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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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ため息が出たら、幸せが逃げてしまうので、その幸せが逃げないように思い切り吸おう

 安井は僕達が嫌いな事を知り去って行ったところ、光さんの借りがあるので僕は安井に言った。


「安井、もう一日だけ僕達に付き合っても良いよ。光さんのお願いだから聞いてあげるんだからな」


「本当に良いのか?俺は君達にひどいことを散々してきた。それなのに俺を受け入れてくれるのか?」


「ああ、もう一日だけ」


「ありがとう」


 いくら嫌な奴だけど、お礼を言われて何か心がほっこりとした。奈々子さん涼子さん斎藤さんの様子を見てみると、本当に嫌な顔をしていた。とにかく後一日だ。我慢してくれ。桃子は安井の恐ろしさを知らないから黙っているけれど。


 それで奴と作業をするのは嫌だけれども、僕達はそれぞれアイパットを取って絵の勉強に没頭した。僕達がそんな絵に没頭していると、安井は僕達の真似をして紙と鉛筆で絵を描いていた。


 安井の絵が気になり見てみると、肖像画を描いていた。しかもそれは涼子さんの絵だったそれにかなりの腕前だった。


「おう、俺西宮さんの絵を描いてみたんだけれどもどうかな?」


 どうかな?と言っても涼子さんは困った顔をしていた。それもそうだよな。嫌いな奴に自分の肖像画を描かれて涼子さんは嫌な気分に陥っているだろう。後一日の辛抱だ。みんな我慢してくれ僕達は光さんに借りがあるからこうしているだけだ。


 絵も描き終わって、僕達と安井は図書館のスタジオに向かった。安井といるだけで嫌な気分になるが本当に仕方が無いことなんだよな。それに光さんは安井には事情があると聞いていたがそんなこと知った覚えは無い。父親が市議会委員だからって厳しく育てられ、それに悪さをしたって市議会委員の権力で今までの事をもみ消して来たんだからな。でも今は安井は父親は市議会委員の座を降りることになったんだよな。原因は安井が犯した罪に対してだ。

 図書館に到着して、僕達は光さんに挨拶をすると、光さんは「やあ、みんな調子はどう?」


 調子はどうと聞かれても僕達の前にいる安井を何とかして欲しいと言うのが僕達の本音だ。でも後一日、光さんの頼みだ。断るわけにはいかないだろう。


 僕達はスタジオに入り、安井も中に入ってきた。昨日と同じように僕達は、演奏を続けた。涼子さんのドラムさばきで僕達の演奏が始まる。


 安井は昨日と同じように拍手をして、僕達の演奏を見ている。本当に図々しい奴だと僕達は思っている。それも今日までだ。そんな事を思っていると、安井は少し寂しそうに僕達の演奏を聴いていた。こんな奴かわいそうだなんて思いたくも無い。


 そしてバンドも終わり、図書館の中で僕達は学校のレポートをやることになった。安井が僕達の勉強を見ると、「君達が通っている通信制のレポートってこんなにレベルが低い物なんだ」と失礼な事を言ってくる。僕達は黙っていた。こんな奴にいちいち腹を立てるのも面倒になってきた。でも奈々子さんが黙っていなかった。


「あなたのせいであたし達両国高校に行けなくなってしまったんだけれども」


「あんな学校行かなくて良かったと思うよ」


「何よ、あなたがあたし達をはめたんでしょ」


「でも光さんは言っていたけれど、はめられて良かったとみんな言っているって言っていた」


 その発言には僕は黙っていなかった。


「お前、僕達がどんな思いで両国高校に入ろうとしたのか分かっているのかよ」


「だから言っているじゃん。あんな高校入れなくて良いんだよ」


「てめえ!」


 こいつは僕達をはめた事なんて反省なんてしていなかったんだ。それに対して僕の堪忍袋の緒が切れて、安井に飛びかかろうとしたところ、斎藤さんと涼子さんに止められた。


 涼子さんが「もう良いよ。こんな奴の言っている事にいちいち腹を立てるのは」


「涼子さんも斎藤さんも悔しくは無いのかよ。こんな奴のせいで僕達は普通の高校に入れなくなってしまったんだよ。それにこいつ僕達にあんな事をして反省の色も見せていないんだよ」


