきた時、背中のハンガーもどき・・・【エナジーフェザーマント】からアラーム音のような物が聞こえ出した。なんだこれ?その音はやがて大きくなり・・・消えた。背中のフェザーも消えた。つまり・・・
「うぉわ~!!!」
紐なしバンジーである。要するに落っこちた。翼が無いんだから当然だよね!?しかーし、ここで無様を晒す俺様ではない!俺は体勢を整えると・・・
「あ!アルクさんが空中でくるくる回り始めたのです。」
「回転の勢いで落下の勢いを殺そうと言うのですか!?」
そう!これはアニメや漫画で主人公とかが華麗に着地するあれだ!!
くるくるくる・・・ズガン!!!
・・・なんて上手くいくはず無いよな。結構高くまで行ってたし。着地は出来たがとんでもない音がした。ダメージは無いよ?ただ足に結構な衝撃が・・・あ、足が痺れてきた。
「【エナジーフェザーマント】は試作な上、我も試していたのだ。だからエネルギーが残り少なかったのだ。」
・・・そう言うことは先に言ってくんない?
「・・・何やってんのよ?アンタたち?」
そこで所用があるとかでどこかに行っていたアテナが戻ってきた。これで全員揃ったので、早速出発と言う事になった。
・・・まって、まだ足が痺れてるから。ちょっと休ませて。
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