愚か者の結末
ヌードモデルの女性は胸もあそこは隠してあるが大胆なポーズをとっている。欲情している場合じゃない、僕はヌードモデルをしている女性をどのようにしたらいい絵が描けるか考えながら描いていた。
高岡先生は言う。
「とにかく男子、欲情なんてするなよ。それよりも描く時間よりも見ることに専念するんだぞ」
高岡先生はそう豪語していた。とにかく絵で食べて行くには大変な事だと僕は思い知る。高岡先生の言うとおり描くよりも良く見ることが大事だ。でもモデルの女性は凄く魅力的であって、高岡先生は欲情なんてするんじゃないぞ何て言うことはちょっと無理があったかもしれない。
とにかく今日は絵を描くことに専念しなければならない。絵で食べて行くには大変な事だと僕は思い知る。
そして時間は経ち、ヌードモデルをしている女性は白いワンピースを着て一礼をして教室から出て行った。
僕が描いたヌードモデルの女性は横からだったため乳房が横から丸見えで正直欲情してしまった。ヌードモデルの女性は本当に魅力的だった。でもあの様子だと涼子さんの胸の方が大きいだろうな。とあらぬ事に僕は涼子さんの裸の姿を想像してしまった。
何を考えているんだ僕はそんな事を考えていたらダメだろう。
いったん僕達が描いた絵を回収して、また順番に張り出されるのだろう。もう僕は小川君と競ったりはしない。小川君は小川君の個性があり僕には僕の個性があるのだ。それを番付をする事事態、僕はおかしいと思っている。
そして番付がされた。もちろん小川君の絵がトップを飾った。小川君が描いた絵には凄く魅力的に女性が描かれていた。僕は百人中二十七番で、奈々子さんが三十位で涼子さんが二十九位で斎藤さんが十九位だった。しかしどの絵を見ても、それぞれ個性を感じるが、やはり一番をとった小川君の絵は凄くインパクトがあって、見る人の心を魅了してしまう感じであった。
おめでとう小川君。君の絵には僕は勝てないよ。でも僕は勝ち負けよりも自分の絵を尊重することにしたよ。僕達の夢は小説家兼絵師の夢なんだから・・・でもこの悔しさは何だろう?僕は心のどこかで小川君を競っている自分が存在している。
そして数日がたった時だった。涼子さんが行方不明になってしまったのだ。僕達は四人で住んでいる。それで当番制で晩ご飯を作る係を決めていたのだった。いつまでも桃子や光さんに甘えるわけにはいかないので、僕達は自分たちで晩ご飯を作って食べることになったのだ。
それで涼子さんは新聞配達が終わった頃、買い出しに行ったのだった。九時になっても涼子さんは帰ってこない、それに携帯にも連絡がつかない。いったいどうしたって言うんだ。
僕達は涼子さんを探しに行くために手分けして自転車で涼子さんが行きそうな所を探した。が、英明塾や、施設にも戻っていない。涼子さんはどうしてしまったのだろう。
「何よ涼子の奴、いったいどこで油を売っているのかしら?」
奈々子さんも心配なのか行方不明になった涼子さんの心配をしている。
「ねえ、アツジ君、あなた涼子ちゃんの彼氏でしょ。どこか涼子ちゃんが行くような場所は分からないの?」
斎藤さんも凄く心配している。
いつしかデートで星を見に行った時、河川敷があった。そこに行けばいるんじゃないかと思ったが、そこにはいなかった。
時計は午後十一時を回って僕達は警察に行って、捜索願を出した。今日の所は引き返したいところだが僕達は諦めきれず、涼子さんを探し出した。携帯にもラインにもメールでも何でも涼子さんを探したのだが、涼子さんは見つからなかった。
涼子さんが自殺でもしたんじゃないかと思ったが、涼子さんの今までの様子を見て自殺何てするわけないと僕は思っていた。じゃあどうして涼子さんはいなくなってしまったのだろう?
