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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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嫌な奴がいるだけで気持ちが滅入ってしまう僕達

 光さん本当に何を考えているんだ。僕達にひどいことをしてきた安井に僕と涼子さんの部屋に招いて料理を振る舞うことにするなんて。安井は何事も無かったかのように僕と涼子さんの家に上がり込んでいる。


 僕はもう慣れてしまったけれど、涼子さんと奈々子さんと斎藤さんは怯えていた。ちなみに桃子は安井のことを知らないので何事もないように黙っていた。


 光さんも安井にひどいことをされてきたのに何でそんな平気な顔をしながら料理を作っているのだろう?


 僕は料理を作っている光さんの所に行って、「光さん、もうやめてくださいよ」


「やめてって何が?」


 にっこりととぼける光さん。


「しらばっくれるのもいい加減にしてくださいよ。安井の奴、何とかならないの?」


「安井君は君達の事が羨ましいんだって」


「そんな事知りませんよ。安井は散々僕達にひどいことをしてきたんですよ」


「安井君はね、厳しい環境に育てられてきたのよ。家に帰れば勉強はちゃんとやっているのかとか、遊んで無いでしょうねとか」


「そんな事知ったことじゃないですよ。見てくださいよ、安井がいるだけで僕達の中の空気は最悪ですよ」


「でもバンドではちゃんと出来ていたじゃない」


「何で光さんはそんなに安井の肩を持つのですか?」


「そうだよねあなた達は安井君を受け入れる事は出来ないのよね」


「はい。その通りです。許すことは出来ません」


「でも私のお願いだけれども、明日もう一日だけ、安井君を君達の仲間に入れてあげてくれないかな」


「嫌ですよ。あんな奴の顔を見ていると虫唾が走る」


「お願い。もう一日だけ」


 僕は考える。光さんには借りがあるから、もう一日だけ安井を僕達の仲間として受け入れる事で良いかもしれない。


「分かりました後一日だけですよ」


 仕方が無いもう一日だけ安井を僕達の仲間として迎え入れようじゃないか。後一日の我慢だ。奈々子さんと涼子さんと斎藤さんは安井と同じ部屋で同じ空気を吸うのも嫌だと言っている。本当に何てことを引き受けてしまったのだろうか。それに豊川先生は何を考えているのか今の僕には分からなかった。


 光さんの料理が出来上がり、今日はハンバーグだった。光さん特製のハンバーグでありそれはもうおいしい物だった。


 後一日、安井を受け入れればもうおさらばだ。本当はもう僕達の前に現れて欲しくないと言うのが僕達の意見だが、残念ながら僕達には光さんに貸しがある。でもその代償は明日までだ。


 とりあえず安井に帰って貰おうとしたが、安井も図々しくも僕達と同じ布団で眠りたいと言っていた。同じ布団には眠らせない。だから僕は押し入れから寝袋を取って安井にはそれで眠ってもらうことにした。


 本当に今日は嫌な一日であった。でも安井には僕達のバンドで情熱が伝わった。僕達は眠ることとなって、安井はムカつくほど健やかに眠っている。僕達は眠れなかった。原因は安井が同じ部屋に眠っているからだ。こんな奴とは同じ部屋の中でも眠りたくないのが本音だ。

