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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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斎藤さんのソロ

 僕達は光さんが弾くピアノの演奏に合わせて、曲を奏でている。本当に良い感じに出来上がっている。武道館ライブが楽しみになってきた。今日も奈々子さんと涼子さんのバンド同士の喧嘩が始まっている。その喧嘩を仲裁するように僕のベースで緩和している感じであった。


 曲が終わってみんな本当にお疲れって感じだ。


「バラードの方は完璧ね」


 奈々子さんは胸を張って言う。


「それは奈々子の言うとおりね」


「後はソロだよ。ソロを作ろうよ。まずは斎藤さんが作った歌を斎藤さんに歌って貰おうよ」


「ちょっと、待ってください、私には心の準備が出来ていないんですけれど」


「とにかく翔子、時間はないんだよ。とっとと歌にして貰いなよ光さんも私達もいることだし」


「何よ涼子あたし達だってまだ歌詞すら出来てないのに良くそんなことが言えるね」


「涼子、それってあたしに喧嘩を売っているんじゃないでしょうね」


「喧嘩は売ってはいないけれど、私は正論を言っただけよ。まだ、私達はソロの歌詞すら書いていない」


「じゃあ、書こうじゃないのよ。涼子もしあたしより良い歌が完成しなかったらみんなに焼き肉おごるのはどうよ」


「もう二人ともいい加減にして、そんな喧嘩ばかりしていたら良いライブなんて出来なくなってしまうじゃない」


 斎藤さんが怒り出して叫び散らした。


「本当ね。翔子ちゃんの言うとおりね。あなた達喧嘩も程ほどにしなさいよ」


 奈々子さんと涼子さんは光さんに注意されてしまった。すると涼子さんも奈々子さんも反省している感じだ。そうだよな光さんぐらいの威厳がなくてはこの二人を仲裁することは難しくなってしまっている。


 とりあえず翔子さんの歌詞をみんなのメロディーで歌にする事になった。こういうときだけ僕達は一つになれる。相変わらずギターの奈々子さんとドラムの涼子さんは演奏で喧嘩している感じだ。これも僕達の長所だと僕達のマネージャーの鈴木さんは言っていたっけ。


 翔子さんの歌詞を僕は見てそれをアコーステックギターで描き始める。


 本当に翔子さんはいつも引っ込み思案だが、僕よりも才能の持ち主だ。いっその事、僕がソウルメイトのリーダーではなく斎藤さんがリーダーに抜擢しても良いと思いたいくらいだ。でも斎藤さんはリーダーって言う感じではないよな。きっと斎藤さんにその事を言ったらびっくりして気絶してしまうかもしれない。


 でも斎藤さんはこのソウルメイトにいなくてはならない存在だ。それは僕達が一番良く知っていることだ。


 とりあえず、今はソウルメイトの斎藤さんのソロを作るのが先決だ。斎藤さんは歌はうまい。まあ、みんなうまかったけれども、とにかくこのスタジオで斎藤さんのソロを作っている。斎藤さんは天才か?斎藤さんの詩を見てみるともうメロディーが思い浮かんでしまう感じである。


 みんながスタジオで練習している最中に僕は斎藤さんの歌を作っていた。良しこれなら行ける。本当に斎藤さんは何度も言うけれど天才だ。さすがはいつも僕の小説のアクセス回数を抜くぐらいの事はある。


「斎藤さん」


 僕は自主練をしている斎藤さんを手招きをした。斎藤さんは寄ってきて、とりあえず歌い方を伝授した。すると斎藤さんはかなり飲み込みも早くすぐに歌えるようになってしまった。

