こんなひどい状況だからこそ、今できることを頑張るしかない
僕達は久川の前では無力なのか?ニュースで麻美ちゃんがレイプされてしまった事に僕はふがいなさを感じた。あの穏やかな豊川先生は何をしているのだろうか?麻美ちゃんがレイプされてしまったのに。僕は麻美ちゃんの事が心配になってしまった。
病院から出ようとすぐに光さんに止められてしまった。
「あっ君、どこに行こうとするの?」
「麻美ちゃんが久川の連中にレイプされてしまった。僕は許せない。久川の野郎を絶対に許してはいけない」
「気持ちは分かるけれど、私達は久川の前では無力なのよ!」
「だからって久川の事を野放しにして良いんですか!?」
僕は痛みをこらえながら叫んだ。もう僕は我慢できない。このままでは僕の大切な仲間である奈々子さんや涼子さんに斎藤さんに桃子も犠牲になってしまう。
「とにかく、あっ君、今は我慢よ」
「くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!」
そう言いながら僕は布団の上で暴れた。
光さんは僕を止めようとはせず黙って見ていた。
僕は傷の事を忘れて暴れて、怒りが収まると急に激痛が走った。
「どう?少しは気分が楽になったんじゃない」
光さんは言う。
そして自分の無力さに僕は涙を流してしまった。こんなに暴れてもどうしようもないことは分かっている。でも無力な自分に出来ると言ったら、こんな無意味な事だ。そう、こんな無意味な事しか出来ないのだ。
「僕も豊川先生のところに行くよ。この問題は豊川先生に何とかして貰わないといけないと思っている」
「どうやら止めても無駄のようね。でも久川の今の力は豊川先生でもどうにもならないんだよ」
「でも僕達は無力な一人じゃない。ここはみんなの力を合わせるときだ」
「力を合わせるかあ。それは悪くはないと思うけれど、怪我をするのはあっ君、君だけじゃないんだよ」
光さんに残酷な真実を告げられる。僕は怒りに翻弄されて光さんに重大な事を教わった。それに頭を冷やすことが出来た。でもこうして手をこまねいてばかりではいられない。だから僕は病院で着替えて豊川先生の所に向かおうとする。
「どうしても行くつもりなのね」
「はい。もう我慢できません」
「分かったでも私も行くわ。とにかく今は一人になるのは危険だわ。だから私もあっ君と共に行くわ」
「でも光さんは女性だ。そんな女性に危険な目に合わせられないよ。そうしたら麻美ちゃんの二の前になってしまうよ」
「私はあっ君を一人にさせるわけにはいかないのよ。塾の人間は今、一人で行動することは規制されているわ」
「じゃあ、分かった光さんも行きましょう」
「あたしも行くわアツジ」
どこからか声が聞こえる。その声の発信源は僕の病室の外だった。それにこの声は奈々子さんの声だと言うことは分かっていた。それに奈々子さんだけじゃない。涼子さんも斎藤さんも桃子も一緒だった。
「あっ君、私達は仲間よ。それに私はあっ君の恋人よ」
「涼子さん」
「あっ君さん。私達も戦います。私達はあっ君さんの言うとおり無力だけれども、私も行きます」
僕はみんながいてくれて凄く胸が熱くなれた。そうだ僕は一人じゃないんだ。
「確かに僕達は無力かもしれないけれど、僕達は一人じゃない。みんながいることを忘れてはいけないと僕は勉強になったよ」
「そうよ私達は一人じゃないのよ。私達の武器は仲間の絆よ」
涼子さんは熱く語る。
「じゃあ、行こう僕達の先生である豊川先生の元へ」
僕は傷が少し痛みながらも、立ち上がり、仲間と共に豊川先生の元へと行くことにした。
「外は危険よ。でもみんながいれば大丈夫かもしれないわね」
僕は退院手続きをして、もう大丈夫だと医者に言って、医者はもう少し入院していた方が良いんじゃないかと言っていたが、この入院費は僕の両親の物なんだよな。それは悪いと思って僕は勝手に退院手続きをした。
僕達は自転車で豊川先生の待つ塾へとそれぞれ自転車で向かった。
塾に行く途中で誰かに見られている気がしてならなかった。
何か視線を感じる、誰かに見られているような感じがして落ち着かなかった。
塾に到着して、僕達は豊川先生の元へ。
豊川先生の顔を見るといつも穏やかな笑顔を僕達にくれるのに今はそんな気分じゃないと言った感じで険しい顔をしている。
「豊川先生、麻美ちゃんがわいせつな行為をされたと聞きましたが」
「ああ、外は危険だ。ここにいればとりあえずは大丈夫だが、また久川君の卑劣な行為に耐えられるか分からない。危機がそこまで近づいている」
豊川先生の話を聞くとここも安全ではないと認識をした。
やはりもうここも危険だと感じた。豊川先生の生徒と言うだけで麻美ちゃんは犠牲を被った。豊川先生の話を聞くと麻美ちゃんは恐怖で家に閉じこもってしまったらしい。
警察の力も通用しない久川はどのような手段で僕達に迫り来るのか?
