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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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とある三が日の日常

 よし、面白い小説を描こうとするんじゃなくて、楽しく小説を書いた方がインスピレーションが沸く。

 この調子で小説を進めていけば良いんだ。

 すると面白いアイディアが沸々と浮かんでくる。

 ネットのYouTubeで小説の描き方を見たのだが、とにかくたくさん読んでたくさん描くことが大事だと言っていた。

 とにかく楽しく描こうとするとインスピーレーションが止まらない。

 僕は小説を描いていたい。もっともっと描いていたい。

 西宮さんも斎藤さんも奈々子さんも小説を描くことに闘志を燃やしている。

 とにかく僕もその後に続く。


 時計は午後十時を示していて、今日の所はお開きとなってしまった。

 もっと小説を描いていたいのだが、終わりという物は当たり前のようにやってくるのだから仕方がない。

 明日も新聞配達の仕事だ。僕達も奈々子さん達も負けてはいられない。


「今日は施設に帰らずにアツジ君のところで泊まらせて貰うよ」


 と西宮さんが言う。


「あなた図々しいわね」


「別に良いじゃない。私達はもう親友なんだから」


「いつから親友になったのかしら」


 そこで僕が「まあ、良いじゃない、勉強も小説も共に頑張れる仲間が増えたのだから」


「・・・」


 奈々子さんは何も言わずに布団の中へと入っていった。


 僕は奈々子さんと同じ布団の中に入り、西宮さんは斎藤さんと同じ布団の中に入っていった。


「それではおやすみなさい」


 と言って電気を消す。





 そして目覚めると午前三時を示していた。

 僕達はその時間になるとスイッチが入ったかのように起き始める。


「今日も早速新聞配達だね」


 僕は四人分の食事を用意して、みんなに食べさせた。メニューはパンにハムを挟んでハムサンドだった。


 はっきり言っておいしくはなかったが、みんな文句も言わずに食べている。


 早速外に出て、奈々子さんが作ってくれたマフラーを巻いて、僕は出かけるとみんなも僕に続いた。


 僕達は自転車で配達所に向かい、到着して、同僚達に挨拶をする。


「「「「おはようございます」」」」


「おう、おはよう、いつも元気だねみんな」


 と社長に言われた。


 今日も新聞に一部ずつチラシを入れる作業から始まって、僕達の勝負が始まる。

 新聞のチラシ入れが終わるとみんなも終わったみたいで、そして僕と奈々子さんとペアを組んで、西宮さんと斎藤さんがペアを組んだ。


 そして勝負が始まる。


 そして勝負が終わり僕と奈々子さんが帰ると、西宮さん達はいなかった。


「奈々子さん。今日は僕達が勝ったようだね」


「そのようね」


 そう言いながら西宮さんと斎藤さんを待っていると、二人は少しして戻ってきた。


「ああ、奈々子とアツジ君に負けてしまったよ」


 本当に西宮さんと斎藤さんは悔しそうだ。


 奈々子さんは西宮さんにジュースをおごって貰って、僕は斎藤さんにジュースをおごって貰った。


「あー悔しい!」


 と西宮さんは叫んでいた。


 奈々子さんの方を見るとそんな西宮さんを見るのを楽しんでいるように見えた。

 本当に奈々子さんは性格が悪い。でも本当の奈々子さんは不器用だけど優しいんだよね。 

「じゃあ、さて、奈々子にアツジ君今日はアツジ君の家で勉強アンド小説をさせて貰うから今日も私達は負けないよ」


「何を言っているのよ、あたし達だって負けないんだから」


 西宮さんと奈々子さんは本当にライバル同士だ。


 本当の奈々子さんのライバルは僕なのに、何かライバルを取られてちょっとさみしい気持ちにもなったりする。


 まあでも本当の平和な正月が迎えられて僕達は良かったと思える。

 今日も僕と奈々子さんは小説をネットで投稿して、アクセス回数を見てみると、今日は僕の方が上だった。


