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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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代償は奈々子さんのヌードモデル?

 早速僕達は洋平さんの車で豊川先生の所に向かった。

 僕と奈々子さんは自転車で向かうと言ったが、洋平さんに車で送ろうと言われてそういう事になった。

 豊川先生の自宅は病院からすぐ側なのですぐにたどり着いた。

 豊川先生の家はフリースクールを経営している。


 好奇心旺盛な瞳で洋平さんは豊川先生の自宅へと向かった。


 洋平さんはチャイムを鳴らして、僕が「その必要はないですよ」そういって僕と奈々子さんは勝手に中まで入る。


 チャイムを鳴らした洋平さんの前に豊川先生が現れた。


「僕に何か御用ですか?」


「あなたが裏社会に通じる豊川誠二さんですか?」


「裏に通じるかどうかわからないけれど、そうです。私が豊川誠二です」


「何とも謙虚なお方じゃないですか」


「ええ、それはどうも」


 閑話休題と言う事で奈々子さんのお母さんのお姉さんに当たる美奈子さんの居場所がどこなのか教えてもらう事にした。


「僕に頼み事ね」


「はい。ご存じだと思いですが、私のお母さんが白血病にかかってしまったのです。それで私の親戚を尋ねたんですけれどもすべてダメで、最後に残ったのが東雲(しののめ)美奈子と言う人物を探してもらいたいのですが・・・」


「なるほどそれは大変な事になったね。よし、僕がその東雲(しののめ)美奈子と言う女性を探してあげようか」


「本当ですか?お金ならいくらでも払います」


「お金は良いよ。その代わりに、奈々子ちゃんがヌードモデルをしてくれるなら」


「えッあたしですか?」


 そこで僕が「何を言っているんですか豊川先生、こんな大事な時にふざけている場合じゃないでしょう」


「僕はいつだって本気だよ。僕に頼みたいことがあるなら、それぐらいの事はしてもらうつもりだよ」


 奈々子さんは「分かりました。そのヌードモデル引き受けましょう」


「ちょっと奈々子さん。そんなムキにならなくても」


「あたしだって本気だよ」


 僕だって奈々子さんの裸を見たことがないのに・・・でもこればっかりは仕方がない事だもんね。奈々子さんのお母さんの雅美さんを救うには奈々子さんのヌード姿一回かあ、滑稽すぎてため息が止まらない。


 そこで洋平さんが「私達にも力になれる事はないか?」


「大丈夫ですよ。洋平さんとやら」


「そうですか、美奈子は私が探しても見つからなかったからな。だからこれは私の問題でもあるんだ」


「大丈夫ですよ。僕の情報網を甘く見ないでくださいね」


「豊川さん。お礼はたんまりとさせていただきます」


「別にお礼だなんて良いですよ。お礼は」そういって奈々子さんの目を見てウインクをする。


 奈々子さんは「うっ」と言ううめき声をあげた。


今回の謝礼が奈々子さんのヌードモデルとは本当に恐れ入るよ。

でもこうするしかないんだよな。お母さんの命に比べたら、奈々子さんのヌードモデル何て安い方だよ。

本当の探偵屋に頼んだら、すごいお金を取られるんだろうな。

とにかく豊川先生の情報網はすごいと言う事を光さんに教えてもらっている。


「じゃあ、奈々子ちゃん。親戚中を頼んだんでしょ。やっぱり洋平さんでしたっけ、力を貸してもらえませんか?」


「ああ、美奈子の事は私の事でもあるからな、力ならそれなりに貸すよ」


「じゃあ、洋平さん。僕の家に入ってきてよ」


「これはご丁寧にありがとうございます」


 そこで僕が「僕達は何をすればいいか教えてください」

 奈々子さんもその拳を握り締める。


「君達は何もしなくて良いよ。どうやらこの奈々子ちゃんの親戚の洋平さんに頼めば、何か見つかるかもしれないからね。今日中にはと行かないけれど、また日を改めてくると良いよ」


