涼子さんのエネルギッシュなソロ
さすがに小説はどこから書いて良いのか困惑してしまった。絵もしばらく描いていないのでうまくは描けなかった。武道館ライブの準備に僕達は忙しさを感じている。このままでは僕達は小説家兼絵師の夢よりもミュージシャンの夢を追うことになってしまう。でもそれも良いかもしれない。
小説も絵も進まない。武道館ライブだからと言って調子に乗ってやるんじゃなかったと反省させられる。でも武道館でライブなんて早々には出来ないだろう。
桃子は僕に胸の内を話した。
「私、凄く緊張しているんだけれどもちゃんと歌えるかな」
「桃子、実を言うと僕も緊張しているんだよ。緊張しているのは桃子だけじゃない。僕や奈々子さんや涼子さんに斎藤さんと光さんも同じだよ。だからリラックスして歌えば良いんじゃない。以前ティアラ江東で紙芝居の時に演奏したときと同じようにしていけば良いんだよ」
「そうだよね。みんな緊張しているしティアラ江東ではちゃんと歌えていたもんね」
僕と桃子と斎藤さんが眠っている間、ふと目を覚ますと、涼子さんと奈々子さんは何かを書いている。もちろん斎藤さんに負けないぐらいの詩を描いているのだろう。
「二人とも夜は寝た方が良いよ」
「いいや、あたしは良い詩を書きたいからこうして書いているんだけれども。それにそこの女には負けたくないんだから」
「それはこっちの台詞よ。私だって負けないんだから」
その調子で二人は夜中まで闘志を燃やし合い、二人でそれぞれの詩を描いていた。
朝起きると、涼子さんと奈々子さんは机につんのめり眠っていた。
本当はこの二人はいつも喧嘩をおっぱじめようとするが、本当は仲が良いんじゃないかと思い始めた。僕はテーブルにつんのめって眠っている二人を見つめながらアイパットで二人の自画像を描いていた。
本当に二人は仲よさそうに眠っている。三十分ぐらいして二人の自画像が完成した。これを二人に見せたらきっと怒られるかもしれない。でも仲の良い二人を絵に残して置きたかったのだ。
時計を見ると六時を示している。今日の食事の当番は僕だ。早速僕は朝ご飯の準備に取りかかった。朝ご飯は毎度のことトーストの縁にマヨネーズをかけてその真ん中に卵を乗せて完成。
僕はみんなが眠っているのをお玉でフライパンを叩いて起こした。
「みんな朝だよ。そろそろ起きよう」
するとみんな気怠そうに起き上がってそれぞれ眠りから覚めたのであった。
奈々子さんと涼子さんが起き出すと僕の前に向かって来た。
「ねえ、アツジあたしも詩を書いたよ」
「私も私も、これはもう空前絶後の良い詩が描かれたと思ったよ」
「まあまあ二人ともとりあえず朝ご飯を食べてシャワーを浴びてからにしようよ」
そういう事で、朝ご飯を食べて僕から順にシャワーを浴びるのであった。最後は髪が腰辺りまである涼子さんが入ることになった。
最近奈々子さんは魅力的な女性へと変化している。髪を伸ばしたり、お化粧をしたりと、何か、僕を意識し始めたかは杞憂なのかもしれない。僕には涼子さんという素敵な女性がいるのだ。
涼子さんが髪をセットして涼子さんは今日はそのロングヘアーを三つ編みにしていた。何か涼子さんも魅力的な女性へと変化している。それに斎藤さんも。僕は女性じゃないからなぜいきなり髪型を変えるのかは不思議であった。
「どうあっ君、この三つ編み、今度の武道館ライブではこの格好で出ようと思うんだけれども」
「良いと思うよ」
そう言えば僕達のバンドって僕以外みんな女の子なんだよな。そして八時になり、みんなそれぞれ準備が終わってお茶の水のスタジオに向かうのであった。光さんは現地にいると言っているので、現地に到着すると光さんはいた。