「何であんたの方が上なのよ」


 と奈々子さんは悔しそうにしていた。

 こうして奈々子さんの悔しそうな顔を見ていると、何か気持ちよかった。

 ああダメだ、そんな事を考えちゃ、僕は本当に性格の悪い人間になってしまう。


 一月三日が過ぎて、冬休みは短いがまだ続いている。


 そんな中、僕達は闘志を燃やし合い、勉学に励んだり、小説に励んだり絵に励んだりしていた。

 本当に時が足りないほどだ。

 一日が二十四時間じゃなくてもっと一日を増やして欲しいほどだ。


 気がつけばお昼を回っていた。

 西宮さんが言うまで僕達はお昼の事を忘れていた。


 そんな時である、桃子と光さんがやってきた。


「みんなはかどっている?」


 光さんがビニールに色々な物を詰めてやってきた。


 僕が「光さん、開けましておめでとうございます」


「うん。おめでとう。ごめんね。お正月来れなくて」


「いや良いんですよ。僕達は僕達でお正月になったら初詣に行きましたし」


「そうだったんだ。じゃあ、お正月にちなんで、私と桃子ちゃんがお雑煮を作ってあげる」


「本当ですか?」


 と僕は楽しみになってしまう。それに続いて西宮さんも斎藤さんも奈々子さんも楽しみにしている。


「よし、その間、僕達は勉強を進めていようよ」


「「「了解」」」


 僕達四人は意気投合している。


 勉強しながら僕は思う。光さんのお雑煮かあ、何だか楽しみだ。

 桃子もそろそろ受験だから、僕達の闘志にあやかり勉強を進めている。


「桃子、もし分からないところがあったら、僕に聞くんだぞ」


「桃子はもう光さんに嫌と言うほど、教えて貰ったから後は復習をするだけだよ」


「ちなみに桃子、進学校に入って何をするんだ?」


 僕がそう言うと西宮さんも斎藤さんに奈々子さんが桃子の方に振り向いてくる。


「そう言われると分からないけれど、桃子、答えが分かるまで勉強を一生懸命に頑張る」


 奈々子さんが「それは良い心がけね」


 西宮さんが「まだ、小学生でその先の事なんて分からないよね」


 斎藤さんが「桃子ちゃん頑張ってね」


「うん。桃子頑張るよ。頑張って桃子が受験する進学校に受かってやるんだから。

 それよりもお兄ちゃん達はどこの高校に入るの?

 来年は受験でしょ」


「お兄ちゃんは美術学校に進学する事にしたよ」


「お兄ちゃん美術の学校に行くつもり?」


「うん。お兄ちゃんと奈々子さんは美術の学校に行くつもりなんだ」


「お兄ちゃん。昔から絵がうまかったからね。お兄ちゃんの夢は将来画家にでもなるの?」


「まあ、そんな感じかな?」


 僕の夢は小説家兼絵師だ。この事はまだ誰も知らない。


「頑張ってねお兄ちゃん」


 そこで西宮さんが「良い妹さんね。今時お兄ちゃんの為に何かをしてあげようとする妹なんていないよ」


「そうなの?」


「兄弟がいるなんて私に取って羨ましい限りよ」


 そうだ西宮さんは孤児だから、兄弟なんていないんだった。

 西宮さんの発言で、僕達の中の空気が暗くなり闘志が燃やせなくなった。


 そこで奈々子さんが「ちょっと涼子、あなたどういうつもり、あたし達まで場が暗くなっちゃったじゃないのよ」


「ごめんごめん、ついね」


 桃子が、「西宮さんって兄弟はいないの?」


 そうだ。桃子は西宮さんと斎藤さんの事情を知らないのだ。桃子は悪気があって言ったわけじゃない。


「うん。私は一人っ子なんだ。だから桃子ちゃんとアツジ君が羨ましいと思ってね」


 とあたかも孤児の事は伏せておいてある。


 西宮さんも同情をされるのは嫌いだからな。


「そうなんだ」


 と桃子。


「そうなんだよ」


 と自分の置かれた境遇を必死に隠そうとする西宮さん。


 あー今一勉強に身が入らなくなってしまった。


 僕は気分転換に外の空気を吸おうとすると、光さんのお雑煮ができあがった頃だった。


「みんなお雑煮が出来上がったわよ」

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