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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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小川君との絵の勝負

 僕と安井と桃子と涼子さんは図書館のスタジオに行き、紙芝居に音楽をつける作業に移った。


 僕達が演奏すると涼子さんは相変わらず激しくドラムを叩く。


 相変わらずに涼子さんのドラムさばきは見事なまでだが、それでは僕達が作る紙芝居どころじゃなくなってしまう。


 涼子さんにはシンバルだけの演奏をして貰うことにした。その方が僕達が作る紙芝居っぽくなる。シンバルだけで僕と安井のベースとギターのセッションでエイトビートで演奏することになった。そこで僕は曲が閃いた。


 オタマジャクシにあうシーンはしっぽりと瑞々しい曲にして、オオカミと出会うときは激しいドラムさばきに十六ビートのベースとギターのセッションにする。それにピアノも忘れてはいけない。


 ちなみに紙芝居をするのはティアラ江東と言う大ホールでやることになった。そこに園児達三千人が集まることになっていた。まるで僕達は大物のアーティストになった感じだ。


 次に絵描きの少女はオオカミを倒すために大きな熊を出して、戦うことになった。しかし少女が描いたオオカミは無数いて熊では勝ちきれないと思って、オオカミと熊が戦っている最中に熊が逃げ出すシーンを描いた。熊さんがやられているときに逃げ出すなんてそんな冷たい自分が嫌になり、少女は神様を描く。


 その時の音楽を僕は考える。


 神様が現れて、僕達は神秘的な音楽を奏でた。


 よしその調子だ。


 神様はオオカミと熊の喧嘩を仲裁して、熊とオオカミ達は仲良くなる。


 絵描きの少女は次に街の絵を描いて、人々も描いた。その中に入っていくと、少女はお腹をすかせてしまった。パンを購入しようとするが少女はお金を持っていない。そこでお金を描いてパンを手に入れる。


 街には貧しい子供達もいた。その中で少女は街の貧しい人にお金を描いて子供達にあげた。子供達は大喜びでパンとリンゴを買って空腹を満たしたのだった。それで街は平和になった。少女は気がついた。どうして自分が描いた絵が実体化するのか?それは魔女の筆だった。その筆を返しに魔女のところに行きたいが、少女は魔女の住処を知らない。だから少女は魔女の住む森を描いて、魔女の森の中へと入っていく。そこに一つの小さなボロい家があった。少女はその家にノックした。


 中から出てきたのは魔女だった。少女は魔女に筆を返した。その瞬間に少女は気がつくと布団の中に眠っていた。どうやら少女は夢の中にいたようだ。今日も朝ご飯を食べて、大好きな絵を描こうと思ったら、魔女からの贈り物で、描いた絵が実体化する筆を貰ったのであった。その筆で少女は死んでしまったおばあちゃんの絵を描き、おばあちゃんにかわいがれ育つのであった。おしまい。


