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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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菜々子さんの下着姿のデッサン

 朝ご飯はもうチャーハンどころじゃなかった。僕は菜々子さんに二十一回も叩かれて、鏡を見ると顔が凸凹だった。そして菜々子さんは怒りの笑顔から不機嫌な顔に戻ってしまった。

 もしかしてこれで僕と菜々子さんの関係は壊れてしまうのを僕はスゴく恐れた。でも今日の菜々子さんは僕に口は聞いてくれずに、ただ単に黙っていた。

 いつも通り、菜々子さんと一緒に図書館に行くのだが、顔の腫れはまだ治っていない。この顔を光さんに見せたら光さんは僕を真っ先に心配するだろう。


 それだけは回避したいが、図書館が開く十分前に自動ドア越しで僕の顔を見た光さんは心配そうに強引に自動ドアを開いて僕に聞いてきた。


「どうしたのあっ君そんな顔がボコボコで」


「いや、その、あの色々とありまして」


 そこで菜々子さんが「光さん聞いてよ。こいつ昨日光さんの下着姿を見て欲情したあげくに、部屋で光さんの下着姿をデッサンしていたのよ」


「だからって菜々子ちゃん、こんな顔が変形するまで殴るなんて尋常じゃないわ」


「光さんは怒らないの?光さんの下着姿を」菜々子さんは僕の頭を叩いて「このスケベな頭に焼き付けてスケッチされたんだよ」


 僕は申し訳なさで何も言えなかった。


「だからってこんなに顔が変形するほど殴るなんてひどいよ」


「どうしてあっ君の肩を持つのですか?このスケベ大王にもっと仕置きをするべきだわ」


「もう良いじゃない、菜々子ちゃん。私はあの時豊川先生のモデルとなっていた。私としてはあっ君の私の下着姿をデッサンをされて嬉しいんだけどね」


「正気ですか光さん?こいつはやましい気持ちで光さんの下着姿をデッサンしたんですよ」


「あっ君、本当にやましい気持ちで描いたの?」


 少し残念そうに語りかける光さん。


「やましさは確かに半分ありました」


「でも男の子だから仕方ないわ。私ってそんなに魅力合ったあっ君」


 女神様スマイルで言う光さん。


 だから僕は正直に「ありました」と言った。


 そういうと、菜々子さんから後ろから思い切りげんこつをお見舞いされた。


「ちょっと菜々子ちゃん、それぐらいにしておきなよ。あっ君がかわいそうでしょ」


 光さんは優しいなと思っていると菜々子さんは「光さんが許してもあたしが許さないんだから」


「じゃあ、今度は菜々子ちゃんがあっ君に下着姿をデッサンしてもらえば」


「何を言っているのですか光さん。あ、あたしが、アツジのデッサンになるなんて・・・」


 しばしの沈黙、僕は菜々子さんの全身を見つめたら、菜々子さんは「何あたしの事を嫌らしい目で見ているのよ」また一発叩かれた。


「ちょっと菜々子ちゃん、あっ君は男の子よ。女の子の裸に興味があるのはむしろ健全な男子の証だよ」


「だからって嫌らしい目で見られるのはあたしは嫌なの」


「あなた達つきあっているんでしょ。今時の中学生は進んでいるから、エッチな事の一つもしてあげられないの?」


「嫌だ、何を言うのよ光さん。じゃあ、光さんは男の人とそういった関係になった事はあるんですか?」


「残念ながら、そういった関係になった事は無いわ」


「でも豊川先生に下着姿を見せても平気なのですか?」


「まあ、豊川先生には何度かモデルを依頼された事はあるけれど、あの人は私のことを本当の女としては見ていないわ。それに私の下着姿を見ても何も反応も無いくらい何だから」


 そんな話を繰り広げているうちに、図書館は開いた。光さんは僕達に今日も、テストの用意しているみたいだ。今日もお互いに闘志を燃やし合い、勉学アンド小説を描いていた。僕は顔の傷がひりひりとしていて、痛みを感じて集中線が切れそうになったが、やはり菜々子さんには勉強でも小説でも負けたく無いので我慢しながら励んだ。