「光さーん」
と僕は手を振って光さんの方に向いていった。
「光さん。お待たせしてすみません」
「私も今来たところだよ」
光さんは黒いジーパンにインナーには白いシャツを着てピンクのカーディガンを羽織っている。
「今日も光さんおしゃれですね」
「そうでもないよ。それよりも涼子ちゃんのその三つ編みかわいいわよ」
「本当ですか?」
「本当よ」
「あっ君私、光さんに褒められちゃった」
女の子は大抵おしゃれに気を遣っている。
僕はと言うと、ジーパンに黒いトレーナーだった。何か自分だけ浮いているような気がする。うちのバンドのソウルメイトは僕以外みんな女性であった。でもそんなユニットも結構良いんじゃないかと思っている。
さてスタジオに入ろうかと思うと、涼子さんと奈々子さんが同時に僕に曲を作って欲しいと懇願してきた。
「ねえ、アツジ、あたしの詩を見てよ。これなら絶対に翔子にも負けないほどの物だとも思うんだけれども」
「何言っているのよ。いつも幼稚な詩を書いて観客の前で恥をかくと良いわ」
「何なら見せてあげるよ。あたしの底力を」
「じゃあ、あっ君私の詩から歌にしてよ」
「いいやあたしが最初に作曲をして貰うんだから」
また喧嘩になってしまいそうなので、ここは一つ。
「まあまあ二人ともとりあえずジャンケンで決めるのはどうかな?」
「分かったわよ・・・じゃあ、奈々子ここは一つジャンケンで決めましょう」
「「せーの。最初はグー、ジャンケンポン」」
奈々子さんはパーを出して、涼子さんはチョキを出した。
「やったー私の勝ちだ」
悔しそうにうねる奈々子さん。
「じゃあさじゃあさ、私の詩から曲作りに専念してよあっ君」
「分かった」
そう言って涼子さんの詩を見てみた。詩を見てみると本当に気持ちが高ぶるようなエネルギッシュな詩になっている。この詩のテーマはきっとみんなを元気にさせるような詩になっている。涼子さん本当に頑張ったな。
とりあえず僕は録音室で涼子さんの詩に曲を入れる作業をした。
涼子さんも音楽をやっているはしくれだ。どのようにすれば曲を乗せ方を知っている様な感じで描かれている。もしかしたら僕が作曲をしなくても涼子さん自身で作曲が出来るんじゃないかと思った。
でも僕が二人の曲を作る約束をしてしまったんだよな。だから、僕は涼子さんの詩を作曲をした。
そして一時間くらいがして、涼子さんの歌が完成した。
みんなは武道館に向けて練習をしている。
僕は録音室から出て、早速涼子さんに曲が仕上がったと言ってとりあえず、相変わらずバンドで喧嘩をおっぱじめるような感じの曲をいったん中断させた。
「私の歌が出来たの」
「うん。出来たよ。とりあえず録音室まで来てよ。ここは色々な楽器の設備が整っているからすぐに歌に出来たし、何を演奏するかも機械を使って演奏することが出来るよ」
僕と涼子さんは早速録音室の機材で作曲をした歌をラの声だけで歌った曲を聴かせてあげた。
涼子さんは気に入ってくれると良いんだけれども、どうかな?
「あっ君素敵、こんな甘々な曲で私の元気あふれる詩を歌にしてくれたんだね」
「まあね、何とか出来るようになったよ」
「じゃあ、早速歌ってみるね」
涼子さんはマイクの前に立ち、歌い始めた。
涼子さんの歌声は凄く素敵な物だった。さすがは僕の彼女だ。僕は一生懸命に頑張る涼子さんをいつも見ている。それに奈々子さんも桃子も斎藤さんと光さんの事も思っている。みんなが真剣に一つになれるのだから、僕達はちょっと荒っぽい演奏だが、それが醍醐味になっている。
涼子さんが歌い終わって、涼子さんは、「あっ君どうかな?」
素敵だよ。今日は涼子さんが主役で演奏しようよ。




