PvP
===移動===>>PvPエリア 闘技場
あー、どうしてこうなったんだ?
俺は今ラングとガット、美女二人、そして問題の三人組と一緒にPvPエリアにある闘技場に出てきた。ちなみに闘技場のサイズはいくつかあった数万人という数が入るものから数十人程度のこじんまりした感じまであるらしい。で、俺達が来たのがそのこじんまりしたほうの闘技場。
この闘技場の中央にある舞台の上でだけPvPが有効になる。つまり殴りあい可能ってわけだ。ココ以外ではパンチやキックしても相手には届かない。届かないというよりダメージがない、というべきか。痛みもなく、何か当たった?程度でしかない。なのでPvPエリア以外ではケンカなどしても意味がないのだ。逆に言えばケンカしたかったらPvPエリアに来い、とも受け取れる。まさに俺達がそうだが。
まあ、それはいいんだが。それもゲームの一部だし。ケンカであって殺し合いではないんだから。俺もいつかその内とは思ってたよ?でもさぁ。
『それではこれよりPvP、プレイヤーvsプレイヤーの試合を行います。』
俺の葛藤を他所にシステムのアナウンスが着々と進めてくれてますよ。
『今回はヒット制を採用します。10ヒット、つまりどんな攻撃でも10回先に相手に当てたほうが勝ちとなります。そのため武器や防具による補正は無効になります。また、アイテムは使用できません。』
あ、そんなルールがあるんだ。レベル差とか武器の性能差によるハンデを無くすためかな?そういえばあの三人組ってレベルいくつぐらいなんだろう?
『それではプレイヤーは入場してください。赤コーナー、【ジャスター】、【エイベン】、【モーガイ】!!』
まずは元凶の三人組が入場する。・・・観客いないのに手を挙げる意味あるのか?・・・っていつの間にか観客いるし。さっきの野次馬達、付いてきてたのか。
『続いて、青コーナー、【アルク】!!』
名前を呼ばれたので入場する。なんか流されてるな、俺。覚えてろよラング。ついでにガット。
『ではこれより試合を始めます!!』
そう、お気づきだろうか。お れ ひ と り な ん で す け ど。
ラングとガットは辞退した。後で殴ってやろうと思う。美女二人だが、ホントにゲームを始めたばかりの初心者で武器も防具もアイテムも何も持ってなかった。ついでにお金も持ってなかった。
そして他に俺を助けてくれる人は誰もいなかったという。
「おい、お前本気で1対3でやるつもりなのか?」
ほら相手にまでかわいそうな人の目で見られてるよ。確かジャスターとかいった奴だっけ?
「いまさら謝っても遅いぞ!」「やめるなら今のうちだぞ!」
残りのバカ二人は何か騒いでるが無視する。なぜならいまさらやめることはできないし、俺が謝る事は何一つないからだ。
「やるしかないだろ?大丈夫、ラングの奴は後でシバくから。」
「そ、そうか。」
うーん、ジャスター君、意外といい人?でもないか。あんな美人たちをナンパするなんて男として許せん(思いっきり私情)。
『始め!!』
アナウンスが試合開始の合図を叫ぶ。同時にバカ二人が突進してきた。ジャスター君は後ろに下がって様子を見るようだ。多分、俺の実力を測ろうとしているんだろう。要するに捨て駒だな。この二人は。
ちなみに俺はまだクラスは【見習い】のままだ。よって武器は何でも使う事ができる。メインは大剣にしようと言っといてなんだが今回は別の武器を使う。正直、あの大剣を人間相手に使うのはちょっと、という気がしたのだ。なので今回はこれを使う。
【鉄の刀 ☆5】
特性:ATK+20 SPD+5 属性:無 消耗度:0%
侍が使用する基本的な武器。製作者の手によって最大限まで素材の力が引き出されてる
製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可
もっとも今回は武器の強さは関係ない。なのになんでこれを選んだかって言うと・・・
シュバババババババッ!!