とにかく僕達は負ける訳にはいかないんだ。
塾の中を見渡して見ると、誰も生徒はいなかった。豊川先生は狙われているから生徒全員家に返したらしい。
「豊川先生、僕達も力になりますよ」
「悪いね。君達も巻き込んでしまって」
「豊川先生、尾島さんの事を久川は・・・」
光さんが聞く。
「あれは仕方がなかったのだ。久川君に慕われていた尾島さんは久川君の重荷になりたくないからと言って自殺に至ったんだ」
「そんな重荷って」
「久川君は司法試験に何度も挑戦していた。でも尾島さんはそんな彼の事を自分ばかり気をかけて、自分が重荷になっているんじゃないかと思って、僕に伝言をしたのだ。久川君とお別れをしたいって。そして通話は切れて、そのまま・・・」
「睡眠薬を大量に摂取してなくなってしまったのですね。その事を久川さんに言ったのですか?豊川先生」
「言ったけれども、どうして僕がついていながら、そんなことになったのだと僕を恨み始めたんだ」
そんな、自分が重荷になるからと言って、自殺してしまうなんてどうかしている。その尾島さんの優しさが久川を悪魔に変えてしまったのだ。本当に酷い話だ。でも久川の言うとおり豊川先生がついていながら説得することは出来なかったのか。もし僕が久川の立場だったら同じ事をしていたかもしれない。でも久川に気がついて欲しい報復は報復しか生まないことを。
これは久川の悲しい復讐だ。話し合いで解決をさせるしかない。
僕達に今できることと言ったらみんなで熱を出し合って、勉強や小説、に絵などを頑張ることしか出来ない。そうだ、みんなでポメラで小説を書こう。
「みんなここは安全な場所じゃないけれども、今僕達が出来ることをしよう」
「今あたし達に出来ること?」
奈々子さんが不思議そうにして僕の顔を見る。
「決まっているじゃないか!小説を頑張ることだよ」
「そうね、あっ君の言うとおりだ。今私達に出来ることを頑張るか!問題は解決してはいないけれど、とにかく私達に出来ることを頑張りましょう」
涼子さんが言う。
「私も皆さんと同じです。私達の自信の源はあっ君さんです。あっ君さんに出会えたから私と涼子ちゃんは楽しく勉強や小説や絵などを頑張る事が出来るんだと思います」
「桃子もみんなと小説や絵や勉強などをして凄く楽しかったよ」
「そうだ。僕達は今できることをやろう」
そうして僕達はそれぞれタブレットを取り出して絵を描いていた。僕達は負けるわけにはいかない。今僕達が出来ることを頑張れば良いのだ。僕達はソウルメイトだ。バンドの名前にも記されている。
そんな絵をみんなで楽しく描いていると、激しいバイクの音が鳴り響いた。それに数台も。もしかしたら久川の奴本気で豊川先生やぼくたちを殺す気で来たのかもしれない。




