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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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真打は最後に登場

 とりあえず、MCはアドリブで行くしかないな。MCに関してはボーカルの桃子は自信がないと言っていたから、僕がMCを務めることにする。曲は二三曲歌ってからMCに入ろうと思っている。何か燃えてきた。凄いさすがは武道館でライブする事だけはある。


 今日の所はそろそろ時間なので帰ることにする。


 僕達が帰宅すると光さんがカレーライスを作って待っていた。


「待っていたわよ。武道館コンサート気合いが入っているわね」


「光さんもソウルメイトのメンバーなんですから、当日までにはちゃんと練習して来てくださいよ。それとこれ、僕達が演奏する曲です」


 光さんに僕達が歌う曲すべてを収録したDVDを差し出した。光さんは絶対音感を持っているので、曲を聴くだけで演奏が出来る。


「確かにあなた達が歌う曲は受け取ったわ。これを月曜日までに練習しておけば良いのね」


「はいよろしくお願いします。それよりもあなた達お疲れのようね。カレーライスが冷めないうちに早く食べてね」


「いつもありがとうございます」


「私は頑張っている人の味方だから。特にあなた達みたいな人には私は全力で応援するわ」


 そうは言っているけれど、光さんはたまに豊川先生の所に行って引きこもりの生徒達とふれ合ったりしている。そういう人達にはどのような対応をしているのだろうか。きっと引きこもりの人達もみんな頑張っているんだろうな。僕も引きこもる気持ちは分かる。散々いじめられて、夏休みが終わる前日まで僕は部屋の中で怯えながら過ごしていたもんな。


 そんな人達が表に出ようとするのは大変な勇気が必要だと僕は思っている。僕も経験しているからな。そういう事。それで僕は光さんが務める図書館に向かったんだっけ。それで今では信じられないが武道館ライブを始めることとなった。


 僕達の歌はそう言った傷を持った人達の事をテーマにして書いている。僕のような人達が一歩前に進むことが出来るように僕は思って歌詞を書いている。そう言えば歌と言ったらラブソングが定番だが僕達の歌にはラブソングは存在しない。


 でもそれで良いと思っている。僕はあまり恋愛経験はあまりないし、奈々子さんに続いて今は涼子さんと付き合っているが僕達はデートはしたが、そんなに激しく燃え上がるような物ではなかった。けれども僕は涼子さんの事が大好きだ。


 涼子さんは僕が良ければエッチしても良いと言っている。この際エッチしておこうかな何て僕は何を考えているんだ。そんな事でエッチするなんて涼子さんに失礼だ。エッチはもっとお互いを知り合ってからにしたいと思っている。


 とにかく今回のライブでは僕達にラブソングはない。それはそれで良いと思っている。僕達ソウルメイトは元々落ちこぼれが集った人達なのだから。僕はいじめに遭い。涼子さんは公衆便所に産み捨てられていたと言われている。それに斎藤さんは両親を事故で亡くして、同じく奈々子さんも両親を亡くしている。それに桃子も学校が嫌になり僕達と活動を共にしている。それよりも、光さんの事は僕達にとって謎だが彼女もきっと何かしらの傷を負っているに違いない。


