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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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コンサートをやろう

 そう僕達の脳は時々、怠ける癖があるので叱ってあげなければならない。でも僕達が五人そろえばそんな事にはならない。人間って言うのは時々怠ける癖があるので、そうならないようにいつも五人で活躍している。


 そんな梅雨入りした六月の時僕達にバンドのコンサートを開く依頼が舞い込んできた。これまで僕達は忙しく、バンドの印税で暮らしていたが、そろそろバンドのコンサートをしても良いかもしれないと思っている。僕達のバンド名はソウルメイト。


 そのソウルメイトは世間では謎のバンドとして僕達は活躍している。

 このまま謎のバンドとして居続けると言うのも良いと思ったが奈々子さんがコンサートを開きたいと言ってきた。


「あたし達のバンド、ソウルメイトだけれども、そろそろコンサートを開きたいと思っているんだけれども。どうかな?」


「どうかな?じゃないよ。あたし達はコンサートをやっている暇なんてないよ」


 涼子さんが意地悪そうに言う。


「そんなことを言わないでさあ、アツジはどう思う」


「確かに楽しそうだけれども、涼子さんの言うとおり僕達はそんな事をしている場合じゃないよ」


「確かにあたし達は忙しいけれど、バンドを組んで売れたことだし一度だけコンサートを開いてみない?翔子はどう思う?」


「私は皆さんがやるならやります」


「桃子ちゃんはどう思う?」


「確かに楽しそうだけれども、何か人前で歌うのってなかなか恥ずかしい事だと思うんだけれどもな」


「みんな、コンサートやろうよ。せっかくあたし達は売れたのに、このまま謎のバンドのままで良いの?」


「それが良いと思うよ、謎のバンドソウルメイトなかなかしっくり来る物だと思うんだけれどもな」


「何アツジ気取っているのよ!」


「別に気取って何てないよ。とりあえず僕達は謎のバンドのままで良いと思うんだけれども、確かにコンサートの一つはやってみたいね」


「そうよ。あたし達の実力を世間に知らしめてやりましょうよ」


 コンサートかあ、とりあえず、光さんに相談してみようと思って僕達は光さんが働く図書館へと向かった。図書館に到着すると光さんは忙しなく働いていた。


「ほら、奈々子、光さんもコンサートどころじゃないみたいよ」


 本当だ、光さんは汗水垂らして働いている。これじゃあ、コンサートどころじゃないみたいだ。


 そんな時、窓際で光さんを見ていると光さんと目が合って光さんは僕達に微笑んでくれた。その女神様スマイルの光さんを見て僕はドキリとした。


 光さんは作業をやめて、僕達の所にやってきた。


「あら、あなた達また今日もバンドの練習?」


「それもあるんですけれども、あたし達はコンサートをしたいと思いまして、光さんなら相談に乗ってくれると思ってはせ参じました」


「コンサートか、確かに良いかもしれないけれど、あなた達そんな事をしている余裕はあるの?」


 確かに光さんの言うとおりだ。僕達は絵や小説、に勉強に、それと奈々子さんがしたがっているバンドの練習だってある。そのバンドでコンサートがしたいなんてちょっと無謀なのかもしれない。


「あたし達そこそこ売れてきているじゃないですか?その勢いでコンサートを開けば大いに盛り上がると思うんですけれども」


「私は反対だな。今のままで何が不満なの奈々子」


 涼子さんが言う。


「何よつまらない女ね」


「何よつまらない女って、あたしの事をなめているの?」


「なめて何ていないわよ。私達にはやることがたくさんあるでしょ。小説に絵に勉強にそれに奈々子がしたがっているバンドだって」


「涼子、もったいないと思わないの?私はこれまでバンドであたし達練習してきたじゃない。その練習の成果をコンサートにぶつけてみたいとは思わないの?」


 涼子さんと奈々子さんは言い合いをしてしまった。

 