時計はもう真夜中の零時を回っていた。どこにも涼子さんはいない。本当にどうなっているんだ。僕は荒川の河川敷で叫んだ。「涼子さーん」と。すると涼子さんの携帯から連絡が入った。即座に出てみると不気味にも男の声が聞こえた。
「もしもしお前西宮の彼氏だろ」
「誰だお前は?」
「何だよお前俺のことを忘れてしまったのかよ」
そこでピンと来た。
「お前、安井か?」
「ご名答俺は安井だ」
「涼子さんは涼子さんは無事なんだろうな?」
「無事だよ。何なら今から声を聞かせてあげようか?」
すると受話器の向こうから涼子さんの声が聞こえた。
「あっ君、こいつはもう狂っているわ。私の事は良いから明日いつも通り新聞配達の仕事に行って」
「そんな事をしている場合じゃないだろ」
そして受話器の向こうから安井の声が聞こえた。
「西宮は預かった。この事を警察やお前の仲間である豊川に知らせるなよ。さもなければ西宮はどうなるか分かっているだろうな!」
「どこに行けば良いんだ!?」
「浦安海岸って行ったら分かるだろ」
浦安海岸と行ったら、安井達が良くチーマとして組んでバイクでツーリングしていたところだと分かった。あいつは僕達の受験を邪魔したあげくに今度は涼子さんをさらって何をする気なのか憤りが止まらない。
浦安海岸と行ったら葛西橋をまっすぐに行ったところにある海岸だ。僕は自転車をこいで浦安海岸まで向かった。
涼子さん。待っていてね。絶対に助けてあげるからね。
すると斎藤さんも奈々子さんも僕の後についてきた。
「二人ともどうして?」
「アツジ、あなた涼子の場所を知ったわね」
僕は何も言えず唇をつぐんだ。
そこで斎藤さんは僕の頬を思い切り叩いた。夜のしじまの中乾いた音が鳴り響いた。
「あっ君さんはずるいです。どうして私達を置いて涼子ちゃんのところに向かおうとするんですか?」
「ゴメン」
と謝るしかなかった。
「じゃあ、三人で涼子さんの所に行こう」
僕は涼子さんが安井に囚われていることを伝えた。すると二人は凄く憤っていた。
自転車で一時間半僕達は涼子さんをとらえている安井が言う浦安海岸に到着した。
そこにはバイクで十人ぐらいの柄の悪そうな連中がたむろっていた。そして涼子さんは下着姿のまま拉致されていた。
「おい。安井、約束通り来てやったぞ。涼子さんを返せ!」
「この野郎共」
「安井、お前は何が目的でこんな事をするんだ!」
「うるせーてめえらを見ているとムカついてくるんだよ!」
「何にムカついているんだよ」
すると安井は黙り込んでしまった。
そこで涼子さんが「こいつは私達がバンドを組んで売れっ子になったり、小説や絵などを描いて楽しんでいるから嫉妬して私達をこんな目に遭わせているのよ」
呆れて物が言えなかったつまり、こいつはまた僕達に嫉妬して、涼子さんをさらって憂さ晴らしをしたいだけなんだと。
「うるせーてめえら覚悟は出来ているのかよ!」
「覚悟なら出来ているよ。だから涼子さんを離しなよ!」
「俺は西宮を犯すぞ。お前らもその女どもを犯してしまえ!」
そんな時である。広報からバイクや車の音がした。僕には分かった。それは豊川先生の者だと。安井の仲間達は恐れをなして逃げ出してしまった。本当に愚かな奴らだと僕は思うしかなかった。安井は一人になってしまって、涼子さんは囚われたままだ。
すると安井はナイフを取り出して、涼子さんの首元に突きつけた。
「おい。お前ら、こいつがどうなっても良いのか?」
安井は震えた手でナイフを握っている。僕はもうこんな奴に人など殺せないと思って、安井の元に行き、ナイフを奪って安井にパンチを食らわせた。
安井は吹っ飛んでいき気絶してしまった。
こいつまた僕達に嫉妬して、また僕達の邪魔をしようとしていたのか・・・。本当に情けない奴だ。