 僕達の曲を聴いて少しでも前に進める力を与えられたら良いなと思って僕はいつもその事をテーマとして書いている。残酷な境遇にあっても一歩前に進める様に力を注いでいる。


 よし、光さんのカレーを食べたら僕達は今日はかなり疲れているが、絵も小説も進めようと思っている。とにかくやれるだけの事をやろうと思っている。


「光さん。カレーお代わりありますか?」


「おっ!あっ君凄いやる気だね。相当お腹が空いていたのね」


「いや、光さんのカレーライスを食べると元気が出るんですよ」


「そう言って貰えると嬉しいわ」


「あたしもお代わりお願いします」


 奈々子さんが僕に対抗するように言う。


「私も」「私もです」「桃子も」


 涼子さん斎藤さん桃子も同じであった。


 僕達はライバル同士でもあるんだ。そうやって互いに切磋琢磨して行けば良いのだと思っている。


 お腹がいっぱいになって何か眠くなってきたが、最近おろそかにしている絵と小説を描く事にする。


 僕が小説と絵を進めると、みんなこぞって僕の後を追うように続いた。


 みんなも僕も今日は武道館ライブのリハーサルに疲れていると言うのにそれでも胸が熱くなって疲れなど感じなくなってしまっていた。


 何だろう。この胸の奥から湧き上がる熱い思いは、僕達の熱を止めることは出来ないであろう。それでこそ、僕達はライバル同士でもあり、仲間でもあるんだ。


 ふと時計を見ると、もう午後十一時を示していた。


 そろそろ眠ろうとしたが僕達の熱はまだ冷めてはいない。だからもう少し、そういう事で僕達は今日は午前二時に眠ることになった。


 早朝午前七時に僕達は起きて、ちなみに昨日は光さんも僕達と同じように小説を描いていたっけ。光さんともライバル関係だ。そして今日も武道館でリハーサルだ。とりあえず二曲歌ったらMCに入って桃子の歌声を休ませることにする。


 そして武道館に行き、リハーサルを始めてまずは話し合って、ソロは、まとめてやってしまおうと思う。トップバッターは誰にしようか悩んだ時、僕がトップバッターを務めることにしよう。それで順番は斎藤さんはいつでも良いと言っていたので、斎藤さんは僕の次に歌うことにする。真打は最後はおいしいところだ。そこで奈々子さんと涼子さんが喧嘩をおっぱじめる。


「あたしが最後に歌うのが良いでしょ」


「何を言っているのよ最後は私に決まっているでしょ」


 まさに一触即発の事態になった。


「まあまあ二人とも、ここは公平にジャンケンで決めるのはどうかな?」


 僕も最後の真打ちで歌ってみたいが、ここで僕が申し上げるには火に油を注ぐような真似になってしまう。とりあえず二人はジャンケンで決める事になった。


「まあ、あたしはジャンケンで決めるなら良いけれど」


「そんなの納得いかないよ鳥居はドラムの私が務めたい」


「とりあえずもうジャンケンで決めるしかないでしょ」


「分かったわよ。ジャンケンで決めれば良いんでしょ」


「いくよー」「「最初はグー、ジャンケンポン」」


 奈々子さんがチョキを出して涼子さんがパーを出した。


「やったーあたしが鳥居だ」


「ちょっと奈々子、あなた後出ししたでしょ」


「はあ、何をいい加減な事を言っているのよ。あたしがそんな卑怯な事はしないよ。アツジも翔子も見ていたよね」


 僕も斎藤さんも奈々子さんはずるはしていないと首を縦に振った。


「ねえねえちょっと待ってよ、奈々子に真打が務まると思っているの?」


「何を負け惜しみを言っているの!?」


「負け惜しみなんかじゃないよ。奈々子が真打を努めて私達のバンドに支障が出てしまうんじゃない!」


「それどういう意味よ!」


「あなたみたいなガサツな女に真打を務めさせたら、私達のバンドに傷がついてしまうわ」


「何ですって!」


 僕と斎藤さんは頷き合いとりあえず僕が奈々子さんを羽交い締めにして、斎藤さんが涼子さんを羽交い締めにした。


「とにかく奈々子さん。奈々子さんがジャンケンで勝ったから、ここは奈々子さんの勝利で良いよ。だからとにかく喧嘩はやめて」


「離してアツジ、この女に目に物を言わせてあげるんだから」


 そこで現れたのが光さんだった。


「またあなた達喧嘩をしていたの?」


 涼子さんも奈々子さんも光さんの威厳には敵わず、素直に力を抜いて僕と斎藤さんはそれぞれ解放した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 200話おめでとうございます! ケンカばかりだけど仲の良い二人が大好きです。  武道館楽しみですね!
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