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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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みんなで遊びに行こう。

 緊張しながら昨日掲載した小説のアクセス回数を見てみた。

 僕は64アクセスだった。

 なかなかのアクセス回数だった。

 これなら二人に勝てるかもしれない。


「あっ君!あっ君のアクセス回数はいくつだったの!?」


「僕のアクセス回数は64だったよ」


「やった、私、あっ君に勝ったよ、ちなみに私のアクセス回数は76だった」


 マジで、じゃあ奈々子さんのアクセス回数はと言うと。


「西宮、あたしの負けだよ。あたしのアクセス回数は60!」


「やったー私の勝ちだ。これであっ君に何でも命令が出来るんだね」


「ちょっとまって涼子ちゃん。わたしのアクセス回数は106だったからわたしの勝ちよ」


 二人のことで忘れていたが、斎藤さんもエントリーしていたんだっけ。

 ところで斎藤さんはどんな事をお願いするのか?


「翔子、あなた何をお願いするの?」


「今日、冬休み最後の日でしょ」


「そうだけど、いったい何をお願いするの!?」


「みんなで遊びに行きたいな!」


 内気な斎藤さんは思いきった発言をする。


「どこに遊びに行くの?」


「一人一人遊びに行きたいところを全部制覇する事」


 遊びに行くところかあ?僕は公園のボート乗り場に行きたいと思った。

 僕がそう提案すると、みんな僕の提案に乗ってくれた。


 この近くの公園でボート乗り場がある。早速ボート乗り場がある公園へと向かった。


「じゃあ、私はあっ君と一緒が良いな」


 と西宮さんが言ってきた。


「ちょっと何であんたが決めるのよ。決めるのは今日私達に勝った翔子に権限があるでしょ。翔子は誰と一緒にボートに乗りたいの?」


「わたしは涼子ちゃんとボートに乗りたいな」


「エー何で翔子とボートに乗らなくちゃいけないのよ」


「ダメかな?」


 西宮さんにひどいことを言われて、落ち込む斎藤さん。


 すると西宮さんは斎藤さんを優しくなだめて、「分かったわよ。一緒にボート乗ろう」と言うと斎藤さんはパァーと明るく笑顔がほころんで西宮さんと斎藤さんはボートに乗ることにした。


 僕と奈々子さんは一緒にボートに乗ることにして、二人で語り合った。


「ねえ、もしアツジがこの勝負に勝ったらどうするつもりだったの?」


「いつも通りの生活を送ることを望んでいたよ」


「いつも通りの生活って?」


「いつも通りはいつも通りだよ。西宮さん達と一緒にいつものように勉強をしていたいと思ったよ」


「ふーん」


「奈々子さんは何をお願いしたの?」


「あたしも同じ事を考えていた。涼子におちょくられるのはしゃくだけど、あの子、本当に勉強を熱心にやっているから、その熱を貰っていつものように勉強をする事を望んでいたよ」