「安井の言うとおりだよ。私達はあんな学校に入れなくて良かったんだよ」


 前向きな事を言う涼子さん。


「そうだよ。俺がはめたのは悪かったけれども、あんな学校入れなくて良かったんだよ。考えて見なよ。俺がはめなかったら、君達はバンドを組んでデビューなんて出来なかったんだから」


 こいつ本当に殴りたい。でもこらえなきゃ後一日こいつに付き合えば終わるのだから。みんなも憤っている。本当に安井に対して三人の殺意を感じる。


 とりあえずこんな奴ほおって置いて僕達は安井の言うとおり、レベルの低い問題集をやっている。安井はと言うと、安井は自分の勉強をしている。チラリと安井の方を見てみると微分積分の問題をこなしている。


 とにかく僕達は勉強もしなきゃいけないと思っている。だから安井のことはほおっておこう。安井がいるだけで僕達の空気凄く気まずい空気にさらされた。何でこんな奴と勉強をしなきゃいけないのかと憤りが止まらなかった。


 勉強もおわってそろそろ新聞配達に行く時間だ。僕達は支度をして安井を含めて僕達六人は配達所に向かった。


 配達所に向かうと今日は僕と斎藤さんで、安井と涼子さんが組み、最後は桃子と奈々子さんが組むことになった。


 本当はこんな奴と新聞配達なんてしたくないと言うのが僕達の本音だ。でもあと一日こいつと付き合わなけれならない


 涼子さんは安井と組んで本当に嫌な顔をしていた。それにも関わらず安井は「よろしくな西宮さん」本当に調子の良い奴だ。もし光さんのお願いで無ければぶっ飛ばしていたところだ。


 後一日こいつと付き合わなくてはいけないのか。ため息が止まらない。仕方が無い。僕達も新聞配達をして、今日もジュースをおごることは止めておいた。


「斎藤さんはどう思う安井のこと」


「何て図々しいんだって思っているよ。涼子ちゃんにあんなひどいことをして、それに何も反省も感じられない。本当に今日までなんだよねあっ君さん」


「うん。本当に今日までだ。安井と一緒にいるのは。僕達に安井を押しつけた光さんは本当に何を考えているのか分からない感じだよ」


「涼子ちゃん大丈夫かな。安井と組むことになってひどいことはされていないかな?」


 本当に斎藤さんの言うとおり涼子さんが心配で心配で仕事に集中が出来ない。今日は安井のことでいっぱいで配達所に帰ったら僕達はミスをしてしまったことに社長の雷が僕と斎藤さんに落ち。それはいつも配達地域の所を新聞を一部入れ忘れてしまったのだ。僕と斎藤さんは早速戻って、そのお宅に言ってお詫びを申し上げて許して貰った。


「おう。長谷川君遅かったね」


 安井は何事も無かったかのような表情をしていた。誰のせいでそうなったと思っているんだよ。それに涼子さん方を見ると疲弊していた。やな奴と一緒にいるだけでストレスがたまることを僕は知っている。もう安井なんかと一緒に仕事何てしたくない。こんな奴の事は今日で終わりだ。


「安井、社長に言ってこいよ。新聞配達の仕事ができるのは今日までなんだから」


 そう僕が言うと安井は瞳をうつむかせて「分かったよ」と言って社長のところに行ってきた。


 そして安井が戻ってくる。社長に安井は気に入られてもっと働いて欲しいと言われたみたいだ。今日までの辛抱じゃ無いの?明日も安井と過ごさなきゃいけないの?僕は心の中で泣いていた感じだった。


「とりあえず、勉強や小説やバンドの事で君達に迷惑はかけないよ。でも新聞配達だけ参加させて貰うから今後ともよろしく」


 またやっかいな事になってしまって僕達は同時に大きなため息をついてしまった。すると僕は「ため息をつくと幸せが逃げてしまうから。ため息を取り戻すように大きく深呼吸をしよう」と言うと涼子さんが「私達本当に不幸な人間だよ」「ダメだよ。そんなことを言っちゃ」「私、新聞配達の仕事やめようかしら」あーもう安井の奴本当に害役だよな。

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