「は?」「え?」
単に取り回しがよく、素早く扱えるからだ。
『プレイヤー【エイベン】、【モーガイ】、10ヒットを確認しました。敗北したため場外に転送します。』
アナウンスとともに消えていく二人。その顔は何が起こったのかわからない、といった感じだ。
後ろに控えていたジェスター君も唖然とした顔で見ている。
「どうしたジェスター君。ボーっとしてるとあっと言う間にやられちゃうぞ。」
せっかく残したんだから、もう少し楽しませてもらう。ハッとして表情を戻したジェスター君が手のひらをこちらに向けた。
「【ファイアボール】!!」
手のひらから火の玉が出てきた。どうやらこれが魔法らしい。うん、魔法だな。
しかし、スピードがまるでない。スッと避けて一撃を入れる俺。
「クソッ!【ウォーターボール】!【サンダーボール】!」
後ろに下がりつつ魔法を乱発するジェスター君。しかし、そんな適当に撃ってちゃ当たらんだろう。俺は火の玉を潜り抜けつつ追撃する。
「もう一撃、・・・ッ!」
俺の一撃をジェスター君は剣を使って受け止めていた。
「【パワースラッシュ】!」
強力な剣に一撃が振り下ろされる。がやはりスピードが無いため、避ける事ができた。今のが剣のスキルか。
そして彼はSTRとMNDにステータスを振り分けているようだ。その分、SPDを犠牲にしている。だから圧倒的にレベルが低い俺に対して攻撃が当てられないんだろう。多分。
「クソッ、クソッ、【飛翔斬撃】!」
今度は斬撃を飛ばすスキルか。漫画やアニメでよく見るな。だがこうして目に見える以上、避けるのは難しくない。
・・・ちなみにこれが実戦だったら、一発食らっただけで俺は多分即KOされると思う。なにせDEFがゴミなんで俺。なんで俺も結構必死に避けている。練習には丁度いいなこれ。
「クソクソクソクソ、クソッ」
さっきからそれしか言えず、がむしゃらに剣を振り回すジェスター君。終わりにしようか、残り9ヒット。丁寧に避けながらジェスター君に当てていく。
「惜しいな。」
残り3ヒット。
「魔法と組み合わせたらもっと戦えただろうに。」
残り2ヒット。
「冷静に戦えないと自分の実力は出せないぞ?」
残り1ヒット。
「もっと実戦を積め。お前はまだ強くなれるだろ?」
残り0ヒット。
『プレイヤー【ジェスター】の10ヒットを確認しました。プレイヤー【アルク】の勝利です。』
ワァアアアアア。
どこからか歓声が響くが・・・ゲームの演出か?
ジェスター君はがっくりうな垂れてる、が言いたい事は既に言った。
俺は黙って舞台を後にした。
・・・はて?何でこんな事になったんだっけ?
おまけ 某掲示板より抜粋
787:名無し
すごかったな
788:名無し
ああ、スキルとか魔法ってあんな簡単によけれたっけ?
789:名無し
何の話?
790:名無し
今、PvPエリアのコロシアムで3対1のPvPがあってな
791:名無し
なにそれ?いじめ?
792:名無し
いや1人のほうが圧勝した
793:名無し
なにそれ?
レベルが圧倒的に違ったとか?
794:名無し
いや3人のほうはなにかと騒がれていた中堅どころだったはずだ
1人のほうは見た事が無い
795:名無し
ああ、俺も知ってる、3人のうちの一人はPvPが強くて
絡んできた奴を何人も返り討ちにしてた奴だ
ぶっちゃけ今日も返り討ちかと思って見てたんだが
796:名無し
トッププレイヤーのだれかか?
797:名無し
ソイツは人間の男で黒髪の長髪に金のメッシュを入れてる
だれか知らないか?
798:名無し
知らないなー
799:名無し
今見てきた
PvP掲示板でもお祭り騒ぎだった
アイツはだれだーって
800:名無し
少なくともナンパ三人組から女の子を助けた勇者だってことはわかってる
801:名無し
なんで勇者?(笑)
802:名無し
周りの人間が見て見ぬ振りをする中颯爽と割ってはいる!
勇者だろ?
803:名無し
確かに(笑)
804:名無し
それなんてイベント(笑)
805:名無し
助けられたほうも惚れたな
806:名無し
二人いたから修羅場ってるかもな(笑)
807:名無し
なにそれうらやまス




