命を懸けた攻防戦
外を見ると久川は仲間を連れて豊川先生の塾にやってきた。久川の仲間の連中は十人くらいいる。それもかなり強面な人ばかりだ。
「おい、豊川、出てこいよ」
久川は叫ぶ、近所迷惑も良いところと言った感じでバイクの騒音を上げながら。
「豊川先生、警察を呼んだ方が良いんじゃないんですか」
僕が提案する。
「いや、警察を呼んでも無駄だ」
「じゃあ、僕達はどうすれば良いんですか?」
涼子さんも奈々子さんも斎藤さんも桃子も怖がっている。
「みんな怖がらなくても良いよ。僕が何とかするから」
「何とかするって豊川先生」
光さんが豊川先生のことを慮って言う。
「元はと言えばこの件に関しては僕がいつか責任を取らなくてはいけないことになっているんだよ。だから僕は久川君に話をつけてくるよ」
すると豊川先生は観念したのか外にいる久川の元へと歩み寄った。
「久川君、僕は逃げも隠れもしないよ。僕を殺したければ殺せば良いよ」
何を言っているんだ豊川先生は、自分が犠牲になれば良いと思っているのか?
「約束してくれよ。僕の生徒にこれ以上傷つけるのはやめてよ。僕は君に殺されて良いと思っている」
そして豊川先生は大声で。
「さあ、久川、僕を煮るなり焼くなり好きにしろ、それで君の気が済むならそれでいいだろう!」
僕は我慢できなくなって僕も久川の前に出て行った。金属バットを両手持ちして。
すると僕に続いて光さんも斎藤さんも奈々子さんも涼子さんも桃子もそれぞれ武器を持って僕に続いた。
「何をやっているんだ。ここはもう危険だ。ここは僕と豊川先生に任せてみんなは中に入っていてよ」
「何を言っているのよあたし達はもう一蓮托生じゃない。それにアツジ、かっこいいよ」
「奈々子さん。そんな暢気な事を言っている場合じゃないみたいだよ」
僕達は久川の仲間は無視して久川の目を威圧的な目で見つめた。
「そんな目で俺を見るな!」
そう言って久川は拳銃を取り出して僕達に向けた。今度の銃はライターじゃないだろう。本物の拳銃だと思う。
「打ってみなよ久川さんとやら、私達はそんな拳銃を向けられてもビビったりはしないんだから」
涼子さんがそう言うと、久川は凄い形相で僕達を見つめて、その銃を発砲した。
すると涼子さんの足に命中して倒れ込む涼子さん。
「涼子ちゃん」
斎藤さんが倒れ込みそうになった涼子さんを両手で抱き留めた。
僕は我を忘れて、久川にこの金属バットを脳天にたたき付けようとしたところ、久川は僕に発砲した。一瞬何が起こったのか分からなかった。久川は僕の左腕肩に発砲したみたいだ。それでも僕は痛みなど感じず両腕で久川の顔面にヒットさせた。
「この野郎」
今度は僕を殺す気でいるのか、久川は僕の顔を目がけて銃を向けた。久川が引き金を引こうとすると発砲はされず、僕は久川の顔面に金属バットで何発も何発も打ち続けた。だが僕は左腕を損傷しているみたいで、まともに攻撃を仕掛けられず、久川の仲間達に袋たたきにされてしまった。
もはやここまでなのか?そこで光さんや斎藤さん奈々子さん桃子は命がけで僕が袋たたきになっている僕を助けようとしたが、男の力には女の力ではあまりにも大きな力の差があって、僕を助けようとしたみんなはその強面の男達に一掃されてしまった。
「女子供にここまでやられるとは誤算だったよ」
すると豊川先生はそんな強面の男達を一人二人とやっつけていく。豊川先生がこんなにも強かったなんて思いもしなかった。
「久川茶番はこれぐらいにして、僕と一騎打ちをしないか?君が恨みを持つのは僕に対してだろう。だからここからは久川、君と素手で決着をつけたい」
「豊川、そんな事をして何になる。実力はお前の方が有利だろう」
