奈々子さんの思い切った行動
僕達は一週間ぶりに配達所に行った。
「ごめん下さい」
僕が言うと同僚の人達は僕達の事を心配していたみたいで奈々子さんの母親の事で何度か質問された。
「奈々子ちゃん、お母さんは大丈夫だったの?」
「まだ分からない状態です。私の母親の兄弟に当たる親戚を今調べて貰っている所です」
「だったら奈々子ちゃん新聞配達なんてしている場合じゃないんじゃない?」
「いや、今私達は私達が出来る事を頑張りたいです」
そこで社長が「よく言った奈々子ちゃん」奥の部屋から飛び出すように社長は出てきた。
「社長・・・」
「奈々子ちゃんにアツジ君、君達に今日の仕事を与えてあげよう」
社長は人情味の熱い人だから、きっと僕達を受け入れてくれると僕は思っていた。
でもどちらかというと人で不足という理由もあったみたいだ。
だからそれでもいい僕達は今出来る事を頑張って・・・とにかく何が何だか分からないがこの思いが運命を変えてくれるんじゃないかと僕は思った。
早速新聞配達の仕事に入り、新聞にチラシを一枚ずつ入れてブランクは合ったものの僕と奈々子さんの気合いと根性で成し遂げた。
「よしチラシはちゃんと出来た」
「さあ、勝負よアツジ」
「分かっているよ奈々子さん」
僕達は自転車に新聞を載せて僕達の勝負が始まる。
自転車で風に吹かれながら、僕達は新聞を配りに僕達は向かう。
何だろう、久しぶりにこんな状態に僕達は熱くなっている。
さっきも言われた通り本当はこんなことをしている場合じゃないのかもしれない。
でも僕達は今できる事を頑張って、訳が分からないけれど、その先の未来に向けて走り出すしかない。
悲しみに閉ざされて泣くだけの僕達じゃない。
その腕とその足で戦うしかない。
僕達は戦うしかないんだ。その先に残酷な未来が待っていようと、僕達は行くしかない。
新聞配達の仕事は、奈々子さんが今日は勝った。
だから僕はいつも通り、奈々子さんにジュースをおごる。
「サンキューアツジ」
「今度は負けないからね」
「あたしだって負けないんだから」
元気な奈々子さんが見れて久しぶりに僕は幸せを感じてしまった。
これまで奈々子さんのお母さんの事で奈々子さんも僕も気が滅入っていた。
でも元気な奈々子さんを見れて僕は本当に嬉しかった。
僕と奈々子さんはどこまで行けるのだろうか?そしてその先の未来に僕と奈々子さんは互いに幸せであるのだろうか?仮に奈々子さんと別れても・・・いやそんな事は考えたくない。奈々子さんは僕が幸せにするんだ。だから将来僕は奈々子さんと結婚を前提に付き合っている。その事実は僕は曲げられない。
新聞配達の仕事を終えて、再び僕の家で互いに闘志を燃やしながら、絵や小説、勉強などに精を尽くした。
そうだ。それでこそ僕のライバルでもあり、恋人でもある奈々子さんだ。
お風呂の時間になり、僕が最初のお風呂に入って、奈々子さんが次にお風呂に入った。
僕は奈々子さんが出て来るまで絵を描いて待っていた。
自分で言うのも何だが僕は絵を描くのが大好きなんだな。
小説も大好き。将来小説家になって自分で挿絵を作るのが今の僕の夢だ。
そして奈々子さんがお風呂から出てきて、タオルを巻いていた。
「奈々子さん?」
「アツジ、タオルの下には何も着ていないよ。アツジ、やっぱりあたしはアツジのヌードモデルになりたい」
すると奈々子さんはタオルを脱ぎ捨てて裸になった。
そんな奈々子さんの姿を見ると、僕は顔が熱くなり、僕は女性で妹以外の裸を初めて見てしまった。
「アツジあたしは本気だよ。何ならあたしのこの裸姿を、写真に収めても良いよ」
僕は奈々子さんの方を直視しきれずに、僕は視線を逸らした。
「アツジ、こっちを見てよ」
「・・・」
それでも僕は黙ってそっぽを向いていた。
「アツジ!」
一喝する様に僕の名を呼ぶ奈々子さん。
「はい!!」
と言って素っ裸の奈々子さんを見て僕は興奮してしまった。
