カップル同士のおしゃれ
原因は僕のため息で始まった僕と涼子さんの久しぶりのデートだ。みんなにはちょっと僕達は席を外すからと言っておいた。
「あっ君どこに行く?」
「映画とか良いんじゃない?」
「また映画、たまには映画よりも、私はおしゃれをしたことがないから、今日は原宿かどっかの店で服を買いましょう」
そうだ。いつも涼子さんはジーパンにトレーナーと言う服装だった。おしゃれかあ、良いかもしれない。そう言えば涼子さんは女の子だ。女の子なのにスカートをはいた所を学生服以外見たことがない。
涼子さんは背は小さいけれど、胸が抜群に大きいんだよな。それに胸以外背は小さく華奢なんだよな。そんな涼子さんにワンピースなんてどうだろうと思った。一緒に電車の中で僕は涼子さんがワンピースを着ている姿を想像した。きっと抱きしめたくなるほどかわいいんだろうな。電車の中に涼子さんと僕がいると、周りの視線は涼子さんの胸に行っている。僕はそんな輩をにらみつけて目で殺していた。
何て嫌らしい奴らなんだろう。涼子さんは自分が胸が大きいことをコンプレックスになっているが僕はそれが良いと思っている。背が小さくてHカップの涼子さん。本当にたまらないと僕は思う。
原宿に到着して、竹下通りは若い人でごった返していた。本当に原宿は若者の街と言われるぐらいの所だ。
「凄い、私原宿なんて初めて」
「僕も初めてだよ」
周りの人達はみんなおしゃれな人達ばかりであった。僕は黒いチノパンに赤いトレーナーを着ていて、涼子さんはジーパンに白いトレーナーを着ていた。何か僕と涼子さんだけがこの町の人達から浮いて見えた。
「とりあえず、服が売っている店に行こうか」
僕が気まずそうにそう言うと涼子さんも同じように「そうね」と言って、二人で僕達的には田舎者扱いをされている若者でごった返している竹下通りを通った。
本当に若者の街原宿と言ったところか?若い高校生ぐらいの女の子も制服をアレンジしておしゃれに着込んでいる。それに僕達以外にもカップルはたくさんいる。そのカップルもなかなかおしゃれで僕はああ言うのに憧れてしまった。
そして服屋に行って、おしゃれで値段も手頃なのか所狭しとなっていた。
そこで僕が目をつけたのがキャミワンピースと言う物ある。
「涼子さん。この灰色のキャミワンピと言う物を着てみてくれないかな?」
「でもサイズが大きすぎるよ」
そうだった。涼子さんは胸はでかいけれども身長は百四十五ぐらいしかない小さな女の子だった。
僕は店員さんに、「あのこの子にあうキャミワンピはありますか?」
「ありますよ」
店員さんは親切で「お客様にはこのキャミワンピがお似合いだと思うのですが」そのキャミワンピは情熱の赤だった。さすがにこれは目立ちすぎないか心配だった。
「とりあえず試着してみるよ」
涼子さんは店員さんが勧めてくれたキャミワンピを試着することになった。試着した結果、黒いフリルのついたトレーナーに赤いキャミワンピを着ている涼子さんを見て僕は惚れ惚れとしてしまった。
「良いよ。涼子さん。そのキャミワンピ似合っていると思うよ」
僕は早速店員さんを呼んで「このキャミワンピを一つください」
「このまま着て帰りますか?」
「どうする涼子さん」
「じゃあ、着て帰るよ」
店員さんは親切にも涼子さんが着ていたジーパンとトレーナーを手提げ袋に入れてくれた。
店から出て、あまりにも涼子さんのキャミワンピが似合いすぎて、見とれてしまった。
「ちょっとあっ君、さっきから私の事を見すぎだよ」
そうだ。あまりにも涼子さんの赤いキャミワンピが似合っていて、見とれすぎてしまい、ジロジロと見てしまった。だから僕は正直に言ってやったんだ。
「涼子さんのそのキャミワンピ似合いすぎているから、つい見とれちゃって」
「だからってそうやってジロジロ見るのはマナー違反だって」