「何だ。久川、怖いのか?相変わらず弱虫なのは変わらないな」
「何だと!?」
「さあ、久川、かかってこい。僕と君の一騎打ちだ」
「上等じゃねえか!」
拳銃を地面にたたき付け、豊川に飛びかかる久川。
豊川先生と久川の肉弾戦。僕達は息をのむ。周りの強面な連中はリングを作るように囲む。
だが久川はあっさりと豊川先生に負けてしまった。豊川先生のパンチ一発で倒れてしまったのだ。
それを見た強面の連中は呆れてしまった。
「久川さんがあんなに弱い人間だったなんて」「まさかなあ、こんなにも弱い人間だとは思わなかったよ」「何て情けない奴なんだろう」
僕達も久川も強面の連中は一部始終をそれを見ていた。久川がこんなにも弱い人間だったなんて。これは強面の連中も久川の命令を受けなくなるだろう。そして強面の連中はそんな久川を捨てるように去って行った。
「本当に弱虫な所は以前と全然変わっていないな」
「うるせー!」
そう言って豊川は拳銃をもう一丁取り出して豊川に突きつけた。
「だったらてめえ等をこれで皆殺しにしてやる」
その震えた手で久川は豊川先生に拳銃を突きつけた。
「久川君、自首してくれないかな?君の取った行動は許されないことなんだよ」
「お前が尾島を殺したような物だろう」
「尾島さんがこんな事を望んでいないのは君が一番良く知っているじゃないか?」
はっと久川は目を瞑り、尾島さんの事を思っているのか?黙り込む久川。
そして久川はとんでもない行動に出ようとしている。久川は拳銃を自分のこめかみに突きつけ、発砲しようとしたところ豊川先生に止められた。
「僕は自首しろと言っているんだ。尾島さんは君の死を望んだりはしない。考えてみれば君なら分かることなんじゃないかな?」
「・・・」
何も言えなくなるほどショックを受けているのが僕には分かった。
「もう一度やり直してみないか?」
「でも俺は取り返しのつかない罪を犯してしまった」
「今なら取り返せるよ、もう一度司法試験に臨んで弱き人の力になってあげられないかな?君は言っていたね。僕のような人になりたいと、だったらもう一度頑張って見なよ」
「僕達も協力するよ。もし良かったら僕達と熱を出し合って、勉強に勤しむのはどうだろうか?」
「何でお前等は俺に酷いことをされたのに、そんな平然とした顔をしていられる」
「僕達もあらゆる困難を乗り越えてきたから」
「豊川の言うとおり自首はする。でもお前達にもう迷惑はかけられない」
そう言って久川は警察署まで行きすべての事を告白するのであった。
これにて一件は落着した。久川の奴、また人生をやり直すつもりでいたようだ。
久川は恋人を無くした一件でそれが彼を悪魔に変えた。
僕と西宮さんはそれぞれ、久川に拳銃で撃たれて重傷を負っている。僕は左肩を拳銃で撃たれて、西宮さんは足に拳銃を受けている。
とりあえず救急車を呼んで、僕と西宮さんは乗って治療を受けて西宮さんは全治一ヶ月で僕も同じだった。
今回の件は僕はすべての元凶は尾島さんにあると思っている。自分が久川の司法試験の重荷になっていないかと思って、自殺した。それが久川を悪魔に変えて、裏の世界で久川は成り上がった。
どんな理由にしろ自殺というのは一番いけない事だと思っている。もし僕の恋人の西宮さんが自殺してしまったら僕は久川と同じ事をしていたかもしれない。でも西宮さんはそんなに弱い人間じゃ無い。いつも明るく、どんな時でもその笑顔を絶やすことの無い女の子だ。
また僕達は強くなれたんじゃ無いかと僕は思った。そうだ。こうして僕達は強くなっていけば良い。僕達はもう負けるわけにはいかないんだ。小説家兼絵師という夢がある限り僕達の熱は冷めはしない。