「まあまあ、二人とも、奈々子さんはコンサートをやりたい気持ちも分かるよ。それに涼子さんが僕達はそれどころじゃない気持ちも分かるよ」


「アツジ、あんたどっちの味方なのよ」


「そうよあっ君、あなたは無謀なコンサートをしたいの?それとも何なの」


「何よ。無謀とは何よ!」


「言葉通りの意味よ!」


「あんたあたしとやるつもりなの?」


「まあまあ二人とも落ち着いて、とにかく話し合おうよ」


 この二人はいつもそうだ。何かもめ事があるとすぐに喧嘩になってしまう。

 コンサートかあ、確かにやりたいと思うけれど、僕達がコンサートを開いたら、絵や小説に支障が出てしまうし、僕はどちらかと言うと、コンサートを開きたいとも思うし、でもこのままCDを出し続けて謎のバンドソウルメイトで活躍したいとも思っている。ああ、何かごちゃごちゃしてきた。


 まあ、こういう時はみんなで話し合って決めた方が良いと思っている。光さんの仕事が昼休みになった頃僕達は話し合うことになった。


「あたしは絶対にコンサートをした方が良いと思うよ」


「何を言っているのよ。私はこのまま謎のバンド、ソウルメイトで行きたいと思っているんだけれども」


「何よつまらない女ね。絶対にコンサートを開いて、私達の名前を世に知らしめてやるんだから」


「つまらないとは何よ!光さんだって忙しいんだから」


「まあまあ二人ともそんなに熱くならないで、桃子ちゃんが見ているわよ」


 光さんの仲裁に二人は黙り込んでしまった。


「桃子は反対だな。もしコンサートをしてボーカルがこんな中学生の女子なんて聞いてみんな呆れてしまうかもしれない」


「何を言っているのよ。桃子ちゃん。あたし達は常に新しい物を確立して行くべきなのよ。今時のアイドルユニットだって小学生や中学生がいても珍しくはないよ」


「ちょっと特殊な物と一緒にしないでよ」


「一緒にしたって良いじゃない」


 二人はあーだこうだと、言い合っている。これはもう奈々子さんと涼子さんの問題と化している。


「ほら、二人とも」


 光さんが手を叩いて二人の仲裁に入った。続けて光さんは、


「奈々子はコンサートを開きたいんだね」


「はい。こんなに練習しているのに人前でコンサートを開かないなんてもったいないですよ」


「それで涼子ちゃんはコンサートを開きたくないのね」


「当たり前ですよ。そんな暇はありませんし、それに無名のバンドだからこそ私達は売れているような物じゃない」


「じゃあ、こうしよう。多数決で決めましょう。この五人の中でバンドをやりたい人とやりたくない物を決めましょう」


「ちょっと光さん。光さんもうちのメンバーだからもし、コンサートをやることになったら、光さんも出て貰う事になるんですけれども、大丈夫なんですか」


 僕は光さんの心配して言った。


「私は大丈夫よ。私が入ったら、多数決で半々になった場合またもめ事が発生するかもしれないから、私はみんなの意見を尊重するよ。では言うよコンサートをやりたい人」


 すると奈々子さんだけが手が上がった。僕はどちらでも良いのだが、そんな時である。奈々子さんが手を挙げながら凄い目で僕の目を見てきた。僕はその目が怖かった。それはもう手を挙げなかったらどうなるか分かっているんろうね、と言う目であった。だから僕はおもむろに手を挙げてしまった。


 僕が手を挙げると桃子も手が上がった。斎藤さんはいつも涼子さんの味方なので、涼子さんの言うとおりにして手は挙げなかった。


 これでコンサートを開くことが決定してしまった。


「ちょっと奈々子、あっ君をそんな目で脅さないでよ」


「はあ?何のこと、あたしは脅して何ていないよ」


 涼子さんは大きくため息をついて、「分かったわよ。やれば良いんでしょ」と渋々ながら言った。


 これで僕達はコンサートをやることに決まってしまった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 奈々子さんが怖いのはわかるし、私も奈々子さん好きなんですが、あっ君、自分の考えを持った方がいいですよ。
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