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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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久川の復讐

 でも何だろう何か嫌な予感がする。あの久川を見て僕は戦いて何も出来なかった。


「今回のスクーリングはやめておこう。新聞配達の同僚と同じ事になってしまうかもしれない。それにもう僕達は新聞配達は出来ない」

 

 新聞配達をする同僚にあんな事をする奴らが僕は許せない。いっそ久川を殺してやりたいと思っている。


「じゃあ、あっ君今からそっちに向かうから待っていてね」


「ダメだよ涼子さん。とにかく豊川先生の側にいてよ。僕だったら大丈夫だから」


「大丈夫だって」


 それで通話は切れてしまった。涼子さんは一度言い出したら聞かない人だから困った物だ。僕達はもう戦うしかないと思っている。でも報復は報復しか生まないと思っている。だから久川と話し合いをして解決させることを僕は思っている。


 本当に久川の奴はいったい何を考えているのだ。豊川先生に恨みがあることは分かった。でもそれは僕達には関係のないことだ。でも久川は言っていた。僕達生徒を痛めつけることによって、豊川に仕返しが出来ることを。久川って奴は最低な人間じゃないか。本当に人間のクズなのかもしれない。


 それよりも涼子さんが遅いな。まさか久川の連中の仲間に何かをされたんじゃないかと僕は思い始めた。僕は涼子さんの携帯に連絡を入れた。


「なあに?あっ君」


 携帯にすぐに出てくれて僕は安心した。


「涼子さん。とにかく気をつけて来てね」


「分かっているわよ」


 そして無事に涼子さんは僕が入院している病室までやってきた。


「あっ君、絵を描きましょう二人だけでも互いに熱を出し合って行けば描けると思うから」


「ゴメン涼子さん。僕の手は思うようにまだ動かせないんだよ。安井達の元仲間にやられた痛みがまだとれていないんだ。でも涼子さんがその気なら僕も無理してでもやろうと思う」


「ダメだよ無理しちゃ。ゴメンねあっ君。無理な事を言っちゃって」


「いいや大丈夫だよ。だから僕のアイパットを貸して」


 涼子さんはやる気だ。そのやる気パワーを貰って絵の勉強に勤しむ事が出来る。


 アイパットを持って絵を描こうとするとちょっと無理があったかもしれないが、すぐに出来るようになってしまった。僕の怪我はもう大丈夫かもしれない。


 良し久しぶりに涼子さんと絵を描くぞ。


 涼子さんは絵を描くモードに入って僕は僕で絵を描くモードに入った。


 久しぶりに絵を描く物だから少しのブランクはあった物の凄い勢いで絵を描くことが出来た。僕達はこうして切磋琢磨をして絵を描いて来たんだ。そう思うと心の底から得体の知れない熱い心が沸き起こってきた。


 そうだ。僕達は心を熱くさせる仲間だ。これ以上の仲間は存在しないと思っている。それに続けて桃子も斎藤さんも奈々子さんもアイパットを持ってきて奈々子さんが「何二人で抜け駆けしているのよ。あたし達の事を忘れた訳じゃないでしょうね」


 そうだ。これが僕の仲間の集大成だと思っている。こうして五人で描く絵は最高の物になっている。でも今日は僕達はスクーリングには行けないんだよな。もし言ったら高岡先生やその他の生徒達に害が及ぶかもしれない。だから僕達はスクーリングには行けない。そんな時である。携帯が鳴り出して出てみると、高岡先生が出てきた。


