どんあひどい元凶でも仲間
安井を仲間に入れてろくな事が無いことを知った。新聞配達の同僚達は安井の元仲間に痛めつけられてもう新聞配達どころじゃなくなった。だから少し時間がかかってしまうが新聞配達の仕事は同僚の分までやることにした。
「何よ、安井の奴を仲間に入れてからろくな事が無いじゃない」
奈々子さんは新聞配達の同僚達がやられた事に文句を言っている。
「それは本当の事かもしれないね」
涼子さんも先ほどまでは安井の肩を持っていたが、今回の事に関しては安井を仲間として認めない雰囲気を出している。
新聞配達の仕事は僕達だけの仕事だけじゃなく同僚の分もやることになってしまった。そんな事よりも同僚の人達の事が心配だ。
同僚達は動けない位まで安井の元仲間達に痛めつけられている。それに社長も。僕は今更ながらに思う、安井を仲間に入れたことは失敗だって。それに思っていたんだよな、安井を仲間に入れて何か嫌な予感がしていたことを。
安井と関わるとろくな事が無いと今更ながらに思ってしまう。きっと僕達も狙われてしまうだろう。それにもう僕達は新聞配達の仕事に復帰出来ないだろう。
光さんは言っていた、報復は報復しか生まない。でも今度は僕達が狙われてしまうかもしれない。
みんなの分の新聞配達が終わったのは十一時を回っていた。あまりの重労働に僕達は疲労困憊だった。でもそんな事は言っていられないだろう。すべての元凶は安井にあるんだ。僕達が僕と涼子さん家に戻ると、僕と涼子さんの家に柄の悪い人達が待機していた。
僕達はそいつらを見て一発で分かった。奴らは安井の元仲間だった連中だ。ここは僕と涼子さんの家に戻らない方が良いと思って、とりあえず僕達は助けを求めるために自転車で豊川先生のところに行くことにした。
自転車で二十分豊川先生の塾に到着した。そこには光さんも待機していた。
「どうしたのみんな」
と声をかけてくれたのが、光さんだった。
「安井達の仲間が僕達を狙ってやってきたんです」
「それであなた達怪我はなかったの?」
僕達は安井の元仲間の事を話した。
「エエッ!新聞配達の同僚まで怪我を負わされてしまったの?それとあっ君と涼子ちゃん家に安井の仲間達が待機していたの?」
奈々子さんも涼子さんも斎藤さんも桃子も怯えていた。
「何でうち達がこんな事にならなければならないの?」
桃子は涙ながらに言う。
それは怖いよな、あんな連中に狙われたら。
しかも僕以外みんなは女の子だ。
そこで奈々子さんは「どうしてあたし達がこんな目に遭わなくてはいけないの?元はと言えば豊川先生が安井を仲間に入れてあげられないかって話になってこうなったんじゃない」
確かにそうだ。今回の事は安井に巻き込まれて僕達は狙われてしまった。でも安井には散々酷いことをされてきたが、僕達の仲間だ。でももう・・・。
そこで豊川先生が現れて「話を聞こうじゃないかみんな」
「話す事なんてありませんよ。豊川先生いったいどういうつもりで安井をあたし達の仲間に入れたんですか?」
もはや奈々子さんは相当切羽詰まった状態にいる。
「とりあえず、安井君の元仲間だった人達は僕が何とかするよ」
そうだ。もうここは豊川先生に頼るしかない。
今日のところは僕達は豊川先生の塾に待機することになった。
安井のせいでこんな事になるなんて、僕は安井の事を心底恨んだ。先ほど仲間だと思ったが前言撤回だ。奴は僕達の癌だ。安井がやられたときには僕達はそれでも安井のことを心配した。でも安井の元仲間達は僕達の大事な場所まで奪っていく。そんな奴を仲間に入れるなんて言語道断だ。
でも安井は改心した。このまま安井を一人にしてしまったら、安井は独りぼっちになり、いずれは誰もいなくなり、自分自身を見失ってしまうかもしれない。人間はそうなったら最後だ。
