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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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新たなライバル2

「じゃあ奈々子さん。約束通り、ジュースをおごってもらえる?」


 すると西宮さんは「ついでに私のも買ってくれないかな?」


「はぁ?何であんたにジュースなんておごってあげないといけないの?」


「だって私達との勝負に負けたんだから」


「誰がそんな事を決めたのよ!?あんたは斎藤にジュースをおごってもらいなさいよ。あなた達は友達なんでしょ!」


「分かったわよ。じゃあ翔子、ジュースおごって頂戴!」


「うん」


 何か気の弱い斎藤さんが西宮さんにジュースをおごらされているように見える。


 そこで奈々子さんが「あんた弱い物からジュースをおごってもらうなんて、カツアゲみたいな行為はやめなさいよ」


「カツアゲじゃないよ、私と翔子は友達でもありライバルでもあるんだから」


「じゃあ、あんた達はあんた達で勝負をしていれば良いわ」


 話はそれで終わり、僕は奈々子さんにジュースをおごってもらい、西宮さんは斎藤さんにジュースをおごってもらっている。


 僕は奈々子さんに大好きなハチミツレモンをおごってもらい、何か西宮さんにジュースをおごらされている斎藤さんが不憫に思えて来た。


 気の強い西宮さん、気の弱い斎藤さん、もしかして斎藤さん西宮さんの言いなりになっているんじゃないかと思えて来た。

 でも僕達は西宮さんと斎藤さんの事を良く知らないので今のところは何とも言えない。


 新聞配達の仕事を終えて、西宮さん達とはまた学校でと言う事でいったん別れた。


 僕の家に到着したのは午前七時を示していた。

 学校に行くまで、時間がまだあるので僕と奈々子さんは学校に行く前に腹ごしらえをする。


「何、あの西宮って奴、斎藤は西宮の言いなりになっているじゃない。何か不憫に思えるのだけれども」


「確かにそうだね。でも何で西宮さんは僕達に距離を縮めてくるのだろう?」


「それが最大の疑問だね、疑問って言うかあたし達の事をライバルだと思っているんじゃないかな?だってあたし達が学校で中間期末アツジが一位を取ってあたしが二位を取ったじゃない、あたし達が来る前は西宮と斎藤が一位二位を争奪していたんだと思うよ」


「ライバルかあ?」


「でもアツジ、ライバルだと思われると、何か燃えて来るね」


「何だ、奈々子さんノリノリじゃないか」


 奈々子さんは咳ばらいをして「とにかく気の弱い斎藤を西宮の言いなりなんてあたしは良くないと思う」


 何だ。どうやら奈々子さんはあの二人の事を気にかけていたなんて。

 奈々子さんにそういうと怒りそうなので僕は黙っておいた。


 そして学校に行く時間になり、僕と奈々子さんはそれぞれの自転車に乗り学校まで登校した。


 学校ではいつも僕は近づくなオーラを発して、誰にも近寄らせなかったが、僕と奈々子さんに距離を縮めてくる西宮さんとは同じクラスなので僕がどんな近づくなオーラを発していても彼女は僕のところまで寄ってくる。


「おはよう長谷川君」


「うん。おはよう」


「今日も午後新聞配達の仕事があるんでしょ。今日も私達と勝負しよう」


「勝負って・・・」


 そういえば奈々子さんは西宮さんと斎藤さんの事に対してライバル意識を持ちだしたんだっけ。だから僕は「ああ、負けないよ」と僕が言うと、西宮さんはにんまり笑って「私達だって負けないよ」


 そうだ僕は西宮さんに二つ聞きたいことがあったんだ。それは、


「ねえ、西宮さんどうして僕達に距離を縮めてくるの?」


「縮めて来るんじゃないよ。もうこれは宿命というか、何というかあなた達とはお友達になりたいと思っているんだよね」


「どうして僕達と友達になりたいの?」


「それは何かあなた達私達を差し置いて面白い事をしているんじゃないかと思って、距離を縮めに来たのよ」


「別に西宮さんが思っているほど僕達は面白い事をしていないよ」


「いや、隠したって無駄、あたしには感じるのあなたと東雲(しののめ)さんが面白い事をしているって」


 面白い事と言ったら確かにしているかもしれない、勉強以外に小説や絵なんかを描いたりして、やっぱり隠していても分かる人には分かるのかな?


