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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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二人は今、夢の途中

 光さんは僕達の小説を面白いと言ってくれた。


 光さんは僕達の小説を読んで何が面白かったか?後で聞いてみることにしよう。


 さてと、色鉛筆とデッサン用のスケッチブックを取り出して、僕は描いた。


 奈々子さんも同じように色鉛筆とデッサン用の用紙を取り出して、互いに書くことになった。これは勝負ではないんだよな、でもさっきから描きたい描きたいと言う気持ちに駆られて、腕がうずうずしていたのだ。


 夕日に照らされて笑っている奈々子さんの姿を思い浮かべて僕は描いた。


 奈々子さんは可憐な美少女だ。そんな奈々子さんを描くことが出来るのは僕にとって冥利に尽きる。


 はっきり言って夕日に照らされている奈々子さんは本当に可憐であった。


 本当に手が止まらない程の鉛筆さばきであった。


「アツジ、そろそろお昼だよ」


「えっ!?もうそんな時間?」


 どうやら描くことに夢中になり僕のペンは止まらなかった。


「何を描いているの?」


 奈々子さんがのぞき見していたところ、僕は「ちょっと見ないでよ」と言って、スケッチブックを引っ込めた。


「何よ見せてくれたって良いじゃない?」


「出来上がってからのお楽しみだよ」


「つまらないなあ」


「後で見せてあげるって」


 そこで光さんがやってきて、「二人共今日は絵を描いていたのね」


「後で光さんにも見せてあげますよ」


「うわー楽しみだね。まさか奈々子ちゃんのヌードとかじゃないよね」


 すると奈々子さんは僕を威圧的な視線を向けてきた。


「何を言っているんですか光さん。誤解を招くような発言はよしてくださいよ」


 奈々子さんは「そういえば、光さんのヌード姿を見て、絵を描くことに互いに夢中になったんだよね私達」


 確かにそうだったので、僕は何とも言えなかった。


「奈々子ちゃんはあっ君にヌードモデルはしてあげないの?」


「何を言っているんですか光さんは!?」


 そういいながら僕の頭を叩いた。


「何で僕が叩かれなくちゃいけないの?」


「うるさいうるさいうるさい。お前が悪いんだよ」


 理不尽にも程があるような気がしてくる。


 そして僕達は光さんが友達から失敗したパンを分けてもらって来て僕達の昼食が始まる。


 光さんは僕達の小説を読んで詳しく感想を言ってくれた。

 本当に良く描けていると光さんは賞賛してくれた。

 その言葉を聞くたびに僕と奈々子さんは本当に冥利に尽きると思っていた。

 でも厳しい評価もしてくれた。


 小説は単刀直入に言えば、良い話をしてあげるからお金をくれという商売のようなものだと言われた。

 確かに光さんの言う通りだ。それに僕達の今の実力では売り物にならないと言われた。

 そして僕と奈々子さんは燃えたわけなんだよな。

 いつかお金になる小説を描いて、人々に受け入れてもらえるような小説を描いてみたいと本気で思った。


 昼食が済んで僕は新しい小説を書こうと思ったが、今度はネット小説に投稿するためにパソコンを買って描きたいと思っていた。


 光さんにネット小説の事を言うと、一話に五千文字くらいの程度で書いた方が良いとアドバイスをもらった。

 それにパソコンじゃなくてもスマホでも描けるみたいだ。

 僕はパソコンを持っていないので、スマホで今日奈々子さんの夕日に照らされた印象的な光景を見て次書く小説が閃いたのだ。


 その思いを描くしかないな。


 くぅぅぅぅぅ早く書きたいな。

 ネット小説何て初めてだけど、何かワクワクしてしまう。

 僕は思ったんだ。ネット小説で腕を磨いて描いていこうと。

 ちなみにネット小説はただで見れるものらしい。

 僕と奈々子さんの創造力ではまだまだお金をもらうにはほど遠いと思っている。

 きっとこの先くじける事もあるかもしれない。

 でも僕は描きたい。描いて描いて描きまくりたい。