 涼子さんが「ねえ、あっ君、こんな事いつまで続くの?」


「とりあえず、光さんのお願いで明日になったら安井は消えるから」


「でも安井の奴新聞配達に来たりはしないよね」


「どうだろうな?安井の奴案外仕事が出来て社長も気に入っていたからな」


「光さんは何を考えているのだろう?」


「多分、安井をとっちめたときにいた豊川先生が安井を僕達の仲間に入れるよう光さんに頼んだんだと思う」


「まあ、でも私達は光さんには本当に借りがあるからね」


 涼子さんもそう思っていたのか。僕と涼子さんはようやく眠りにつき、朝三時に起きると、安井が台所で、フライパンでチャーハンを作っていた。


「よう。みんな起きたかな?今日は俺特製のチャーハンを作ってあげるよ」


 そんな物食べたくないと言うのが本音だが、昨日光さんが言っていた今日まで安井を仲間として受け入れる約束だった。


 とりあえず安井が作ってくれたチャーハンを食べることにした。チャーハンはパラパラで卵とご飯だけの物だったが食べてみると意外とおいしかった。


「おいしいか?俺のチャーハン?」


「おいしいよ!」


 僕は素っ気なく言った。でも本当においしいのは本当だった。


 新聞配達の時間になり僕達は安井を連れて、行くことになってしまった。


 配達所に到着すると、早速行き場所の分担が始まった。僕と涼子さんと桃子と斎藤さんと安井と奈々子さんで仕事をする事になった。奈々子さんの顔を見てみると安井と一緒に仕事をするのが嫌というような顔をしていた。


 僕は心の中で思っていた。奈々子さん頑張って、もう一日の我慢だから。


 僕と涼子さんは仕事をしながら話し合っていた。


「奈々子の奴、大丈夫かな?あんな奴と一緒に仕事をするなんて私はゾッとするんだけれどもなあ」


「僕も奈々子さんの事が心配だよ。何せ安井と仕事をする事になったんだからね。本当に豊川先生も光さんも何を考えているのだろう」


「安井は私達に嫉妬して私をさらって憂さを晴らすつもりだったみたいだよ」


「嫉妬かあ、そう言えば嫉妬と言えば七つの大罪にあったね」


「七つの大罪かあ、そう言えば嫉妬、傲慢、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲だっけ、私は思うには七つの大罪を一つでも犯したら、七つすべての大罪が課せられると思うんだよね」


「なるほど、それは言えているかもしれないね。それにそんな七つの大罪に課せられた安井に何をされるのか僕は心配だよ」


「あー本当に嫌な予感しかしない、安井の奴私のことを犯そうとしたんだから」


「犯そうとしたと言うことは犯されてはいないんだね」


 と僕は内心ホッとした。でも安井は涼子さんの事を下着姿にして楽しんでいたっけ。


「私、正直な気持ち、安井のことを思い出すだけでも嫌なのに、本当に豊川先生と光さんは何を考えているんだろうね」


「本当だよ、本当にあの二人は何を考えているのだろう。安井は僕達の事を気に入っている様子だが、僕達は嫌いなのにそんな安井を押しつけるなんて」


「本当だよね。それよりも奈々子のことが心配だわ。それに新聞配達の仕事を始めちゃったらいつも毎朝毎夕あいつと顔を合わせなければならなくなるじゃない」


「うわーやだやだ」


 僕と涼子さんは安井の事を語り合いながら仕事をした。


 そして仕事が終わると、奈々子さんが帰ってきて、精神的に疲れたと言うような表情をしていた。


 僕は安井に聞こえないように「奈々子さん大丈夫?」


「何か精神的に疲れた感じがするよ。安井といるだけであたしみんなにジュースをおごらなきゃいけないね」


「今日はジュースは良いよ。とにかく帰ったら少し休んだ方が良いと思う」


「そうね。そうさせて貰うわ」


 嫌いな奴といるだけで本当に精神的にも肉体的にも滅入ってしまう。そうだ。安井は僕達にひどいことをしてきたのに、本当に光さんと豊川先生は何を考えているのか本当に気になってしまった。いくら光さんには借りがあると言ってもこれはひどすぎないかと僕は正直思った。


 僕はとりあえず僕と涼子さんの家に安井もつれて帰ると、みんな大嫌いな安井の側にいて何もやる気が起きなかった。


 安井が「どうしたんだよ。みんな今日は新聞配達から帰ったら勉強するんじゃ無いのか?」


「そんな気にもなれないんだよ」


 と僕は安井に正直な意見を飛ばした。さらに「安井、お前本当に害役だわ、僕達の前から消えてくれないか!?」


「そうだよな。俺は君達にひどい事をしてきたんだもんな。悪かったよ。でも二日間本当に楽しかったよ。俺も君達みたいな友達と出会えるように頑張るよ」


 と言って安井は去って行った。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  甘えで人に迷惑をかける嫌なやつ、安井。たけど、この安井との摩擦がおもしろいのも確かです。順風満帆ばかりではなく、山あり谷ありのほうが登場人物の個性や成長が見られて楽しみです。  更新あり…
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