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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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武道館ライブに向けて

 とりあえず僕達はお茶の水から図書館まで帰ることにした。そこで待っていたのが光さんであった。


「光さーん」


 光さんに大きく手を振り大声で呼ぶ僕、長谷川アツジ。


「聞いたわよ。あっ君、私達のバンドがまさか武道館ライブまで発展するとはねえ」


「それよりも光さん。光さんは大丈夫なんですか?武道館ライブって言ったら半端な事は出来ないみたいなんですよ」


 光さんを心配する奈々子さん。


「何を言っているのよ奈々子、最初にコンサートを開きたいって言ったのはあんたでしょうが」


「・・・」


 悔しそうに何も言い返せない奈々子さん。


「まあまあ、二人とも。ここはお互いに頑張りましょうよ」


「まあ、奈々子が言い出した事でも武道館ライブと聞いたからには聞き捨てならないわね」


「何よあんた最初は反対していたじゃない。ソウルメイトは謎のバンドで行こうって」


「私は武道館ライブと聞いたからには聞き捨てならないと思ったから参加したまでよ」


「じゃあ、武道館じゃなかったら、やる気はなかった訳ね。何て貪欲な女なのかしら」


「あんた私に喧嘩売っているでしょ」


「良いわよ。やるならやるわよ」


「ちょっとちょっと二人とも。お願いだからそんな所で喧嘩をおっぱじめないでよ」


 この二人はちょっと目を離すとすぐに喧嘩になってしまうから困った物だとも思ってしまう。でも二人とも悪い人ではないのだが、まあ喧嘩するほど仲が良いって事にしておこうかな?


「それよりも斎藤さんはどう思うの?武道館ライブの事について」


「私は涼子ちゃんが賛成なら賛成です」


「何よそれ。あんたは涼子がいなければ何も出来ないの?もっと自分の意見を持ちなさいよ」


「ちょっと翔子を相手にするなら私が相手になるわよ」


「もう、喧嘩はやめてよ」


 と斎藤さんがぶち切れ始めた。


「いつもいつも奈々子ちゃんも涼子ちゃんもどうしていつもそうなの?私は喧嘩をするなら涼子ちゃんだって敵に回したって良いと思っているんだから!!」


「悪かったよ翔子、別にあんたを責めているわけじゃないのよ」


 奈々子さんがなだめる。


「充分に責めているじゃない」


「何よ。涼子、あたしがいつ翔子を責めたって言うのよ」


「自覚がないのかよどうしようもない奴だな」


 奈々子さんは憤っているでも奈々子さんは、「とにかくもう翔子を怒らせるのはやめよう」


「ごめんなさい奈々子さん。私取り乱してしまって」


「翔子が悪いんじゃないのよ。とにかく今は争っている場合じゃないよね」


「それは一理あるね」


 と涼子さん。


「そうだよ。今は争っている場合じゃないよ。とにかく僕達は一つになるべきなんだ。もちろんバンドで。今回の武道館ライブを成功させよう」


 そんな僕達のやりとりを見ている光さんは大笑いして、「あなた達本当に言い関係ね」


「何ですか光さん。もしかしてあたし達の事をバカにしています」


「バカにはしていないよ。あなた達は本当に良いメンバーだよ。これなら武道館ライブを成功させる事も出来るかもしれないわね」


「でも僕達が出したシングルってまだ、四曲しか出していませんよ。今からオリジナルの曲を二時間分まとめて作るんですか?」


「そうだ。肝心な事を忘れていたわね。これからハードな事になりそうだね。私はあなた達に付き合って曲を編曲の時にしか付き合っていないけれど、そうだね。みんなでとりあえず何か良い曲を作って来ては良いと思うんだけどね」


「良い曲を作るって言ったって曲を作る機材は一つしかありませんよ」


 するとみんなの目が僕に集中的に向けられた。


「アツジ、あんたなら良い曲作れると思うんだけれどもな」


「じゃあ、またみんなで僕と涼子さんの家でみんなで考えて曲を作ろうよ」


「曲を作るって言っても私は自信ありません」


 斎藤さんが自信なさそうにさらに泣きそうな顔して言う。


「とりあえずあたし達はもう一蓮托生。曲はみんなで考えることにしようよ。翔子だっていつも出している小説でアツジを何回も抜いているでしょ。もっと自信を持って良いのよ」


