熱狂の武道館ライブ
「ソウルメイトのライブへようこそ!!」
僕はX JAPANのトシをイメージしてMCを務めている。会場のみんなは大盛り上がりだ。
「お前達、ソウルメイトの初のコンサートに来れることを誇りに思うんだな」
観客のみんなは僕のMCに興奮して歓声を上げている。
何だろう。みんなの歓声を聞いて僕は何か励まされている様な感じがした。観客達に歓声を貰って僕達にエールを送られているような気さえしてくる。そうだ。みんな僕達の演奏を聴きにここまでやってきたのだ。別に僕達を緊張の渦に巻き込もうなんて微塵も思っていないのだ。
「お前達、用意は良いか、俺達の曲を聴きに来たんだから、それなりの覚悟はあっての事だよな。半端な覚悟で俺達の曲を聴きに来たなら、お前等後悔するぞ。それじゃあ、次の曲でいっちょ暴れてくれ」
そう言うと涼子さんがシンバルを三回激しく叩いて演奏は始まった。
次の曲は豪快だ。みんなが盛り上がってくれることを期待して作った曲だ。
観客のみんなは盛り上がっている。凄く盛り上がっている。僕達は演奏して人前で歌うことがこんなにも楽しいことだなんて思っても見なかった。
そして次の曲はバラードだ。しっとりとした光さんのピアノに観客達はメロメロになっている。
このバラードの曲はすでに売られているためにファン達は絶叫しながら桃子の歌声と共に歌っている。
次はそれぞれのソロの番だ。最初は斎藤さんからだ。
観客席から「翔子おおおおおおおおおおーーーー」と絶叫している観客がいた。
斎藤さんの歌声は凄い心の性感帯につくような歌に仕上がっている。
斎藤さんのソロが終わり次に僕の出番だ。
僕が歌うと相変わらずに観客達は絶叫している。僕はブーイングを覚悟していたのだが、そんな覚悟はいらないみたいだ。そして僕は歌っている。
次に涼子さん、ドラムを叩きながら歌っている姿は豪快に見える。僕達もそれに続くように演奏をしている。本当に涼子さんは凄い人だ。
次に真打ちだったはずの奈々子さんが歌う。やっぱり奈々子さんの歌は良いと思ったが、何かちょっと残念そうな感じで歌っているのが僕には分かった。だって真打ちとして歌えなかったのがそんなに残念に思っているようだ。
でも観客達は凄い盛り上がりを見せている。光さんを除いて僕達の中で一番良く歌っていると思っている。
そして最後のソロになった光さん。光さんは僕達の演奏無しにキーボードだけの演奏となっている。
それはもう聞いているだけで涙がこぼれ落ちそうになってくるような歌声だった。
本当に真打ちを飾るに相応しいと思えるほどの光さんの歌声に観客達はメロメロだった。
そして僕達のソロは終わり次にソウルメイトの歌を届けるのだ。
その前に十分間の休憩。
「みんなお疲れー。後半もこの調子で行こうね」
そこで落ち込んでいるのが奈々子さんだった。奈々子さんは真打ちとして歌いたかったんだよな。でも光さんの歌がやはり凄まじかったことを自覚している様子だった。奈々子さんは光さんに逆らえないからな。
十分休憩して僕達は出た。
そこで僕のMCに入る。
「何だよお前達、俺達がいなければ盛り上がれないのかよ!」
と言ってやると、観客達は「うおおおおーー」と盛り上がった。
「実を言うとだな、俺達は落ちこぼれだったんだよ。そんな落ちこぼれがこんな武道館のステージに立って歌えることに誇りを持っている。お前達ももし悲しいことや苦しいことがあったら、いつでも俺達の事を思い出してくれ」
「ソウルメイトは落ちこぼれなんかじゃないぞ」
「俺はソウルメイトの歌を聴いて救われた」
「ソウルメイト最高」などなど、僕達に声援を送ってくれるファン達。
「それじゃあ、次の曲に行くぜ」
涼子さんがドラムの合図として三回シンバルを鳴らす。
