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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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カラオケ

 レポートをこなして僕達は眠りについた。眠りについたのは午前零時を示していた。本当に僕達に休息などあり得ないと思っている。でも楽しい。みんなとこうして作業をしていると時間なんてあっと言う間に過ぎてしまう。


 朝起きて今日はスクーリングの日だ。でも最近絵をおろそかにしてしまい、絵が下手になっているかもしれない。仕方がないことだ。僕達は武道館ライブを控えているのだから。


 今日はデッサンの日で、僕達はブルータスの像を描くことになった。中央にブルータスの像を置いて、それを囲むように僕達は描いていく。みんな好きな席に座って良いと言うことで、僕と奈々子さんと涼子さんと斎藤さんで並んで描いた。


「みんな、とにかく描く時間よりも見る時間を優先して描くんだぞ」


 と高岡先生は言っている。


 やばいな、僕達は武道館ライブの事でいっぱいでうまく絵が描けない状態になってしまっていた。


 みんな描き終わって。僕は百人中六十番で、奈々子さんが四十五番、涼子さんが五十番、斎斎藤さんが四十番を示している。


 僕達は高岡先生に呼ばれることになってしまった。


「お前等どうしたんだよ。いつもなら十番台に入れるはずの実力なのに」


「実を言うとあたし達、今度・・・」


 涼子さんはそれ以上言うなと言う感じで奈々子さんの口元をおさえて「申し訳ありません。最近忙しくて絵をおろそかにしてしまって」


「何をするのよ、涼子!?」


 すると涼子さんは威圧的な目で奈々子さんを見つめて、奈々子さんもそれにビビったのか?黙り込む奈々子さん。


「お前達は絵で食っていきたいんだろ。遊んでばかりいないでちゃんと絵の方もしっかりと勉強しておけよ」


 学校を出て奈々子さんが言う。


「涼子、どういうつもりよ。あたし達が武道館ライブをするのに黙っていなきゃいけないの!?」


「当たり前でしょ。私達が謎のバンドソウルメイトと知ったら高岡先生は驚くかもしれないけれど、また面倒な事になってさらに私達は肩身の狭い思いを強いられるよ」


「でも高岡先生なら喋っても良いんじゃないかな?」


「ダメに決まっているでしょ」


「まあまあ、二人ともそれぐらいにして、喧嘩はしないで絵の方もしっかりと頑張ろう」


「まったくあたし達はバンドと学校の両立なんて不可能に近いわ」


「でもライブをやりたいと言ったのはあなたでしょ奈々子」


「分かっているわよ」


「分かっているなら、それで良いよ」


「・・・」


 何も言い出せなくなる奈々子さん。それよりも本当に奈々子さんの言うとおり学校とバンドの両立なんて出来ないと思い知らされた。とりあえず武道館ライブの方をキャンセルするしかないな。それを二人に言うと。