 今日の菜々子さんは今朝見た事だろう光さんのスケッチブックを見て、不機嫌だった。でもなぜかその怒りを勉強や小説を書くことにうっぷんを晴らしているような感じだった。

 僕は菜々子さんに負けたくない。

 そういえば菜々子さん以前、僕にアプローチして来た事が合ったが、妹に邪魔が入り、エッチすることは出来なくなったんだっけ。

 あれから数ヶ月がたって、菜々子さんは堅くまるで自分を大切にするようになった。

 菜々子さんの下着姿か?そういえば一回だけ見たことがある。

 その時の事を思い出すと、頭に血が上り、僕は興奮してしまった。こんな時に不謹慎な事を考えてはダメだ。

 今歴史の勉強をしていたのに、気がつけば菜々子さんの下着姿をデッサンしてしまっていた。やばいこんな事を菜々子さんに見られたら、今度は殺されるかも知れない。僕が慌てて『ぱん』とノートを閉じると菜々子さんが振り向いて、


「どうしたのアツジ」


「何でもない何でもない」


 うろたえながら僕が言うと、菜々子さんは「んん~」と目を細めて僕が慌てて閉じたノートを取り上げようとしたが、渡すわけにはいかなかった。


「アツジ、そのノートをあたしに見せなさい」


 怒りを通り越して笑顔の光さん。


「何でもないよ」


 すると菜々子さんは僕の頬にビンタをした。


「菜々子さんここで喧嘩をおっぱじめるのはよくないよ」


「良いから、見せろって言っているのよ」


 ノートを強引に奪われて、菜々子さんの下着姿をデッサンしたノートを見つめて、菜々子さんは黙っていた。僕は殺される事を覚悟して、耳をふさいで思い切り目を閉じた。


「ふーん。アツジ、あなたはあたしの事好きな気持ちは合るようね」


「ヘッ!?」


 意外な返答に僕は唖然とした。


「そうよ、アツジはあたしだけを見ていれば良いのよ」


 その菜々子さんの返答で分かったが菜々子さんは僕が光さんをデッサンした事に怒っているだけだったのだ。菜々子さんは僕が菜々子さんをデッサンした事で喜んでいる感じだった。


「アツジ、絵上手だね」

 

 僕が無意識に書いてしまった菜々子さんのデッサンを描いた歴史のノートを返してくれた。ご機嫌斜めだった菜々子さんは菜々子さんを無意識のうちに描いて、それを見た菜々子さんは機嫌を取り戻してくれた。

 つまり菜々子さんは光さんに嫉妬していただけだったのか。大きくため息をつくと、顔の腫れが疼いた。


 僕と菜々子さんは、再び歴史の勉強と小説を書く事に専念した。隣にいる菜々子さんはさっきよりも落ち着いた表情をしていた。怒りが収まったんだなと僕は思った。それで僕も負けて入られずに勉強と小説を書くことに専念した。今僕は小説を書いている。もしこの僕の小説が書籍化されたら自分で表紙を飾りたいと思ってしまった。

 昔絵の教室に通っていた事があり、僕は絵を描くことは嫌いじゃない。だからもっとうまくなって、自分の小説の表紙は自分で描ける位にしたい。

 

 何て思いながら小説を描いていると、光さんが現れて、「しっかり勉強しているようね。今日も午後から歴史のテストをするから、キリが終わったら、公園に来て、昼食にしましょう」


 僕と菜々子さんはいったん勉強をキリの良いところで終えて、二人で、光さんが待つ図書館に隣接する公園に向かった。

 光さんと目が合うと、光さんは笑顔で手を振って、片手にパンが入っているだろう紙袋を持っている。


「菜々子ちゃん。落ち着いた」


「はい落ち着きました」


「何か菜々子ちゃんさっきまで激高していたのにスゴく機嫌が治ったように思えるんだけど、何か良いことでも合ったの?」


「秘密です」


 そういって菜々子さんは光さんからパンを受け取り、食した。僕も受け取ってパンを食した。僕が今食べているのはあんパンだ。そういえば菜々子さん、アンパンマンのようなヒーロー者の、小説を書いているって言っていたっけ。ちなみに僕は女の子がヒーローの小説を描いている。その女の子のイメージが頭に浮かび、後で家でこっそりと描くことにしよう。また菜々子さんに絵を見られたら違う女を書いたのだと逆鱗に触れてしまうから。


 それと話は変わるが、エイトマンが無くなった現場なんだよなここは?それに百合の花がおいてあった場所に新しい百合の花がおいてあった。

 光さん、まだエイトマンの事を忘れる事が出来ないのだろうか?これは光さんの問題だから僕達が口を出せんない。でも光さんには本当の幸せになってもらいたいと僕と菜々子さんは思っている。


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