 と奈々子さんが翔子さんに鼓舞する。


「ありがとう奈々子ちゃん。ちょっとだけ自信が出てきたよ」


「それは良かった」


 図書館から僕と涼子さんの家に戻ることにした。


 本当に僕達は遊んでいる場合じゃないが何か凄くワクワクする。武道館ライブかあ、本当に夢のような話だ。


 僕の家に到着して、僕達はそれぞれの曲を考えたりしていた。僕は僕なりに作詞をしていた。とにかくみんなが元気になれるような曲を作ってあげたいと思っている期限は二週間、それまでに二時間丸々収まるような曲を作りたいと思っている。


 僕達は楽器を持ちながら作業をしている。とにかくインスピレーションは気まぐれな事でまともな感覚からでは良い物は作れないことを僕達は知っている。


 僕は懸命にどんな歌詞が良いかなあって楽しみながら歌詞を描いている。


 よし、インスピ来た。僕はペンが止まらないほどにノートに歌詞を書いた。それを見た四人は、何かこの詩が良いような気がして、早速演奏が始まった。


 ギターの斎藤さんと奈々子さんがセッションする。


 すると僕の今描いた曲を歌にしている。


「良いね良いね二人とも。その調子その調子!」


 今の時間帯ならドラムを鳴らして良い時間帯になっているので、涼子さんがドラムを激しく打ち鳴らした。


 僕は譜面を書いた。


「良し桃子、この歌を歌ってくれ」


 すると桃子は歌い始めた。


 この僕達が作ったこの曲は疾走感あふれていて、本当に良い曲が作れた気がした。


「良しまずは一曲目」


 そこで涼子さんが、「ねえあっ君、こんなのはどうかな?」


「こんなのって」


「私達が自己紹介をしているときに曲を鳴らしながら自己紹介をしていくのはどうだろう。Xもやっていたよね」


「それ良いかもね。涼子さんって天才かもしれないよ」


 僕達には今、落ち込んだり悩んだりしている暇などない。とにかく曲をバンバン作って僕達ソウルメイトをこの日本中いや世界中に知り渡るようにしたい。


「良し、一曲完成」


 とりあえずその一曲をみんなで演奏した。凄く胸に響き渡る歌に仕上がっている。桃子の歌唱力、奈々子さんと斎藤さんのギターのセッション、激しいドラムさばき、そして曲の要となる僕のベース。これで光さんのキーボードが入ったらもう最高かもしれない。そして演奏が終わって、次の曲に入ることになった。


 時計は午後五時を示している。


 今日の所はここまでだ。これ以上夕方にうるさくしていると苦情が来てしまうからだ。


「ねえねえ、明日からお茶の水のレコード会社のスタジオを使えることになっているんでしょ。だったら明日行ってそこで曲を作るのはどうだろう?」


「そうだね、僕達のマネジャーが奈々子さんの言うとおり明日から厳しく練習して曲も書いて行くしかないな」


「厳しいなんて言わないでよ。アツジ、あたしは厳しいよりも楽しいが良いと思うんだけれども」


「でも楽しいことばかりじゃないよ。僕達は試される事だってあるんだって」


「でもあたしは厳しいよりも楽しいの方が良いと思うんだけれどもな」


「確かに奈々子の言うとおりね、昔はスパルタで厳しいところが天下を取っていたけれど、これからの時代は厳しいよりも楽しい方が天下を取ることになっているんだよ」


「涼子さんもそう言うかあ、じゃあ楽しくやっていこうじゃないか。僕達ソウルメイトの武道館ライブを楽しくやっていこうじゃないか」


 そうか、楽しくやる人がこれからの時代は勝ち組になれるのか。そう言えば僕達は絵や小説、勉強も楽しくやってきた。だから楽しく行くのも良いかもしれない。でもスパイスとして少しの厳しさもあった方が良いような気がするのは僕だけだろうか?

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