「何を言っているのよアツジ、あたし達はこの日の為に頑張ってきたんでしょ。今更キャンセルなんてあり得ないわよ」


「私もあっ君に賛成だな。やっぱりソウルメイトはライブもやらずに謎のバンドで行こうよ。ソウルメイトは謎のバンドのままやる方が良いよ。その方が売れるかもしれないよ」


「でもアツジに涼子、ここまで頑張ってきたんだよ。それにファンの人達はもうチケットを買って楽しみにしているんだよ」


 そうだ。もう取り返しがつかないところまで言ってしまったんだ。もう乗りかかった船だ。絶対に武道館ライブをやろうと思う。


 そうと決まったら、学校の帰り道で、カラオケ屋に寄る事となった。


「みんな、カラオケは行ったことある?」


 僕がみんなに聞くと、みんなカラオケは初めての事だった。実を言うと僕もカラオケに行くのは初めての事だった。


 カラオケ屋は高校生以上の人なら誰でも入れるらしい。お金さえ払えば。とにかくみんなの歌声が聞きたいので、みんなでお金を出し合ってカラオケに行くことになった。


 カラオケ屋に到着して、僕達はソロをするために歌うことになった。


「あたしカラオケなんて初めてだから、この機械の使い方分からないんだけれども」


 なるほど、この機械に歌いたい曲を選曲するんだな。とりあえず説明書があるのでそれを見て、操作した。


「奈々子さんの歌いたい曲は何?」


「浜崎あゆみのBOYAGE」


「分かった浜崎あゆみのBOYAGEね」


 早速僕が操作をすると奈々子さんはマイクを取って歌い出した。

 奈々子さんは歌がうまかった。これならソロを歌わせるのは良いかもしれない。


「奈々子さん歌上手だね」


「別にそんなにうまくはないわよ」


 何て謙遜しているのが分かる。


 でも本当に奈々子さんは歌がうまいと思った。これならボーカルに抜擢しても良いんじゃないかと思ったが妹の歌唱力には敵わないだろう。


「今度は涼子さんが歌う番にするね、涼子さんは何を歌うの?」


「あっ君その機械私に渡してくれないかな?」


 僕は言われたとおり、カラオケの歌を選曲する機械を涼子さんに渡した。


「涼子、その機械動かせるの?」


「ええ、簡単よ」


 すると涼子さんは島倉千代子の東京だよおっかさんを選曲した。


「涼子、この歌演歌じゃない。あんたその機械の操作の仕方を間違えたんじゃない」


「間違えてはいないよ。私はこの曲を知っているもん」


 曲が始まり涼子さんは歌い出す。


 僕もこの歌を知らない。もしかしたら奈々子さんの言うとおり操作ミスかと思ったが、涼子さんはその東京だよおっかさんを歌いきった。


 凄いうまかった。涼子さんがこれほどの歌唱力を持っているなんて初めて知ったことだった。さすがは僕の彼女と言ったところか僕は鼻が高い。


 次は翔子さん。


「翔子、何を歌うの?私が入れてあげるから、曲を教えて」


「じゃあ、私は八代亜紀の舟歌を入れてくれないかな?」


「あいよ」


 そう言って翔子さんが選曲した曲を歌い出す。


 涼子さんも翔子さんも古い歌を歌っている。この二つの曲は僕達が存在していない頃に出された曲らしい。


 翔子さんも歌い出して、本当に見事なまでの歌唱力だった。


 僕達三人は翔子さんの歌唱力を凄いと思い思わず拍手を送ってしまう。


「凄いね翔子さん」


 僕が褒めると照れてしまい、「そんなことないですよ」と謙遜して見せた。


「涼子も翔子もそんな歌どこで覚えてくるのよ」


「何よ奈々子、私達が古い歌を歌うのはいけないことなの?」


「別にいけないとは言っていないけれど、あんた達時代に取り残されているんじゃない」


「奈々子、あんた私達に喧嘩を売っているの」


「喧嘩なんてとんでもない。とにかく次はアツジの番だから、アツジが入れたい曲を私が入れてあげる」


「奈々子、あんたその機械使いこなせるの?」


 涼子さんは嫌みったらしく言う。


 またこの二人喧嘩しそうになっているよ。


 それを仲裁するように「とにかく奈々子さん。僕はGLAYのグロリアスを歌うよ」


 そう言えば奈々子さんは機械音痴だったことを思い出した。タブレットで絵を描けるようにしたのは僕だったし、奈々子さん。この機械を扱う事が出来るのであろうか?


「あれ?これどうやって動かすのよ」


「あれ~奈々子もしかしてその機械を使うのは初めてだから動かせないんじゃない。さすがは機械音痴の奈々子だよ」


「何よ涼子、あたしに喧嘩を売っているの?」


「売ってはいないけれど、ちょっと機械音痴にも程があるんじゃないかな?」


 僕と斎藤さんはアイコンタクトで二人の喧嘩を止めようと合図を送った。


「このデカ乳チビ女、今日と言う今日は絶対に許さないんだから」


 僕は奈々子さんを羽交い締めにして、斎藤さんは涼子さんを羽交い締めにしている。


 本当に僕達のバンドであるソウルメイトは前途多難な感じがする。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 島倉千代子に八代亜紀! 昭和ですねー。 [一言] 八代亜紀さんは、演歌とロックの違いはあるけど、あっくんたちの先輩です。絵が上手い歌手なんです。「みんな、こどもだった―八代亜紀抒情画物語」…
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