「奈々子さんは僕と同じ事を考えていたんだね」


「アツジは正直、涼子に気があるんでしょ」


 本心を看破され動揺する事も隠せず、僕は何も言えなかった。


「やっぱりそうだったんだね。涼子に気があることはあたしが思っていたとおりだよ」


「・・・」


 僕は黙って目を閉じて、奈々子さんにピンタの一発食らうのを覚悟していた。


「そんなに警戒しなくても良いよ。あたしは何もしないから。それにあたしは涼子に何て負けないんだから」


「・・・奈々子さん」


 僕は奈々子さんの思いを知り、ますます奈々子さんの事が好きになった気がした。

 そうだよ。僕には奈々子さんと言う、素敵な女性がいるんだよ。

 でも油断していると、西宮さんに気持ちが向いてしまうかもしれない。

 けれどそんな事はない。僕には奈々子さんという素敵な女性がいるんだ。


 ボートを二人でこぎながら、僕達は本当のカップルのような気がした。


「何、二人でいちゃついているのよ、ご両人」


 西宮さんが立ちこぎは禁止なのに、ボートから立って僕に言った。


「別にいちゃついてなんていないわよ。妙な嫉妬は止めてくれる!?」


 すると西宮さんと斎藤さんのボートが揺れだして、西宮さんは落ちそうになる。


「ちょっと涼子ちゃん!」


 とっさに斎藤さんが西宮さんの手を取って、落ちることは免れた。


「危なかった!」


 と西宮さんは冷や汗をかいていた。


「そのまま落っこちちゃえば良いのにね」


 とんでもないことを発言する奈々子さん。


「何よ奈々子、私とやるって言うの?」


「上等よ!」


 奈々子さんの目と西宮さんの目がギラリと光る。


「二人とも喧嘩は止めてよ。どうしていつも二人はそうなの!?」


 突然叫びだしたのは斎藤さんだった。続けて、


「いい加減仲直りしてよ!」


 西宮さんと奈々子さんは斎藤さんの言葉に黙って従ってくれた。


 僕は心の中で思った。二人は仲良くなることなんてないと思う。だって、僕は奈々子さんから西宮さんに奪われそうな感じだからだ。


 ボートから下りたとき、僕達は、ボートを管理しているおじさんに怒られてしまった。それは多分、西宮さんがボートをこいでいる時は立ち上がってはいけないと看板に書いてあった事を守らなかったからだ。

 でも怒られて良かったのかもしれない、今は冬だ。こんな寒い日に、池に落ちたら大変な目に合っていただろう。


 ボート乗り場を後して、ちょうどお昼の時間帯になった。


「まあ、奈々子、私が悪かったよ。そろそろお昼だし、何か食べに行こうよ」


「食べるって何を食べるのよ!」


 なぜか奈々子さんは喧嘩口調だった。


「何よ、そんな言い方しなくたって良いじゃない」


「もう、今日はわたしがアクセス回数が多かったんだから、わたしの指示に従って!」


 と斎藤さんは大声で叫ぶ。


 すると西宮さんと奈々子さんは黙り込み、目を閉じる。

 とりあえず二人は落ち着いてくれて、斎藤さんもホッとしたようだ。


「じゃあ、翔子、あたしが知っているおいしいラーメン屋さんがあるんだけど、そこにしない?」


 奈々子さんが提案する。


「じゃあ、奈々子さんが行きたいところはラーメン屋ね」


 僕達は自転車で、奈々子さんがおいしいと言うラーメン屋まで行くことになった。

 そう言えば奈々子さんはおいしいラーメン屋なんて、連れて行ってくれなかった事を思い出す。

 どんなラーメン屋なのだろう?

 もしかしてお母さんとの思い出のラーメン屋なんて言うんじゃないだろうな?


 ラーメン屋に到着したとき、とある活気の無くした商店街にそれはあった。

 そのラーメン屋の名前は凛と言うラーメン屋だった。

 早速お昼時か?ラーメン屋はかなり混雑していた。

 僕達も並んで、僕は少しだけわくわくしていた。


「良い匂いがしてくるわね。ニンニクの匂いかしら?」


 西宮さんが言う。


「そうよ。ここのラーメン屋はかなりの分量で、普通盛りでも超大盛りなんだからね、あらかじめ自分の胃と相談して食べないと、残すことになるわよ」


「じゃあ、私は普通盛りでいいや」


「奈々子さん。ここのラーメン屋ってどれぐらいの分量が入っているの?」


「普通のラーメン屋の大盛りの二倍はあると思って置いた方が良いわよ」


「そんなに」


 まあ、僕は結構大食いだから普通盛りはいけるかもしれない。


「じゃあ、僕も普通盛りで頼むよ」


「後悔しても知らないわよ」


「そんなにここのラーメン屋って、量が多いの?」


「多い何て物じゃないわよ」


 と奈々子さんが指さす客に手渡すどんぶりを見てみると、野菜がてんこ盛りに添えられていた。

 あんなの食べられるのかと心配したが、僕は食べることを決意した。


「僕は食べるよ」


「私も食べるよ、普通盛り」


「あんたは小食だからやめておいた方が良いんじゃない?」


「じゃあ、奈々子、勝負しようよ。あの普通盛りのラーメンをどちらが先に食べられるか?」


 また、とんでもないことになってしまった。

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