 それと話すことの二つ目は「あの西宮さんのお友達の斎藤さんだっけ、何か西宮さんの言いなりになっているようで、不憫に思えて仕方がないんだけれども」


「別に私の言いなりになっている訳じゃないよ。あの子は私がいなきゃ何も出来ないんだから。それに気が弱いからすぐに目をつけられていじめられるタイプだから私が守ってあげているの」


「そうなんだ」


 確かにあの斎藤さんは気の弱い人だ。西宮さんみたいな気の強い人が付いていなければいじめられてしまうかもしれない。

 そういうところでは西宮さんの事を尊敬することが出来た。


 そして時間は経ち授業が始まるチャイムが鳴った。

 一時間目は英語だ。テーマはto不定詞だった。


「この問題を訳せる人はいないかな」


 僕が手をあげると西宮さんも手をあげた。

 もう授業が始まる時、勝負は始まっていたみたいだ。

 僕がさされて、僕は答えると、問題は合っていた。

 その後も西宮さんとの勝負には僕は負けなかった。


 授業が終わり、休み時間になると西宮さんが、「長谷川君なかなかやるみたいだね」


「西宮さんこそ、なかなかやるじゃないか。このto不定詞なかなか難しいのに」


「あたしにとって東雲(しののめ)さんと長谷川君はライバルだからね」


 勝手にライバルにされあちゃあ困る事はないが、奈々子さんの言う通り何か燃えてくる。


 次の授業は地理の都道府県の県庁素材地の問題だった。

 僕は地理の県庁素材地の問題には楽々こなせるので、二時間目も僕が勝ってしまった。

 ちなみに地理の先生はこのクラスの担任であり、篠原先生であった。

 僕は篠原先生に言われた。


「長谷川、お前かなり勉強しているみたいじゃないか、先生感心するぞ。みんなも長谷川を見習うように」


 そして授業が終わって休み時間、僕はクラスメイト達に賞賛された。


「凄いね長谷川君」「あの安井を撃退したのにも関わらず成績まで良いなんて」等々。

 そんな感じで三時間目の数学も、四時間目の化学も問題をこなして西宮さんに圧倒的な学力差を見せつける。

 お昼休み、僕と奈々子さんは誰もいない屋上へと向かった。


「奈々子さん、ライバルの西宮さんに圧倒的な実力の差を見せつけてあげたよ」


「あたしも斎藤に実力の差を斎藤に見せつけてあげたよ」


 そういいながら僕と奈々子さんは笑い合った。


 そこに西宮さんと斎藤さんがやってきて、西宮さんが「あなた達私達の噂をしているんでしょう」


「い、いや別に・・・」


 すると奈々子さんは「していたよ。あなた達を圧倒したって」


「ちょっと奈々子さん」


 そうやって威張らない方が良いんじゃないかと言う口調で僕は言った。


「そうやって威張っていられるのも、今だけだって事を教えてあげるよ」


「そういえば今日も新聞配達だったね。もしあたしが負けたら西宮と斎藤のジュースをおごってあげても良いよ」


「いや、ジュースじゃ物足りないわ。もし負けたら、勝った方の言う事を聞くっているのはどうかしら?」


「良いわよ、どうせあたし達が勝つに決まっているんだから」


 すると西宮さんと斎藤さんに火をつけたようなオーラが僕には垣間見えた感じがした。


「言ったわね。私達の本気をお見舞いしてあげるから」


 そういって西宮さんと斎藤さんは去っていった。


「ちょっと奈々子さん。二人の闘志が燃え上がってしまったよ。もし僕達が負けてしまったらどうするの?」


「どうもしないわよあたし達が勝つんだから」


 何かえらい事になってしまったような感じがした。


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