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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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愛情のこもったオムライス

 僕が不思議に思っていると奈々子さんが「とりあえず返した方が良いんじゃない?」


「エッ!?奈々子さん彼女の事が気に入らないんじゃないの!?」


「確かにどこの馬の骨とも知らない相手だけども、まあ悪い奴ではなさそうだから、アツジ返信してあげなよ、あたし達は熱を出しているって」


 奈々子さんの言う通り西宮さんには僕達がそろって病気になったことを伝えておいた。


 すると一分も経たずに返信が帰ってきた。


『長谷川君も東雲(しののめ)さんも無理をしすぎたのでしょう。もう冬なんだから気をつけなさいよ』


 と。


 返信のメールを見て「僕達心配されているよ」


「アツジは西宮にラインの番号を教えてないんでしょ。どうして知っているのかしら」


「別に僕は彼女にラインの番号を教えた覚えはないよ」


 すると奈々子さんの携帯にもラインのメールが入った音がした。


「あれ、あたしは光さんとアツジにしかラインの番号を教えていないのに西宮からラインのメールが入ったわ」


 奈々子さんがその内容を確認すると、不機嫌そうな顔をして思わず言った言葉が「こいつ!」と怒った反応を見せていた。


 どんな内容だったのか聞く勇気がなかった。

 それよりも外は寒い、ラインの事はもし僕達が明日学校に行く事になったら、明日教えてもらう事にして、暖かい病院の中へと入っていった。


 僕達の診察の番となり僕と奈々子さんは診察室へと入っていった。

 お医者さんに事情を言うと、まず奈々子さんが熱になり僕が奈々子さんの近くにいたから病気がうつってしまったのだと診断された。

 それに僕達はインフルエンザの検査を受けて僕達はインフルエンザではなかった。

 二日分のお薬を処方され、診察代とお薬代で二人で二千円もかかってしまった。

 とりあえずお医者が言うには安静にしていなさいと言う事だった。

 病院を後にした僕達は、奈々子さんに僕は言った。


「奈々子さん。今日は僕も休むから、新聞配達の仕事は休もう」


「仕方がないわね。とりあえずあたしは熱が下がったから、様子見だけど、アツジは休みなさいよ!」


「奈々子さん。どうしてそうやって無理をして僕に心配をかけるかな?」


「心配心配ってあたしはアツジにそんなに心配かけるほど子供じゃないよ!」


「どうしてもって言うなら僕も新聞配達の仕事に出かけるから!新聞配達の仕事休みがちだったから僕の生活の支障が出てしまうから」


「本当にアツジは頑固ね」


「それはこっちのセリフだよ」


「とにかくアツジの部屋に戻りましょう」


 僕と奈々子さんはとりあえず僕の家に戻って、帰りにお弁当を買って帰った。

 風邪はひいているけれど、食欲がある僕達だった。

 僕と奈々子さんはとりあえず新聞配達は様子見で、お弁当を食べたら薬を飲んで眠ることになった。




 いつの間に眠ってしまったのか時計は午後二時を示していた。

 あれ?奈々子さんの姿がない。もしかして病み上がりなのに新聞配達の仕事に出かけてしまったのか?

 外に出て奈々子さんの自転車を確かめると奈々子さんの自転車はなかった。

 どうやら奈々子さんは病み上がりなのに新聞配達の仕事に出かけて行ってしまった。

 テーブルの上を見てみると、置手紙が用意されていた。

 内容を見てみると、『アツジ、病み上がりなんだから新聞配達の仕事に来ちゃダメだよ』と。その内容を見た時、僕は心の底から怒りがこみ上げてきて、パジャマから暖かい普段着に着替えてジャンバーを羽織って、新聞配達の仕事に出かけて行った。