 そしていつか小説家兼絵師でご飯を食べられるようにしていきたい。


 その思いを胸に僕は、今絵を描いている。


 これを終えないと次には進めないと思っている。


 そして光さんが問題集を出しに来た。


「二人共、絵も良いけれど勉強はおろそかにしていないよね」


「「・・・」」


 僕達は何も言えなかった。一度何かに夢中になると大嫌いな勉強の事を忘れてしまう。


「今日はいつも抜き打ちだけど歴史よ」


 渡された範囲は鎌倉時代から室町時代の事までだった。


 歴史は勉強の中で一番面白いものだと思っている。だから高得点をとれる自信はある。


 僕達は問題集を差し出されて、とりあえず問題をこなした。

 歴史は歴史の漫画を見て、教科書の歴史の意味が分かるようなものだ。教科書は端的な事しか書いていないので説明が不十分だ。歴史は楽しく勉強しないとどの教科よりも難しいと僕は思っている。

 大学受験で歴史を選択した人は歴史を楽しくやらないで甘く見ていると英語と国語よりも難しくなってくるものだ。

 ちなみに歴史の漫画は大学受験にも通用すると僕は思っている。


 光さんが出してくれた歴史の問題集をやって、光さんが回収しに来る。


 僕は自信を持って光さんに問題集を差し出した。


「あら、あっ君すごいドヤ顔じゃない。自信でもあるの?」


 僕は気が付かないうちにドヤ顔になってしまっていた。


 奈々子さんを見ると、ちょっと自信なさげな表情をしている。


 勝った。と僕は確信した。


「ああ、今日は何のジュースを買ってもらおうかな?」


「何よ。もう勝った自信でいるわけ?」


 ギロリとギランと光る顔で僕を見た。


 僕はそれを見てゾッとした。


 もしかして奈々子さんは歴史が自信があって僕と同じような勉強をしてきたから僕に勝つ確率だってある。だって歴史を面白く学ばないと教えてくれたのは光さんだった。奈々子さんは僕よりも出会う前に光さんと出会っている。だから光さんが奈々子さんに歴史の面白さを教えてあげたかもしれない。


 そして答案用紙が返ってきた。


「二人共良く頑張っているね、あっ君の点数が九十点で奈々子ちゃんは九十五点、よってこの勝負は奈々子ちゃんの勝ちね」


「なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 思わず僕は叫んでしまった。


「うるさいなアツジ、ここは図書館よ」


「そうよあっ君、図書館では静かにね」


「ごめんなさい」


 と謝った。


「アツジ残念だったね、あたしは光さんに歴史をあなたよりも先に歴史の面白さを知ったのよ。だからあたしの勝ちだから今日はアツジがあたしにジュースをおごるんだね」


「たった五点差じゃないか」


「それでもあたしの勝ちは勝ちよ」


 僕は大きなため息をついて、自動販売機の方へ奈々子さんと向かった。


「さあ~て、何をおごってもらおうかな」


 目を細めてニヤリと笑って嫌味ったらしく僕に言う。

 勝ちを確信していたが、すごく悔しい。


 奈々子さんはホットココアを選んで僕はたまには冒険をしたくてコンソメスープを選んだ。


「何アツジ、コンソメスープ何て選んじゃって」


「いや以前から飲んでみたいと思っていたんだ」


 コンソメスープの名前は缶コーヒーのBO〇Sビストロシェフと描かれている。


「これ飲んだら、そろそろ新聞配達の時間だね」


「そうだね。アツジは絵を完成させられたの?」


「もう少しで完成させられるんだけどね。絵は今日はこれぐらいにして新聞配達の仕事を終えたら、早速飯食って勉強かな」


「ふ~ん、アツジご飯はちゃんとした栄養のついたものを食べている?」


「食べているよ。昨日なんか妹がカレーライスを作ってくれたよ」


「そうなんだ。そういえば、あたし桃子ちゃんに目の敵にされているんだよね」


「う~ん。確かにそうかもしれない」


「今日は桃子ちゃんは来るの?」


「来ない確率の方が高いかもしれない」


「じゃあ、今日はあたしがアツジの家に行ってご飯を作りに行こうか?」


「えっ!?いいの!?」


「もちろん」


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