「分かりました。じゃあお願いします」


 とお礼を言う


 僕と奈々子さんは今回の件に関しては豊川先生を待つほかないみたいだ。

 僕達は最近光さんがバイトしている図書館に行っていないから、二人で図書館に向かった。


「ねえ、奈々子さん。本気で豊川先生のヌードモデルになるの?」


「仕方がないじゃない。それで済むなら安いものよ」


「・・・」


 僕は安くはないよと言いたかったが、どうやらそう会話をしているうちに、光さんがバイトする図書館に到着した。


 図書館の窓際から見える光さんを探すと、光さんは本の整理をしているのか?光さんを図書館の窓から目撃した。

 そんな光さんに気付いてもらおうとして、手を振ると、光さんは気が付いてくれて、ほほえましい笑顔で僕達に手を振った。

 図書館の窓は防音のため、外にいる僕達の言葉は聞こえない。

 だから中に入って、僕達は光さんの元へと行った。


「光さんお久しぶりです」


 奈々子さんが言うと、光さんは心配そうな顔をして「お母さんは大丈夫だったの?」


 すると、奈々子さんの顔が曇りだした。


「その様子だと。豊川先生に相談した方が良さそうね」


 そこで僕が「もうしに行きましたよ」


「あら、もう行ったの?それで奈々子ちゃん。もしかしてヌードを頼まれたりしなかった?」


 光さんはいやらしい笑みを浮かべて奈々子さんに迫る。


「何でそんな事を知っているんですか?」


「私も初めて豊川先生に助けてもらった時、それにあなた達を助けてもらった時に、頼まれたからね」


 そういえば、裏社会の人間に僕達は襲われそうになり、あの時は光さんがヌードになってもらう事が代償になってしまったんだよな。


「奈々子ちゃん大丈夫よ。豊川先生にかかれば、無事に済むからね」


「本当ですか?」


 光さんに大丈夫と言われて、曇りだした顔が一気に払しょくされて、いつもの明るい顔の奈々子さんに戻ってくれたことに僕は安心してしまう。


「本当よ。でも奈々子ちゃん、豊川先生のヌードモデルは覚悟しておいた方が良いよ。普通なら何千万と払ってもやってくれない事なんだからね」


「はい。あたしお母さんの為なら、脱ぎます」


 その言葉に僕はなぜかショックを受けてしまう。

 僕達は付き合っているのに、その清らかな体に触れたことがない。最初に奈々子さんの清らかな体が豊川先生に汚されてしまうのだろうか。


「そこのショックそうなお兄さん」


「何ですか光さん」


「豊川先生に最初に奈々子ちゃんがヌードモデルにされる前にあっ君が奈々子ちゃんにヌードモデルをしてもらえば」


 ええ?奈々子さんのヌードモデル!?

 想像した瞬間顔面がフラッシュした。


「アツジ、あんた今あたしの想像をしていたでしょ!?」


「ちょっとしました」


 と顔面を叩かれて、僕は鼻血をハンカチで拭った。


「随分と正直じゃない」


「だって、奈々子さんには僕の嘘をすぐに看破してしまうじゃないか!?」


「じゃあ、アツジ、あんたあたしのヌードモデルをしたい!?」


「!!!」


 何だその質問は、したいと言ったらしたいけれども、でも僕は奈々子さんの彼女だから僕は「したいです!!!」と思いきり目をつむってはっきりと言った。


 すると奈々子さんはすごい剣幕で来て僕は今度はパンチでも喰らうのかと思って、両手で伏せる構えをして思いきり目をつむった。

 僕は奈々子さんに殺されてしまうんじゃないかと思ったら、暖かい抱擁を奈々子さんは僕にした。


「正直でよろしい!」


 僕の気持ちは今は複雑で何て言ったらいいのか言葉に迷ってしまった。


「じゃあ、アツジ、あたしが豊川先生のヌードモデルをする前にアツジがあたしのヌードモデルをして、こう見えてもあたしはお母さん以外に裸を見られた事がないのよ」


「何を言っているんだ奈々子さん。まだお母さんの白血病が完治した訳じゃないでしょ」


 すると、奈々子さんの顔が再び曇りだしてしまった。

 そうだよ奈々子さん今は一大事なんだよ。明るい顔の奈々子さんでいてほしいが、でも今はそれどころじゃない事を肝に銘じて欲しい。


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