「よーし、みんな斎藤さんの歌が完成したよ。みんな聞いてあげてよ」


 僕が言うと斎藤さんは緊張していた。僕はそんな斎藤さんにウインクをした。『斎藤さんみんなに見せてあげなよ』って感じで伝えた。


 そして斎藤さんはアコースティックギターを弾きながら歌い出した。


 みんなそんな斎藤さんの歌を聴いてあげて本当に気持ちよさそうな顔をしている。


「やるじゃん翔子、あたしも負けていられないね」


 斎藤さんの歌声にみんなメロメロだった。本当に斎藤さんは天才だ。それはみんなも感じていることだ。


「よし私も翔子に負けないくらいの歌詞を作って観客を虜にしてあげるんだから」


「涼子、あたしだって負けないよ。翔子に先を越されてしまったけれど、あたしも観客を魅了するような歌詞を描いて武道館で歌ってやるんだから」


 涼子さんも奈々子さんも翔子さんに触発されてスタジオ内でノートをそれぞれ持って、歌詞を書き始めた。


 翔子さんのおかげで涼子さんも奈々子さんもやる気になってくれた。さすがは僕達はライバル関係だ。僕達はそうやって成長していけば良いんだ。そこで僕と桃子と光さんで練習していた。斎藤さんも涼子さんも奈々子さんも歌はうまいが桃子の歌唱力には勝てない。だから僕達のボーカルは桃子一人になっている。


 気がつくとこうやってみんなで練習していると時間なんてあっと言う間に過ぎてしまう。スタジオを借りる時間が過ぎてしまった。


「もうおしまいか。せっかく良い詩が書けそうな気がしたんだけれどもな」


「奈々子、それ本当なの、また幼稚な歌詞を描いたんじゃないでしょうね」


「またって、あたしはそんなに幼稚な歌詞なんて書いていないよ」


「さあ、どうだか?それなら見せてみなさいよ。あなたの気合いの入った歌詞を」


 すると奈々子さんは涼子さんに歌詞を差し出した。


 歌詞を読み始めたのか?涼子さんは驚いている感じだった。


「やるわね、奈々子。幼稚と言ったのは撤回するよ」


「じゃあ、あたしに謝ってよ」


「何で私が奈々子に謝らなくてはいけないのよ。元はと言えばいつも幼稚な歌詞を描いている奈々子が悪いんだから」


「何よ、あんたまたあたしに喧嘩を売っているの?」


 険悪なムードに化してしまった。また喧嘩にならないか僕と斎藤さんは二人を止めようと準備をしている。


「悪かったよ奈々子。今回は私も奈々子の才能に恐れ入っただけだよ」


「分かれば良いのよ」


 するとスタジオ内の険悪なムードが消えていったことに僕と斎藤さんはホッとしたのであった。


 今日はとりあえず図書館のスタジオを借りて、僕達はそのまま帰ることにした。今日の夕飯は光さんが作ってくれるらしい。


 光さんのメニューを聞くとお好み焼きだった。


 光さんはお好み焼きを作っている間、僕達はこの時間帯はドラムが使えないので、イメージトレーニングをした。今日はスクーリングはお休みの日で明日は月曜日だ。明日からまた、お茶の水のスタジオを借りるつもりで僕達は明日に備えてやるつもりだ。


 光さんがお好み焼きを作って僕達の前に差し出してきた。


「みんなお代わりはたくさんあるから、いっぱい食べてね」


「いつもありがとうございます光さん」


「良いのよ。あっ君達が頑張っているなら私だって頑張れるのだから・・・そうそう明日図書館はお休みだから私もお茶の水のスタジオに行って良いかな?」


「もちろん良いですよ。僕達ソウルメイトのメンバーがお茶の水のスタジオに揃うのは初めてだから」


「そんな大げさな事じゃないでしょ」


 僕達はお好み焼きを食べながらギターを構えながら弾いていた。


「ちょっとみんな、ご飯の時ぐらいは楽器をおいて食べなさい。ちょっとお行儀が悪いよ」


 光さんにそう言われて僕達は楽器をケースにしまって、改めてお好み焼きを食べることになった。


 光さんが作ってくれたお好み焼きはおいしかった。僕は明日涼子さんと奈々子さんが歌詞を描いたのを曲にしなければならない。二人は翔子さんに触発されて描き出す。もう僕達は本当のライバル関係である。


 そして食事も終わってとりあえず今日は武道館に向けての練習はここまでにして最近おろそかになってしまった勉強と絵と小説に没頭した。

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