勝負前日
「フー」と息をつき、勝負は明日決まる。
僕は自信はあったものの、三人も自信に満ちている。
そんな最中、僕達は闘志を燃やし合い勉強に尽くした。
僕は絵の勉強をしていた。
「あっ君絵がうまいんだね。あっ君の絵に私は引き込まれそうだよ」
「涼子、今はよそ見しない、自分の勉強に専念して!」
「分かっているわよ」
そう言って、西宮さんは自分の勉強に熱を入れている。
とにかく僕は絵を描くことが小説を書くのと同じくらいに楽しい。
絵を描ける事は僕にとって楽しいことだ。
僕の夢は小説家兼絵師だからね。
僕は今、昨日書いた小説の表紙としてネットに掲載させるつもりだ。
そうしたら、ネットの人達は僕の小説に注目が集まるだろう。
すると西宮さんが「あれ?あっ君それって、あっ君の小説に出てくる宗太郎?」
僕はギクッとする。何で西宮さんは僕の小説に出てくる宗太郎の事を知っているのか?
「もしかしてあっ君。その絵を小説の表紙に載せるつもり?」
やばいばれてしまっている。
「やっぱりそうなんだ。それじゃあ、あっ君が有利になってしまうじゃない!」
「何アツジ、あんた、あたし達に黙って自分だけ表紙を描くつもりだったの!?」
奈々子さんもご立腹のようだ。
二人は僕に威圧的な目を向けている。
やばい二人は本気で怒っている。
「とにかくあっ君、あっ君だけ表紙をつけるなんてフェアじゃないわ。その表紙を出したら、あっ君を不戦勝と見なすわよ!」
「分かったよ。僕の描いた絵を僕のネット小説には載せないから」
すると奈々子さんが僕がせっかく描いた表紙を書いたスマホを取り上げて、表紙を描こうとした絵をデータを消してしまった。
「何をするの奈々子さん。だからって消すことないでしょ」
「フェアじゃない事をしようとしたことの罰よ」
「せっかく描いたのに」
「自業自得よ」
確かにフェアじゃない勝負だが消すことはないんじゃないかと思ったが、仕方がない、三人の熱にあやかりながら僕も勉強を始めよう。
ネット小説の勝負は明日つくのだから、それまで僕は何かしていないとどうにかなりそうだった。
だから僕は小説を書き始めた。
冬休みの宿題も終わったことだし、僕は僕で小説を書き続ける。
小説って楽しく書くのが良い。
楽しく小説を書くと面白い小説が描けるのだ。
まともな感覚からでは良い小説は描けない。
そう思うと明日の勝負は僕の勝ちだ。
何だろう、何か眠くなってきたぞ。
そう言えば昨日小説に没頭しすぎて僕達四人は眠っていなかったのだ。
三人を見てみると、しっかりと勉学に挑んでいる。
僕も眠気なんかに負けないで、小説を描かないと。
やばい眠気には敵わない。
でも、でも、でも。
そして次の日、僕達がネットに投稿した小説をアクセス回数を見るために自分たちのアクセス回数を見てみた。
僕のアクセス回数を見てみると、五十人程度だった。
そして悔しいが西宮さんの方を見てみると七十人を超えていた。
「ああ、あっ君を私が上回ったよ」
ちなみに、奈々子さんは六十だった。
「やったー私の勝ちだ。それじゃああっ君、あっ君を私の言うことを聞くんだよ」
「はい」
約束だから仕方がない。僕は西宮さんに負けたのだから、西宮さんの言うとおりにするしかない。
「じゃあ、僕が西宮さんに何をすれば良いの」
「決まっているじゃん。大人の遊びをしましょう!」
そこで奈々子さんが「大人の遊びって何よ涼子!」
「負け犬は引っ込んでなさいよ」
そう言って西宮さんは奈々子さんにピンタをして、二三メートル吹っ飛んで行った。そして気絶してしまった。
「翔子、外に出て貰えるかしら」
「はい」
と言って斎藤さんは僕の家から出て行った。