胸が大きくて背が小さい涼子さんは赤いキャミワンピが本当に似合っているそのインナーの黒いフリルのついたトレーナーも。
「これからどこに行く?」
「とりあえず、マックなんて行かない?」
「私マックなんて言ったことがないんだけれども」
「ええっ!マジでマック行ったことがないの?」
「そんなにおかしいかな?マック行ったことがないなんて」
「まあ、おかしくはないけれども、初めてなら行ってみようよ。そこでお昼ご飯でも食べよう」
「それよりもあっ君の服はどうするの?」
「僕は良いよ。とりあえず涼子さんが似合う服が見れて僕はそれで満足だから」
「ダメよ。あっ君もおしゃれして、私だけ買って貰うなんて何か悪いから」
そう言ってマックに入る前にメンズの店に入り、ここは男性向けの服が所狭しと並んでいる。
「さあ、あっ君私が服のコーディネートをしてあげる」
すると早速涼子さんは黒と灰色のチェックの入った長袖のシャツにインナーには白いMと書かれたTシャツにズボンは黒を強調したズボンを試着させられた。
試着して鏡をみるとこれが自分かと思うほどにかっこよく見えてしまった。
試着室から出ると、涼子さんは「かっこいいよあっ君」と手を叩いて褒めてくれた。
涼子さんは店員を呼んで「これください」と言っておごって貰ってしまった。
「ちょっとおごって貰わなくても良いのに」
「何を言っているのよ。私のキャミワンピをおごってくれたじゃない。そのお礼」
この格好で外に出ると、何か堂々と原宿を歩ける気に慣れてきた。おしゃれをするなんて初めてのことだった。
そこで露店でアクセサリーを売っているところに差し掛かった。
「ねえ、あっ君、私達付き合っているんだから、おそろいのアクセサリーを買わない?」
「別に良いけれども」
そこで外国人らしい露店のお姉さんが「あなた達カップル?」外国人なのに流ちょうな日本語を使っている。
「はい、カップルですけれども。私達におそろいのアクセサリーを買いに来ました」
「それは良いね。充分に見ていってちょうだい」
そういう露店のお姉さん。
「ねえ、あっ君、私達付き合っているんだから、とりあえず右手の薬指に指輪をはめない?」
「別に良いけれど」
「じゃあ、これなんかどうかな?」
涼子さんが選んだのはシンプルな何の変哲も無い細くて何も装飾のされていない指輪だった。僕も良いと思ってそれにする事にした。外国人のお姉さんにそれぞれのサイズを測って貰い涼子さんは手が小さいのでサイズはとりあえずあった。それに僕達が買った指輪は銀の指輪だった。一つ千五百円で両方で三千円、これは僕が買ってあげた方が良いと思って買ってあげた。
互いに右手の薬指にはめて、これで僕達は本当のカップル同士になってしまった。
「これで、私達本当のカップルになってしまったわね」
「本当だね」
僕は本当に言い買い物をしたと心から思った。おしゃれして、指輪も買って、そして最後に涼子さんが行ったことのないマックに行ってお昼を食べて、丁度その時、終わりと言う物は必ずやってくる物だと思った。
そろそろ新聞配達の時間だ。僕達は急いで電車に乗り、カップルのように語り合いながら帰った。
何だろう。互いにこの格好のまま、みんなの前に出るのは恥ずかしいので途中で着替えてみんなのところに戻った。でも指輪は外さなかった。これは僕と涼子さんの恥ずかしい台詞かもしれないけれど愛の証だと思っている。
右手の薬指にはめている指輪にみんなは注目している。
「何よ、アツジに涼子、アツジと愛を育んだの」
と奈々子さんは嫌みったらしく言う。
「そうよ。その通りよ奈々子。私とあっ君は愛を育んだのよ」
と恥ずかしい台詞をそんなに堂々と言わなくても良いのに。
短いデートだったがこれが僕と涼子さんのデートだ。本当は僕達はデートなんてしている暇なんてあまりないからな。でもたまには良いだろう。
そして今日も新聞配達が始まる。




