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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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器の大きい西宮さん

 今日のメニューは肉じゃがだった。

 それにポテトサラダにトマトやキュウリなんて物もあった。


 僕が「光さん、いつもすいません。最近妹にも勉強を教えてあげてもらっちゃって」


「良いのよ私が好きでしている事だから」


「光さんは大丈夫なんですか」


「何が」


「僕達にまで料理を作ってくれて、光さんの勉強や図書館の司書のバイトに支障が出ていないか?」


「私を誰だと思っているの?私は通信制の高校のレポートはちゃんとこなしているし、来年は大学受験だけれども、それでも大丈夫だよ」


「そうなんですか。なら良いんですけれども」


「人の心配するよりも自分達の心配をしなさいよ」


 光さんは大丈夫そうだ。僕達が心配しなくても、いつも僕達の世話をしてくれている。大丈夫だと聞いたとき僕は安心してしまった。


 光さんは「ところで、西宮さんだっけ、安井君って子に傷をつけられたって聞いたけれども大丈夫?」


「平気です」


 そこで奈々子さんが「聞いてくださいよ光さん。涼子ったらそれでも安井のことを気にかけて相変わらず安井の肩を持つんですよ」


 すると光さん表情をほころばせながら「素敵な事ね。傷つけられたにもかかわらず、それでも安井君に手を差し伸べるなんてそう簡単にできないことだわ。私だったらそんな人ほおって置くのにな」


「そうよ。涼子、安井の事なんかほおって起きなさいよ。

 そうそう、今日安井とカラオケで会って、一緒に歌わないと言って一緒に歌うことになったんですよ」


「本当に涼子ちゃんは心が広いのね。私も見習わなきゃね」


 そこで西宮さんが「でもあいつ、安井ですけれども、私達に今日土下座してきたんですよ。これって大きな進歩だと思うんですけれど、光さんはどう思います?」


「なるほど、さすがの安井君も心を入れ替えたのかもしれないね」


 そこで奈々子さんが、「また面倒事にならなければ良いんだけれどもね」


 そこで僕が「面道事かあ、あいつにはいろんな悪い奴を従えていたから、そいつらに反感を買ってしまわないか心配なんですけれどもね」


「そうよ涼子、あんたのやっていることは理解できないけれど、あいつに一昨日の奴のように安井に反感を買っている奴は自ずといるわ、だから気をつけなさいよ」


「そうだよ。一昨日、西宮さんレイプされそうになったじゃ無いですか、僕はもうあんな厳つい奴の反感を買うのはごめんですよ」


 そこで西宮さんは「大丈夫だって、安井君の土下座は私本当に嬉しかった。私の思いが伝わったんじゃ無いかって。だから安井君がもう誰かの反感を買うことは無いわ」


 奈々子さんは「あなた本当におめでたい頭をしているのね」


「おめでたくは無いよ。ただ、いじめは良くないと思っているだけだよ」


「だからってあの安井にひどい事になってしまったでしょ」


「でも安井君は心を開いてくれた」


「だからって涼子・・・」


 そこで僕が「まあまあ二人とも、今は食事中でしょ。安井の事はともかく早く肉じゃがを冷めないうちに食べてしまおう」


 色々と話しながら僕達は光さんと桃子が作ってくれた肉じゃがを堪能した。


 食事が済んで、光さんと桃子は図書館に向かっていった。


 気まぐれな気持ちでカレンダーを見てみると、もう十二月の半ばまで迫っていた。


 そろそろクリスマスか?そうだ。クリスマスに奈々子さんに喜んでもらえるようなプレゼントを用意しなくちゃな。僕達は恋人同士だから、何かクリスマスにプレゼントをしたい。


 奈々子さんの欲しいものって何だろう?