 物語の構成はこんな物だ。音楽も完璧だ。でも音楽も物語もまだ物足りない感じがして歯がゆかった。でもこれ以上の物は作れないと思っている。


 気がつけば僕達は夜ご飯も食べないで夜の九時を回っていた。


「えーーもうこんな時間?」


 僕が驚いていると、光さんと奈々子さんと斎藤さんが入ってきた。


「あなた達こんな所で今まで何をしていたのよ」


 奈々子さんが少しご立腹のように言う。


「いや物語を描いてそれに演奏を入れていたら、こんな時間になってしまったよ」


「明日も、新聞配達でスクーリングでしょ。さあ、帰ってあたしが作ったシチューでも食べて寝ましょう」


 そうすることにした。


 帰ると時は十時を示していた。僕達はシチューとパンを食べて眠りについた。


 そして次の日の朝三時に今日の朝ご飯は安井が作った麻婆丼だった。朝からきついメニューで僕達はちょっと体調不良を起こしてしまった。


「何で朝から麻婆丼なの?」


 と奈々子さんは文句を言っていた。


 それに対して安井は何も言わなかった。それよりも安井は何か反省しているような様子であった。


「まあまあ、奈々子さん。安井は僕達の為に麻婆丼を作ってくれたんだから良いじゃないか」


「まあ、それはそうだけれども」


「ゴメンみんな、朝から刺激的な物を作ってしまって」


 反省した口調で安井は言った。


「別に君が悪いわけじゃないよ。とにかく今日も新聞配達頑張ろう」


 今日は新聞配達が終わったら、スクーリングだ。今日も絵を描いて今度こそって言うか、小川君に勝てなくても良いんだよね。


 スクーリングの時、安井は図書館で勉強と言う形になった。光さんが相手をしてくれるだろう。


 僕達はバスで秋葉原まで行って、学校へと向かうのであった。今日の課題は何だろうと考えていた。


 学校に到着すると、僕達生徒のカンバスが用意されていた。


 絵のことにして熱い高岡先生は言っていた。


「今日は自由に描いても良い日だ。創造で描く絵を俺に見せてくれ、終わった所から集めに行くからな」


 自由に描いて良いのか。そうしたら僕は紙芝居で描いた小さな女の子が街の絵を描いて入りこむシーンを描いた。四十分ぐらいの時間が経ち、何人かの生徒達はカンバスを提出している生徒も中にはいた。


 チラリと小川君の絵を見てみると、色鮮やかな鮮明で虹を描いていた。


 そして時間になり、今日の番付は僕が一番を取り、二番に小川君の絵が掲載されていた。ちなみに斎藤さんが十七位で、涼子さんが十九位で、奈々子さんが二十位だった。百人中僕達は上級クラスにいる。


 僕はやっと念願の小川君の絵を超えることが出来て嬉しかった。


 小川君は僕を見つめて、今度は負けないよと言うような表情をして、帰って行った。


「凄いじゃないアツジ、あの小川君の絵を超えて一番になっちゃうなんて、あの絵って紙芝居に作ったときの絵だよね」


「そうだよ奈々子さん。僕は紙芝居に使った絵を創造して描いたんだ」


 みんなも僕の絵に引き込まれている様子だった。


 そんな一番になった僕の絵を高岡先生は言っていた。


「長谷川、今日の絵はお前が一番だったよ。凄い圧勝だよ。あの絵ってどこから閃いたんだ?」


「今度僕達は子供達に紙芝居の絵を作って物語を構成させるために作った絵なんですよ。それに僕や東雲さんや斎藤さんや西宮さんは小説家兼絵師の夢を見て絵を描いているんですよ」


「お前等小説を描いているのか?」


「はい。ネット小説で絵を挿絵にして、描いています」


「そうだったのか、だからお前等の絵って何か独特な感じがしたんだよな」


「僕達の小説を読んでくれる人は案外たくさんいるんですよ」


「そうなのか、是非俺にも見せてくれないか?」


「もちろんです。僕達の名前を検索すれば出てきますよ」


「そうか楽しみに読ませて貰うよ。それと紙芝居もしビデオで撮ることがあったら是非見せてくれ」


「了解です」


 そう言って今日の課題は終わった。僕達は小説家兼絵師の夢を見ている。でもそんなたいそうな夢を叶えられるほど甘くはないが僕達はやれる気がしていた。時には夢が壊れそうになるときもあるけれども、それでも前へ前へと僕達は進んでいく。


 高校を卒業したら僕はどうすれば良いのかまだ考えていなかった。でも高岡先生は絵で飯を食えるほどの力を備え付けさせてやるからなと豪語したことに僕達はもしかしたら夢が叶うんじゃないかと思ったりする。


 もし僕達の夢が叶ったら、僕達は空をも飛べるほどの気持ちの良い高揚感に浸ることが出来るであろう。僕は何年経ってもいい一生をかけても小説家兼絵師の夢を追い続ける。他の三人は分からないが僕はそう思っている。


 そろそろ帰って紙芝居の続きをしなければならないのだ。僕達に休むことなど許されないぐらいにやることはたくさんある。

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