コンサート会場は武道館
「じゃあ、コンサートの日程だけれども、六月の後半辺りにしない?」
「で、奈々子、どこでコンサートを開くのよ」
「それはもちろんティアラ江東で開きたいんだけれども」
「ああ、私達が幼稚園児に紙芝居のコンサートを開いた場所ね」
ティアラ江東でコンサートを開くなんてあそこは一流のアーティストがコンサートを開いている。僕達はそこそこ売れてきている。最高オリコンチャート二位にまで浮上している。コンサートは大抵は二時間は続けなくてはお客さんを満足させることは出来ない。それよりも六月は祝日はなくいつやれば良いのか僕達のバンドのマネージャーに聞いてみるしかないな。
「あたし達にマネージャーなんていたの?」
「大抵売れっ子のバンドにはマネージャーがついているらしい、でも僕達はマネージャーに会ったことすらないんだよな」
「とりあえずアツジ、問い合わせて見てよ」
「ええ!?僕が!?」
「何よ奈々子、あんたがコンサートをやりたいって言ったんでしょ。あなたが言うべき何じゃないかしら」
涼子さんの言う通りだ。ここは奈々子さんにうちのマネージャーに連絡を取るように言う。
「分かったわよ。あたしがマネージャーに頼んでコンサートを開くように言うわ」
「頼むよ奈々子、あんたが言い出したことなんだから」
僕達が見守る中、奈々子さんは僕達が所属するレコード会社に連絡を入れた。奈々子さんは僕達ソウルメイトのバンドでコンサートを開くためにマネージャーに連絡を入れた。奈々子さんはマネージャーらしき人と話している。僕達のマネージャーの名前は鈴木豊子さんと言う女性らしい。そんな鈴木さんと話していて奈々子さんはびっくりした感じで話し合っている。
「ええ!?あたし達が武道館ライブを?」
それを聴いた僕達は耳を疑った。いきなりスケールが大きすぎないかと。
「涼子さん聞いた?僕達が武道館ライブに出場できるなんて」
「私は今でも信じられないわよ」
斎藤さんも桃子も信じられないほど驚いている。僕達が武道館ライブ!?武道館ライブと言うと今まで数多くの大物アーティストが集っている場所だ。僕達はまだ高校生なのにいきなり武道館ライブだなんて。あの尾崎豊も十代の頃に武道館でライブをしたことがあると聞いている。そんな人と肩を並べられるほど僕達はそこまでやって来たのか?夢にも思わぬ事だった。
最初はやる気はなかったが武道館と聞いて僕達は燃えた。武道館なら小説にも絵にも支障が出てしまうかもしれないけれど、そんなことはもうどうでも良かった。よし、本気で行くしかないな。
「みんな、とりあえずレコード会社に来いって言っているけれど」
奈々子さんは通話を切り、僕達に満面の笑みを見せてくれた。
「行くに決まっているじゃん。僕達が武道館ライブなんて夢にも思わなかったよ」
「これは夢じゃないよ」
そう言って奈々子さんは僕の頬を思い切りつねった。嬉しさが増していて痛みなど感じず、僕達は武道館ライブを成功させるためにレコード会社に向かった。
レコード会社はお茶の水にあると聞いている。僕達はお茶の水の駅まで向かって、レコード会社に向かった。
そしてレコード会社に到着して、受付で僕達五人は奈々子さんを代表にしてマネージャーの鈴木豊子さんと言う人とアポを取っていると言って問い合わせてくれた。そして半心疑っていたが、その鈴木豊子さんは実在する人物であり僕達は鈴木豊子さんに会うことになった。
オフィスに入るとレコード会社の人達は忙しなく働いていた。凄くドタバタした所だ。そして僕達は鈴木豊子さんに会った。
年は六十位で、もうおばちゃんと言った感じの人だった。こんな人に僕達のバンドを任せて良いのだろうかと僕は疑ってしまった。いや疑っている場合じゃないこの人こそ僕達を武道館ライブに誘ってくれた人だ。