そして僕達の曲が始まる。
本当に涼子さんと奈々子さんの喧嘩をするような演奏に観客達はみな凄い声援を送っている。
そうだ。その調子で頑張れば良いのだ。僕達ソウルメイトは止まらない。
ファンの言うとおりもう僕達は落ちこぼれなんかじゃない。普通に演奏していけるソウルメイトだ。こんなにもファン達を魅了できるソウルメイトだ。
僕達の演奏にファン達は熱をたぎらせはしない。この熱みんなと一緒に勉強しているときよりも激しく熱が盛り上がる。
涼子さんと奈々子さんの喧嘩する演奏に僕と斎藤さんがそれをなだめるような演奏。これがソウルメイトの演奏だ。
そして次の曲、桃子がMCを取る。
「みんな、盛り上がっている。桃子達の演奏はどうかな?はっきり自信なかっただけれども、みんながこうして盛り上がってくれたことに感謝してこの歌を送ります。これが最後の歌になります」
そう次の曲は僕達が初めて出した曲だった。
シンバルを三回叩いて僕達の演奏が始まる。
みんなもこの歌を知っている。みんなも桃子の声に合わせて歌っている。
本当に凄い曲を僕達は演奏していると思っている。これは僕が作った歌だ。僕にこんな才能があったなんて思いもしなかった。でも観客のみんなは歌いながら、僕達の演奏を聴いている。
そしてさびに入って僕は調子に乗って{お前達そんなもんで良いのか?」と演奏しながらMCを務める。まさに僕達の演奏はX JAPANの様な感じになっている。
僕達の曲はそんなに難しい物じゃない。だから安易に弾ける。
僕達もメンバーも熱くなっている。凄い熱だ。まさに僕達が熱を出し合ってファン達と共に熱を出し切っている。
そうだ。これがソウルメイトだ。
この後、二回のアンコールに応えて僕達のコンサートは終わった。
本当に凄いファン達の熱狂だった。僕達が憧れるXJapanのコンサートを凌駕したと言っても過言じゃないと思っている。
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「「「「「「カンパーイ」」」」」」
僕達六人はオレンジジュースで乾杯をした。僕達が二十歳だったらお酒で乾杯したいところだが僕達は未成年だ。
「本当に凄いライブだったね」
僕達は武道館の楽屋でパーティーを開くことになった。本当は帰りたいのだが、出口の前でファン達が待機しているので今日は楽屋で泊まることになった。
鈴木さんがオードブルを頼んでくれて本当においしい物を食べている。
「みんな良くやったね。あなた達もうDVDが発売されたら凄いお金持ちになれるよ」
そうかお金持ちになれるのか。それも良いかもしれない。とにかく今はみんなと盛り上がっていたい。コンサートの余韻に浸りながらすべての事をさらけ出した。
「とにかくみんな頑張ったね」
「本当だよ、あまりミスはしなかったけれども、とにかく最高のライブになったよ」
「私達もうこのまま行くしかないんじゃない?」
「それは良いかもしれないけれども、僕達の本当の夢は小説家兼絵師の夢を見ているんだよ。だから僕達のバンドはこれぐらいにしないかな」
「何を言っているのよ。ここまで来て、今度は武道館ではなく東京ドームを貸し切ってやるのはどうかな?」
奈々子さんがとんでもないことを言う。
「何、奈々子、奈々子にしては良いことを言うじゃない」
「あたしにしてはってどういう事よ?」
「まあ、とにかく今度は武道館ではなく東京ドームを貸し切って演奏するのは良いと思うよ」
そんなとんでもない事を言う二人の会話に僕達は花を咲かせた。
本当に今日は僕達は良い演奏をしたと思う。
ネット小説に僕達がソウルメイトのメンバーと聞いたら殺到するだろうな。そんな事を思い浮かべながら僕達は武道館で一夜を過ごした。