すると西宮さんは上着を脱いで、相変わらずに凄い大きいおっぱいで僕に迫ってきた。
「あっ君、あっ君は今日からあたしの物よ」
と抱きついてきた。
僕は抵抗したが、西宮さんは凄い力で僕を牽制する。
「本当に止めてよ西宮さん」
背丈の小さい割に合わない大きな胸に顔を埋められて、僕は呼吸困難に陥りそうになった。
何でこんな事になってしまったのだ。
苦しい。息が出来ない。
「ハッ」と目覚めると、そこは僕の部屋だった。
どうやら僕はとてつもない嫌な夢を見ていたようだ。
そう言えば、僕達は小説を書くことに没頭しすぎて、眠ってしまったらしい。
他のみんなも眠っている。
今日は何日で何曜だと思ってスマホの時計を見てみると、どうやら、今日はまだ小説を競う日ではなかった。
ちなみに時計は午後六時を示している。
そろそろ桃子と光さんがやってくる時間だ。
思った通り、桃子と光さんはやってきた。
「ヤッホーあっ君、勉強は捗っているかな?」
「お兄ちゃん今日はうちらハンバーグを作ってあげるから」
それは楽しみだ。それよりも昨日の疲れで眠っている三人を起こそうとしたが、昨日の疲労で寝かせて置くことにした。
桃子と光さんは起こした方がいいんじゃないかと言っていたが事情を説明して寝かせて置くことにして貰うことにした。
それよりも明日か、何か緊張する。もし西宮さんがネット小説でアクセス回数が凄く高くて僕と奈々子さんが負けてしまったら、どうなるのだろう。
夢であったことが実際に行われるのか?心配だった。
それよりも夕飯が出来上がった、とりあえず三人を起こそうとすると、香ばしいハンバーグの匂いに反応して三人は起き上がった。
光さんと桃子特性のハンバーグはとてつもなくおいしかった。
三人も満足していた。
そして光さんと桃子は図書館へと行って、桃子はラストスパートの勉強に光さんに教えて貰うのだろう。
それはそうと僕は明日が恐ろしく感じてしまった。
「何よあっ君、そわそわしちゃって」
「いや別に」
「明日のことで緊張しているんでしょ。大丈夫だよ。私が勝っても、そんな過激なお願いはしないから」
と西宮さんはもう勝った気でいる。
過激な事はしないってどういう事だろう?僕は人知れずに緊張してしまった。
とにかく明日が怖い、僕と奈々子さんが負けてしまったら、僕と奈々子さんはどうしたら良いのだろうか?
今日の所は勉強は中止して明日に備えて僕達は光さんと桃子特性のハンバーグを食べたら、眠ることにした。明日も、新聞配達だし。
とにかく新聞配達が終わったら、アクセス回数を見てみるのだ。
そして次の日の朝三時、僕達は新聞配達の仕事に向かうことになった。
いつものように僕が朝ご飯を作って三人に食べさせて、向かった。
新聞配達所に到着すると、早速仕事をして、今日は僕と西宮さんがペアーを組むことになった。
「よろしくね。あっ君」
そんな明るい西宮さんを見ていると、本当に強い女性なんだなと思ったりしていた。
だって西宮さんは公衆便所に産み捨てられたと言うのに、そんな不幸めいた事はいっさい言ったりしない。
僕は強い女性が好きだ。
でも僕には奈々子さんという素敵な女性がいる。
小説の勝負で西宮さんに負けてしまったら、僕は本当にどうなってしまうのか?
でもそんな強い女の子に好かれるなんて僕は幸せだと思っている。
だけど、僕は西宮さんの思いには答えられない。
そして僕達は新聞配達の仕事が終わって、いったん僕達四人は僕の家へと帰って行った。
「さて、私達の小説のアクセス回数を見てみましょうよ」
僕達四人はそれぞれスマホを持ち、自分が管理している小説のサイトにアクセスして、僕達はそれぞれ見ることとなった。