「わたくし、鈴木豊子と申します」
そう言って名刺を渡された。名刺にはこう知らしめていた。音楽マネージャー鈴木豊子と。
「僕はソウルメイトの長谷川と申しますが」
「君がソウルメイトのリーダーさんかな?」
そこで涼子さんに耳打ちをする。
「僕達のバンドでリーダーって決めていなかったよね」
そこで奈々子さんが僕達の会話に入ってきて。
「もう誰でも良いわよ。アツジそこんところお願い」
「僕がソウルメイトリーダーの長谷川アツジです」
「あなたがリーダーなの?曲聞かせて貰ったわよ。凄く良い曲を作るんですね。で、ボーカルの人は?」
「ボーカルは長谷川アツジの妹の桃子です」
「えっ!?ボーカルってこんなに小さな女の子だったの!?」
驚くのも無理はないよな。ボーカルの桃子は歌唱力が凄く、大人びた声をしている。
「桃子じゃいけませんか?」
「いけなくはないわ。あなた達は新たなる個性を持ったバンドよ。それとソウルメイトは六人と聞いていたけれど、今日は五人しか来ていないみたいみたいだけれども」
「もう一人は図書館の司書のバイトをしている人なんですけれど、今忙しくて手が離せなくて」
「そうなの。じゃあ、出る時は六人で出て貰うことを条件としましょう」
光さんなら出てくれるだろうなと思って「分かりました。当日は六人で出ることを約束します」そんな事を言っていると思い切り僕のおしりをつねる奈々子さんがいた。
「ちょっと奈々子さん何、痛いじゃないか」
「痛いかじゃないよ。もし光さんがコンサートに出られなかったらどうするつもりなのよ!」
「大丈夫だよ光さんなら出てくれるよ」
「光さん図書館の司書のアルバイトでてんてこ舞い事を知っているでしょ。それなのに無理に出そうなんてあなた何を考えているのよ」
言われて見ればそうだ。光さん無理はさせてはいけない。そう思って僕は鈴木さんに。
「すいません鈴木さんまだ、光さんにはちゃんと伝えていなかったんですよ。だからもう少し待っていて貰いませんか!?」
僕はそう言って「鈴木さんトイレはどこですか?」
「そこの突き当たりを右だけれども」
「ありがとうございます」
そう言って僕はトイレへと向かって光さんのスマホに連絡を入れた。
「あら、あっ君どうしたの?」
「あのーコンサートの件ですけれども光さんも出て貰えませんか?」
「もちろん出るわよ」
「でも、光さん図書館の司書のバイトでてんてこ舞いじゃないですか?そこんところ大丈夫ですか?」
「あっ君、あたしを誰だと思っているの?」
「しかも、今度やるコンサート会場は武道館コンサートに決まったんですよ。僕達はそれに向けて必死に頑張らなければならないんですよ」
「あっ君、それ本当なの?」
「僕は嘘はつきません」
「だったら私も気合いを入れて頑張らなくてはいけないね」
どうやらやってくれるみたいだ。僕はトイレからすぐに出て鈴木さんのところまで戻った。
「あっ鈴木さん。キーボードの光さんはやってくれるみたいです」
「よし。あなた達武道館ライブと来たからには半端な演奏じゃ通らないことを教えてあげるよ。明日早速うちの事務所のスタジオで猛特訓するわよ。それにはそのキーボードの光さんも連れて来る事ね」
いきなり厳しいことを言われてしまったなあ。今は僕達はソウルメイトの印税で食べている。それがつきてしまったら、新聞配達は出来ないけれど、コンビニとか引っ越しとかのバイトをしなければ食べていけなくなってしまう。色々と僕達のCD以外にも僕達のグッツとかも売れているんだもんな。
武道館のライブは絶対にヘマする事は出来ない。やるからには徹底的にやるしかない。




