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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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ライバル兼友達関係

 四人で魂を削り合い僕達は勉学に励んだ。

 丁度そんな時、光さんと桃子の手料理が完成した。


「四人共頑張っているみたいだね。そろそろ夕食にしない?」


 光さんがそういって、奈々子さんのお腹の音が鳴り、奈々子さんは気まずそうにしていた。

 それを聞いた西宮さんは奈々子さんを見てニヤニヤと笑っていた。

 

「そうよ。あたしはお腹が空いているのよ」


「何をムキになっているのかしら?」


 ほくそ笑む西宮さん。


「この女!」


 奈々子さんが西宮さんに襲い掛かろうとして、それを光さんが止めてくれた。


「ほら、奈々子ちゃん、お腹の音は誰だってするわよ。そんな事を聞かれてからかわれたからと言ってムキにならないの」そして西宮さんの方を見て「西宮さんも西宮さんだよ。あまり奈々子ちゃんをからかうのはやめて」


「分かりました」


 西宮さんは光さんに素直だ。


 今日の献立はチャーハンだった。


 光さんが「おかわりたくさんあるから、みんなじゃんじゃん食べてね」と言う。


 パラパラに仕上がったチャーハン、口にするとそれはもう絶品だった。

 西宮さんと斎藤さんもおいしそうに食べている。それに奈々子さんも。

 おいしいチャーハンも召し上がり、西宮さんは光さんの事が気になったのかいささか話し合いをしていた。僕と奈々子さんと斎藤さんはその会話を聞いていた。


「もしかしてあなたがいつも二人の勉強を見ているの?」


「そうよ私がアツジ君と奈々子ちゃんが学校にも行けない時に私が図書館の司書のバイトをしていて二人が図書館で勉強している時、私が課題を出して勉強の実力をつけてもらっていたわけ」


「なるほどだから私達よりも勉強が進んでいて、以前は私と翔子が学年で一位二位を争っていたのに、東雲(しののめ)さんと長谷川君が入ったことで私達を上回る事になったのね」


「二人は私が出した課題をちゃんとやっていたからね」


「じゃあ、光さんでしたっけ、私達にも課題を出してもらえませんか」


 そこで奈々子さんが「あなた達はまず二年の問題集をやるべきでしょ。そうしないと進まないわ」


 すると光さんは「分かったわ。私は二人の勉強がどこまで進んでいるか分からないけれど、とりあえず奈々子ちゃんの言う通り二年の問題集からやってもらう事にするわ」


「ありがとう光さん。東雲(しののめ)さんと長谷川君はいつも光さんの問題集をやって学年一位二位を独占したわ。私達も二人に負けないように努力します」


「ちなみに西宮さんと斎藤さんだっけ、二年生のどこまでやっているの?」


「連立方程式です」


「そうか、分かった、そこまでの問題を私が作ってきてあげる」


「お忙しいところよろしいんですか?」


「良いわよ、それと奈々子ちゃんとアツジ君ともっと仲良くなってあげてね」


「じゃあ、東雲さんと長谷川君、今度から東雲さんの事を奈々子って呼ぶし長谷川君はアツジ君って呼ぶわ」


 すると奈々子さんは「勝手にすれば」


「よろしくね、アツジ君と奈々子」


 西宮さんは奈々子さんに右手を差し出して僕に左手を差し出してよろしくの握手を求めていた。

 僕と奈々子さんは渋々だったが握手をした。


 そこで桃子が「光さん、そろそろ行きましょうか?」


 僕は桃子の発言が気になり「桃子、光さんとどこに行くの?」


「図書館だよ」


「えっ!?桃子、光さんと図書館で勉強でもしているの!?」


「うん。図書館は九時半まで空いているからね」


 その時、僕の心の奥底から闘志が燃え始めて来た。


「桃子、僕も図書館に行くよ」


 すると奈々子さんも賛成し、西宮さんと斎藤さんも図書館に行きたいとばかりに立ち上がった。


 奈々子さんが「光さん、水臭いですよ、あたし達も勉強頑張っているのだから、どうしてあたし達に黙って桃子ちゃんと図書館に行くんですか?」


「桃子ちゃんは今年受験するから、あたしがワンツーマンで勉強を教えてあげているのよ。桃子ちゃんやる気よ。実を言うと桃子ちゃん進学校に進むみたいだからね。それにあなた達が図書館に来ても桃子ちゃんの勉強しか見てあげられないけれど、それでも来る?」