まずい奈々子さんのヌード姿を見て僕は激しく勃起している。
「どんなポーズで取ってほしい?」
「奈々子さん、もっと自分を大事にした方が良いよ」
「何よあたしのヌードを描きたくないの?それに女に恥をかかすものじゃないよ!」
「じゃあ、分かったよ。奈々子さんのヌードモデルを描いてあげるよ!」
僕は思い切った発言をした。
「それでこそ、男の子よ、あたしのヌードを見てアツジは興奮しているのでしょ」
「しているよ。とてつもなく刺激的だよ奈々子さん!」
「じゃあ、膝を落として、胸を隠して、色っぽく目を胡乱とさせてよ」
「了解」
僕は奈々子さんをモデルに息をひそめながら、描いていく。
モデルは描くよりも相手の方を見る時間を要することになる。
本当に色っぽい、奈々子さんのヌード姿は、豊川先生にヌードモデルを先にされるのはちょっと悔しい気分でもあったから、こうして僕が先に奈々子さんのヌードモデルを描いている。
息が荒くなっている。僕はもう我慢が出来ない。このまま奈々子さんを襲ってしまいたい衝動に侵された。
そして奈々子さんのヌード姿を僕は描きとめた。
「出来たよ。奈々子さん。だからもう服を着てよ」
「何よつまらないわね。この後アツジとセックスをするつもりでいたんだけど」
「そんな事はしないよ。僕は奈々子さんの貞操を奪いたくない。それはもっとお互いに大人になってからにしようよ」
すると奈々子さんは目を閉じて、しばらく沈黙してしまった。
何だ?この沈黙は?
その間十分たって奈々子さんはタオルを巻いて洗面所に行って服を着ているようだ。
僕は息を荒くしたまま、奈々子さんが戻ってくるのを奈々子さんのヌードモデルにした絵を見ながら、待っていた。
ヌードモデルになってくれたのはこれが初めての事だった。
以前、光さんのヌード姿を見て、それを目に焼き付けて描いた物よりもすごいものが出来上がった感じだった。
やっぱり目に焼き付けるよりも実際にヌードモデルになってもらった方が絵になる。
それに奈々子さんの感情が垣間見えた感じがした。
奈々子さんやっぱりお母さんの事が心配なんだよな。
本当はこんな事をしている場合じゃないのに・・・。
「いやー緊張したな、アツジにヌードモデルをしてもらったことを」
「緊張するぐらいならやめておけば良かったじゃないか」
「どうして?あたしはアツジに豊川先生にヌードモデルをする前にしてもらいたかったんだから」
「そう」
今、奈々子さんはジーパンに黒いトレーナを着ている。
「それよりもあたしのヌードを描いた姿を見せてよ」
そういわれて見せるのは恥ずかしいが僕は奈々子さんがそう言うなら見せてあげた。
「凄い、よく描けているね」
「以前、光さんのヌードを焼き付けて・・・」
しまった余計な事を言ってしまった。
「焼き付けて?」
奈々子さんは笑っているが目が威圧的に僕を見つめている。
「いやー奈々子さんのヌードモデルは凄くまぶしかったよ」
「何、話題を逸らそうとしているのよ。あたしのヌード姿は光さんの方が魅力的だと思っているんでしょ」
「そんなの比べ物にならないよ。奈々子さんは奈々子さんで素敵だよ」
「本当に?」
「本当だよ!」
「それに何?あたしに欲情したならアツジはあたしの事を・・・女にしてくれればいいじゃない!」
「女にするってどういう事?」
「女の子に何を聞くのよ!」
と言って僕は奈々子さんにピンタを喰らってしまった。
「痛い、何をするんだよ」
「この鈍感、あたしは光さんよりも魅力がない女性よ」
「光さんは関係ないでしょ。光さんは光さんで独自の魅力があったけれど、僕は奈々子さんのヌードモデルをして、新しい発見が出来た気がする」
「このスケベ大王が!」
そういって奈々子さんは僕の頬を再び思いきり叩いた。
そのピンタは痛かったが、奈々子さんがこれだけ元気なら良いと思って、とりあえずは良かった。
もう遅いので僕達は眠りについた。