 真っ白なコート何て良いかもしれない。


 でもそうしたら貯金を下ろさなくてはいけない。


 でも奈々子さんにプレゼントをしたい。


 そう言えば奈々子さんのお母さんが亡くなって一ヶ月は経つ、奈々子さんは何事も無かったかのように振る舞っているが、その心の裏には涙が流れ落ちているかもしれない。

 奈々子さんを一人にしたら、暗い闇に閉ざされて消えてしまうかもしれない。


 奈々子さんは同情される事が一番嫌いな事を僕は知っている。

 奈々子さんに対してお母さんの事はタブーだと言うことは僕が一番よく知っている。


 何となく奈々子さんの方を見ると、食器を片付けている。そんな奈々子さんと目が合ってしまった。


「何?アツジ?」


「いや別に・・・」


 そう言いながら何事も無く食器の後片付けをしている。

 とにかく奈々子さんはお母さんがいなくなって、何事も無かったかのように過ごしている。 それはそれで良いんだけれども、奈々子さんも西宮さんや斎藤さんと同じように孤児と言うことになる。

 僕には家族がいるが、三人は孤児だ。

 でも三人はそんな事はお構いなく、食器を片付けたら、小説を書くことに没頭してしまっている。

 小説を書くことは精神力と体力が必要だ。

 悲しみや体調不良の時にかける物じゃ無い。

 だから奈々子さんや西宮さんに斎藤さんが孤児と言う事は別に苦になっていないのかもしれない。

 だったら、そんな事は気にせずに僕は僕の小説を書いていれば良い。

 三人は真剣に小説を書いている。

 僕もそれに混じるように小説を書き始めた。

 以前出した小説の続きだ。

 本当に創造とは良い物だ。自由自在に小説を書くことが出来る。

 僕達が書いた小説はそれぞれ世界に一つしか無い物語だ。

 小説は絵のように立体やそういう知識はいらずに何でもかける。

 僕が小説の題材となる物は昔見たアニメや映画などである。

 僕は子供の頃夢中になっていた物語をモチーフにして描いている。

 小説は誰でも描ける物だが、面白く無くてはいけない。

 でも真面目な感覚からは面白い物は生まれない。

 小説を書くに対してはちょっとばかし変人であっても良いのかもしれない。


 そして時計は午後十時を示している。


「みんな、明日は新聞配達だしそろそろ寝ようか?」


 そこで西宮さんは「明日は日曜だし、このまま小説を書き続けるよ」と燃えている。


 奈々子さんが「ちょっと涼子、今寝ておかなきゃ、明日新聞配達に支障が出てしまうでしょ。だからとっとと寝て」


「ちょっと良いところなのに、今凄い物を創造してしまったのよ。この機を逃したら絶対にダメよ」


 すると奈々子さんは西宮さんのスマホを取り上げた。


「ちょっと奈々子何をするの?」


「気持ちは分かるけれども、ちゃんと寝ないと明日配達所の社長にミスして怒られてしまうかもよ」


「私は別に構わないわよ」


「あんたが構わなくても、あたしとアツジの家で何をしていたんだって、私達までとばっちりがかかってくるんだから」


「そんなの知らないわよ。とにかくスマホを返してよ」


「これは明日の朝まで没収」


「もうつまらないわね」


 そうだ。明日も新聞配達だ。でも西宮さんの気持ちも分かる気がする。

 とびきりのアイディアが浮かんで書いている時間って、すぐに時間が経ってしまうんだもんね。

 とりあえず僕の小説は完成した。

 文字数で行くと三千字くらいか、以前の続きが短時間でかけた。

 読み返してみると、これは面白いかもしれないと思えてきた。

 さて寝る前にこれをネットに掲載して寝ようと思う。

 明日になったら奈々子さんと僕の今日描いた小説と勝負って事になる。

 明日こそは負けまいぞと思って・・・そう言えば今日も西宮さんと斎藤さんは僕のうちで泊まることになるのか。

 そうなると、布団は二つしか無いから僕と奈々子さんで斎藤さんと西宮さんで一つずつ使うことになってしまう。

 何か奈々子さんって凄く良い匂いがしてきて、変な気を起こしてしまうんじゃ無いかと言う気持ちに駆られてしまう。

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