 これ以上光さんの手を煩わせてはいけないと思って、僕は光さんに「いつもうちの桃子がお世話になっています。本当にありがとうございます」


「私はやる気のある子にはちゃんと教える主義だからね。やる気がある子に勉強を教えるとこっちまでモチベーションが上がってきて、私の夢にも拍車がかかるってものよ」


「僕達の勉強を見て、それに桃子の勉強を見て、それに図書館の司書のバイトをして光さんは大丈夫なんですか?」


「アツジ君あたしを誰だと思っているの?」

 

 僕も図書館に行こうとしたが、光さんは桃子の事で手一杯だと思って図書館に行く事を断念した。

 僕がそういうと、三人も同じように断念した。

 桃子の勉強の邪魔になったらいけないと思って。

 そして桃子は光さんと図書館に向かっていった。


「さてと、奈々子さん、そろそろ始めましょうか!?」


「そうだね」


「奈々子、何が始まるって言うの?」


「絵と小説に決まっているじゃない」


「なるほど、私達は勉強よりもむしろそちらの方が興味があって来たのよね、翔子」


「うん」


 と相変わらず斎藤さんは弱弱しく返事をするが、その瞳の奥に燃えるような何かを感じた。


 そして僕と奈々子さんは小説を書いているノートを取り出して、小説を書く作業に移った。


 そこで涼子さんは「アツジ君と奈々子ちゃんの小説を見せてよ」


 そう来るかと奈々子さんも思っていたのか、苦い顔をしていた。


「何?見せたくないの?」


「別に良いけれど、感想は正直にお願い」

「分かっているって」


 そういって涼子さんは奈々子さんのノートを見て、翔子さんは僕のノートを見た。

 二人して僕達の小説を読んでいる姿を見て、正直気になって小説に没頭できなかった。

 小説を書いている傍ら、僕は僕の小説を読んでいる翔子さんの事が気になってやはり集中できなかった。

 横目で奈々子さんの方を見てみると、奈々子さんも僕と同じ気持ちか?あまり小説に集中できていない様子だった。

 何か涼子さんと翔子さんは真剣に僕達の小説を読んでいる。

 涼子さんと翔子さんは僕達の小説を見て何を思っているのだろうかと言う事で僕と奈々子さんは小説を書いてはいられずに二人の事が気になった。


 そこで涼子さんが「どうしたの二人共、小説を書くんじゃなかったの?」


 奈々子さんは「あなた達があたし達の小説を読んでいるから集中できないのよ」


「なかなか奈々子の小説面白いよ」


「本当に!?」


 と飛び上がるように言う奈々子さん。

 それはそうだもんな自分の書いた小説を絶賛されて喜ぶ気持ちは僕にも分かる。


 そこで僕が「翔子さんは僕の小説どうだった?」


「なかなか面白いです」


 良く耳を凝らさないと聞こえない声だが、翔子さんにも僕の小説を絶賛してくれた。


 二人に絶賛されて僕と奈々子さんは空も飛べるんじゃないかと言うような気分だった。

 そんな気分になり僕と奈々子さんは小説を書くことに集中した。

 僕達の小説が面白い、それは冥利に尽きる。二人は僕達に気を使っている様子は無いようだ。本当に面白いと絶賛してくれている。

 そう思うとノートに書く小説のスピードが増す。


 そこで僕と奈々子さんと勝負が始まる。

 涼子さんと翔子さんは僕達の小説を見て面白いと言っていた。

 その言葉を胸に僕と奈々子さんのペンの勢いが早くなる。

 僕と奈々子さんが集中していると、いつの間に僕が奈々子さんや光さんのヌードをスケッチしたノートを見て笑っていた。


「何を見ているの!?涼子さんに翔子さん!!」


 スケッチブックを取り返そうとすると「あなた達、ここまでの中に進展していたなんて」涼子さんは言って、奈々子さんは激怒している。


「分かったわよ返すわよ。でもすごいものを見ちゃったね翔子」


 翔子さんは微笑んだ。


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