 新聞配達所に到着すると、奈々子さんは新聞に一部ずつチラシを入れている姿が見受けられた。


「アツジ何をしているの?あれだけ寝ていなって言ったのに、何で来たの!?」


 僕は怒りが浸透して「それはこっちのセリフだよ」と言って僕は奈々子さんの頬を叩いてしまった。

 僕が叩いたら大人しくなってくれると思ったが奈々子さんは「何をするのよ」と言って僕の頬を思いきり叩いた。

 そんな僕と奈々子さんのやり取りを見て同僚の人達は呆然として、それから、僕と奈々子さんが取っ組み合いをしようとしたところ、そこは同僚達に止められた。

 そして社長が現れて、僕達は社長にひどく叱られて風邪をひいているなら来るなと言われた。それで僕達は帰る事となった。

 帰り道僕達は口論になりながら帰った。


「アツジがあたしの事を叩いたりしなかったら、社長に怒られもせずに昨日のように根性を認められて、新聞配達の仕事が出来たのに!」


「何を言っているんだい菜奈子さん。病み上がりなのに新聞配達の仕事をするなんて、そんなに社長に気に入られたいのかい!?」


「別にそんなんじゃないわよ。アツジの家に世話になっているのにあたしだけ何もできないなんてそんなの悔しいからに決まっているじゃない。

 あたしだってアツジの力になりたい。だからアツジの・・・」


 僕は奈々子さんの気持ちを知り、奈々子さんの気持ちを知ることが出来て良かったと思っている。でも奈々子さんにはそうまでしてまで無理はさせたくなかった。


「じゃあ、奈々子さん。お互いに風邪が治ってからにしよう」


 と冷静な判断を僕は下した。


「分かったわよ。でもあたしはアツジのお荷物に何てなりたくない」


「それは分かったから、とりあえず家に帰ろう」


 僕と奈々子さんは僕の家に帰り、とりあえず、薬を飲んで布団を二つ敷いて眠りについた。

 はぁ~気持ちいい。薬が効いてきたみたいだ。

 奈々子さんの方を見てみると、素直に眠りについている。

 そんな奈々子さんの眠りを見つめながら僕と奈々子さんは眠りについた。


 しばらくすると、僕の家のドアが開く音がして僕と奈々子さんは目覚めた。


「二人共どうしたの?今日は新聞配達の仕事はどうしたの?」


 中に入ってきたのは桃子と光さんだった。


 僕は光さんに「実を言うと僕と奈々子さんは風邪をひいてしまって今日は新聞配達に出かけたところ奈々子さんとケンカになって、社長にどやされて帰れと言われてしまったんだよ」


「あら、まあ、二人共本当に仲がいいんだね」


 光さんは明るそうに幸せそうな笑顔を見せて僕達に言った。

 僕と奈々子さんはそういわれて、互いに見合って笑みが零れ落ちてしまった。


 そこで桃子が「今日は光さんと桃子特性オムライスを作ってあげる」


「いつも悪いな桃子」


「お兄ちゃんは私がいないと何もできないんだから」


 本当にその通りだと思い、しかも自分の二つ下の桃子に言われて僕は少し恥ずかしかった。


 光さんと桃子特性のオムライスを作っている二人を見て僕は幸せだなとしみじみ思う。


「奈々子さん。光さんと桃子のオムライスが出来上がるまで、とりあえず眠っておこう」


「アツジが言うならそうするしかないわね」


 先ほどまでは僕達は一触即発の感じだったが、光さんと桃子が来てくれて僕達の間柄に穏やかな感じに戻ってしまった。

 本当にこれで良かったんだよな。

 ライバル兼恋人関係にもこのようなケンカをする時もあるが、本当に仲が良くなれて本当に良かった。


 そして光さんと桃子特性オムライスは完成した。


 調子は僕も奈々子さんも良かったのだが、病み上がりだからあまり無理しないようにして、起き上がり、オムライスを食べたらまた眠ろうとしていた。


 光さんと桃子特性オムライスを口にするとそれはもう絶品だった。


「僕、こんなおいしいオムライス食べたことがないよ」


「このオムライス、あたしとアツジが作るよりもおいしいよ」


「光さん、桃子、どうしたらこんなにおいしいオムライスが出来るの?」


 と聞いてみると「隠し味はそう、愛情だね」光さんと桃子はウインクをする。


 本当に訳が分からないがこんなおいしいオムライスを食べて僕達は幸せだった。


 この調子なら明日また学校に行って新聞配達の仕事に出かけられそうだと確信した。


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