「おい。お前、今日はどうしてスクールリングに来ないんだ」


 その言葉に熱い思いが込められていた。


「ごめんなさい。これには深い事情がありまして」


「そう言えば、お前とつるんでいた斎藤や東雲や西宮はどうした」


「ここにいます。今、僕達は病院にいるんですよ」


「病院にいる?いったいなぜだ。何か具合でも悪いのか?」


「はい。みんな僕の家のご飯を食べて食中毒になってしまったんですよ」


「そうなのか?それは仕方がないことだな」


 と高岡先生には久川の件に関しては黙っておいた。


 そうだ。それで良いのだ。僕達に関わるとみんな危険な目にあってしまう。僕達は狙われている。久川の野望を食い止めるまでここに居座るしかない。


 それよりもこうしてみんなで絵を描くことは楽しいことだと僕は思っている。熱を出し合ってみんなと一緒に絵を描く。これほど良い物はない。


 僕は幸せだ。こうしてみんなと熱を出し合いながらやることは本当に楽しい時を過ごしていると思っている。


「私もみんなの熱にあやかろうかしら」


 光さんがそう言って紙と鉛筆を出して絵を描き始めた。


「光さん絵が描けるの?」


「まあ、人並み程度だけどね」


 そう言えば僕達は小説家兼絵師の夢を見ている。その夢を見るのは楽しいだけじゃない試されるときが来るだろう。でも僕達は決して諦めたりはしない。一日一歩三日で三歩、歩いているのだった。


 みんな絵を描くことに必死になっている。僕も必死に絵を描いている。久川という危ない奴に狙われようと僕達の熱は冷めやしない。


 僕はベットから降りて「僕はもう大丈夫だ。これならまたみんなと楽しい時間を過ごすことが出来る」


「アツジ、無理をしちゃいけないよ」


 奈々子さんが心配する。


「とにかく僕はもう大丈夫だ」


 そう言って軽くジャンプをするとまだ痛みが走る。


「ほら、言わんこっちゃない。だから無理しちゃダメって言っているでしょ」


 僕は奈々子さんにベットに戻ることを促され、僕は渋々ベットの上に寝転んだ。


 僕がこんなんじゃ、みんなを守ることが出来ない。自分のふがいなさに腹を立てることしか出来なかった。


 とにかく僕はみんなの熱を感じながら絵を描くことに専念した。

 そうすると時間なんてあっと言う間に過ぎてしまい、もう面会時間は終わってしまった。


 そう言えば光さんも絵を描いていたのだ。その絵を見てみると凄く引き込まれそうな程の美しい女性を描いていた。それは本当に凄い物だった。僕達の絵よりもずっと魅力のある絵であった。鉛筆と紙だけのデッサンでこれほどの画質とは本当に恐れ入る。


「今日も光さん。ここにいるの?」


「ええ、当然よ後のみんなは豊川先生の家に泊まることを強要するわ。久川が何をしでかすか分からないから。それに絶対に一人で行動はしないようにして」


 みんなは頷いてくれた。


「あっ君、私も久川と戦うからね」


 と涼子さんは言った。


 それはそれで心強いが僕達は久川の前では無力だ。


 みんなが帰った後、テレビのニュースを見てみると、豊川先生が経営するフリースクールの事が報道されていた。それは麻美ちゃんと言う子が何者かにわいせつな行為をされて、公園で気絶していたことだった。


「光さんこれって・・・」


「久川の仕業だわ」


 僕は許せなかった。麻美ちゃんは僕達の仲間だ。その仲間に久川は手を出して豊川先生の生徒をレイプするなんて許せない行為だと思った。


 僕は黙っていられなくなって病室から出て行こうとすると光さんに止められた。


「あなたが行っても何も出来ないよ。むしろあなたも狙われているから、あなたは私が守るわ。そうするしかない」


「でもそんな事って許せるはずがないでしょ。麻美ちゃんは良い子だった。そんな良い子がこんな事をされて黙っていろって言うんですか?」


「今はそうするしかないわ」


 光さんは目を閉じて我慢している様子だった。絶対に久川の奴を許してはいけない。


 どんな理由があろうとも豊川先生を目の敵とするならまだ、許せるが、何の罪もない麻美ちゃんに手を出すなんて許せないと思っている。それにニュースには久川の名前が出てこない。本当に奴は許せない相手だ。本当に裏の社会では名の立つ人物なのだろう。

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