って僕はどうしてそこまで安井の肩を持つのだろうか?でも安井は一応僕達の仲間だ。そんな仲間を見捨てるわけにはいかない。
僕は豊川先生が経営する塾を後にして安井が入院しているところに行こうとしたところ。
「ちょっとあっ君どこに行くの?」
涼子さんに言われて僕が安井のところに行くと言ったらみんな心配してしまうだろう。
「ちょっと外を散策してくるよ」
「もしかしてあっ君、安井が入院している病院に行こうとしているんじゃないでしょうね」
「・・・」
図星をつかれて僕は黙り込んでしまった。
「やっぱりそうなのね。あっ君安井が入院している病院に行こうとしているんだね」
「うん。そうだよ。安井は一応僕達の仲間だからね」
そこで奈々子さんが「あんな奴もう仲間なんかじゃないよ。安井のおかげで新聞配達の仕事場の同僚達に酷いことをしてきたし、もう安井に関わるのはよそうよ」
「奈々子の言うとおりよ。あっ君、これ以上安井と関わると痛い目に遭うよ」
僕は「でも安井をこのまま一人にしておくこと何て出来ないよ」
そう言って僕は安井が入院している病院へと向かった。
安井の病院に向かっている途中、後ろから猛スピードで自転車でかけてくる人がいた。その姿は涼子さんであった。
いったんチャリを止めて「涼子さん。どうしたの?」と聞くと涼子さんは「とにかくあっ君一人では危ないと思ってついてきたんだよ」
「でも危険だよ。安井を狙う奴は何人かいるみたいだから」
「そんなの百も承知だよ。それにあっ君優しいから、安井の事が心配なんでしょ」
「僕は優しい人間じゃないよ」
「まあ、自分で自分を優しいなんて言う怪しい奴はいないわ」
「とにかく安井を一人にさせるのは心配だ。それに安井は今回の件で独りぼっちになってしまうだろう。自分自身を見失って孤独になったら最後だからね」
「私はあっ君のそういうところに惚れたんだよね。やっぱりあっ君は優しいんだね」
そう涼子さんと語り合いながら安井が入院している病院へと向かった。
病院に到着すると、安井のお見舞いに来ましたと言って中に入れて貰い、安井は病室でぼんやりと天井を見上げていた。
「安井元気かよ」
僕が言うと安井は嬉しそうな顔をしていた。こんな嬉しそうな安井を見るのは初めてだった。
「安井、あんたのせいで私達は・・・」
その事は言わない方が良いと言わんばかりに、涼子さんを止めた。
「あっ君?・・・」
「安井、早く治療して退院してこい」
「分かっているよ。またみんなでバンドや勉強に小説に絵なんかを描きたいな」
どうやら今回の件は安井を狙う奴の仕業だって事が分かった。安井が元気そうで良かったんだよな。僕達はもう安井に言う事なんて何も無いと思って、安井の病室を後にした。
「じゃあな安井」
と言うと安井は何か寂しそうな顔をしていた。
あんな無垢な安井を見たのは初めての事だった。
病院の外に出ると涼子さんは「あっ君は本当に優しいね。でもその優しさにつけ込まれて誰かに騙されたりはしないでしょうね」
「僕はそんな間抜けな人間じゃないよ」
そう言って、僕達は塾に戻るのだった。
奈々子さんが、「安井の奴どうだった?」
「奈々子さん、安井の事を心配していたの?」
「バカするわけ無いでしょ。それで私達の新聞配達の仕事がなくなったんだから」
「でも僕達は一年後には大金持ちだよ。あれだけCDが売れれば僕達は新聞配達の仕事をしなくても済むんだよ」
「そういう問題じゃないでしょ。安井のおかげで新聞配達の同僚達は安井の元仲間に半殺しにされているんだよ」
そうだよな。もうみんなは安井のことを許しているわけじゃないんだよな。




