表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
154/207

僕達で作ってきた未来は決して裏切ったりはしない

 コンクールまで後一週間か、何か震えるほどの武者震いに翻弄されてしまう。僕達の作った歌はかなりの良い出来だ。これならコンクール優勝も夢じゃないかも知れない。僕達がアドリブで演奏している。そして本当に楽しい時間ってすぐに経ってしまう。気がつけば十二時を回り、光さんが僕達に図書館の近所で働いているパン屋から余ったパンを持ってきてくれた。


「みんな今日も調子は良いみたいだね」


 奈々子さんが「お陰様で、順調ですよ。今日もあたし達の為にパンを貰ってきてくれてどうもありがとうございます。本当に感謝しています」


「感謝されるほどの事は私はしていないけれど、私は頑張っている人の味方だから」


 そう言って光さんは女神様スマイルで僕達を見る。そんな姿に僕は魅了されてしまう。


 本当に涼子さんが聞いたら怒りだしてしまうかも知れないけれど、僕は光さんの事が好きなんだよな。でも光さんは僕の憧れで良いと思っている。


 僕が感じるには光さんも暗い過去を背負っている感じがした。聞けば両親と今は暮らしていなくて一人暮らしをしていると言っている。


 パンも食べ終わって、僕達が書いた小説のアクセス回数を見てみると、絵の相乗効果もあって僕はようやく一万アクセスを突破した。正確に言うと一万七千だった。これには驚き僕は光さんの小説を超えてしまったかも知れない。ちなみに涼子さんは一万五千で、奈々子さんが一万六千で、斎藤さんが二万を超えていた。それと光さんの小説は三万を超している。まだまだ光さんには程遠い物だと痛感させられる。


 また光さんも腕を上げているみたいだ。でも光さんは絵を描くことは出来なかったはず。なのにどうしてそんなアクセス回数を超えることが出来るのかは不思議に思える。


 それと僕達はこんなにうまく世が渡れて良いのかと思ってしまった。光さんの話によると初心者のアクセス回数は百にも満たないと言っていたっけ。それにも関わらず僕達のアクセス回数は一万を超えている。本当にこれは凄いことだと思っている。いつか揺り返しが来ないか不安になってしまうが、これは僕達の熱き魂の証だと思っているので別に気にすることはなかった。


 それと桃子も小説を書いているらしく、アクセス回数は三千まで上り詰めている。妹の桃子も僕達の熱にあやかり、小説を書いていたんだっけ。


 やはり光さんが圧倒的な数値を出している。その秘密は本人の小説を読むしかないと僕は思っている。僕達は小説の勉強の為に今まで漫画や小説などを読んで学習している。みんなはそれぞれ僕達が描いた小説を見て、小説の勉強を始めた。涼子さんの小説を読んでみると、まるで親を渇望しているような物語であり、普段は主人公はその悲しみを見せずに施設のリーダー的存在であった。


 まるで涼子さんは自分の事を小説にしているような感じで読み進めると引き込まれてしまうほどの瑞々しい文章で描かれていて面白かった。


 小説を読むことも苦痛に思われるが、涼子さんの小説は面白く苦痛など感じられずにすんなりと物語の内容に釘付けになってしまう。涼子さんの描いた小説はまさに自分を主体とした物語となっている。


 涼子さんの小説を読んでみると、本当に涙が出てきそうな物語であった。


「何、泣いているのあっ君」


「いや、涼子さんの小説最高だよ」


「そんな、最高だなんて大げさよ」


「いや本当に良く描けていると僕は思うよ」


「私はアッ君の小説を読んでいるけれど、本当に面白い小説を書くんだね。どうしたらこんなに面白い小説が書けるのかな?」


「それはこっちの台詞でもあるよ。涼子さんは・・・」


 これ以上言ってしまったらまずいな、涼子さんは自分を主体とした小説を描いているのでその事はタブーに等しい。


「私は自分の体験談を描いているんだよ」


 やっぱりそうだ。涼子さんは自分の小説を涼子さんの体験談として書いているみたいだ。


「そうなんだ」


 そう言ってそれ以上は触れない方が良いと思って黙っていた。


 涼子さんの小説を読んでいると、本当に引き込まれてしまう。各回数事に見ていくと本当に泣いてしまうほどの感動を覚えてしまう。涼子さんの小説は美しくて瑞々しくて美しい小説だ。


 涼子さんの小説を読んでいてアクセス回数が徐々に増えていく読者の気持ちが分かった気がする。本当に涼子さんは小説家になるんじゃないかと思って僕も負けていられないと思った。


 小説を書く時間になり僕は涼子さんの小説が勉強になり、涼子さんを意識して書くと書けなくなってしまうので、自分の小説を書くんだと自分自身に言い聞かせて僕は書いた。


 後一時間しかないが僕は小説を書き続けた。タイピングのスピードが止まらない。本当に僕は小説を書くことにトランス状態になってしまった。


 そんな事をしていると、奈々子さんに「アツジ、そろそろ新聞配達に行く時間になってきたよ」


 そうか、もうそんな時間か、本当に僕達がやることには一日が二十四時間と言うのが短い気がしてきた。僕達のやっていることは本当に時が足りないほどに感じる。そうだ。寝る時間を少しだけ削ってやるのも良いかもしれない。


 そして僕達は光さんに見送られ新聞配達の仕事に出かけていった。


 配達所に到着して、今日は僕と涼子さんが組みもう一方は奈々子さんと斎藤さんでさらにもう一つが桃子で桃子は小さな都営住宅を一人でやることになってしまった。


「社長、桃子を都営住宅を一人で任せるのは無謀なんじゃないですか?」


 僕が申し出ると社長は。


「俺は桃子ちゃんなら出来ると思ってそうしたんだがな」


「でも桃子はまだ三日目ですよ、それで一人で行かせるのはちょっと無理があるんじゃないんですか?」


 すると桃子は「お兄ちゃん大丈夫だよ。桃子に任せてよ」と自信満々に言う桃子。


 桃子がそう言うなら仕方がない。僕は桃子の兄として応援するしかないみたいだ。


「これで三つに分かれて、勝負することが出来るね」


 と桃子は余裕そうにそう言った。まだ始めたばかりなのに、桃子は元気が良い。


 そして時間になり、桃子は一人で自転車に乗り、一人で都営住宅の小さなスポットに出かけていった。本当に大丈夫なのか?僕は心配だった。


 僕は涼子さんと一緒に都営住宅の新聞配達地域に出かけていった。僕達がやる所は二画で桃子は一画だった。


「あっ君、そんなに桃子ちゃんの事が心配?」


「心配だよ。社長は何を考えているのか分からないよ?」


「大丈夫よあっ君。桃子ちゃんならちゃんと任務を全うすることが出来るわよ」


「だと良いんだけれども」


「あっ君。桃子ちゃんを信じてあげなよ」


「そうだよね。兄として信じてあげなきゃね」


 すると涼子さんはにっこりと笑って、僕を見つめた。そんな目で見られると僕の心はドキッとしてしまう。こんな素敵な彼女を持って僕は幸せ者だと思ってしまう。それよりも作業をしながらだけれども、桃子の事が心配だった。


「お兄ちゃん。六階は新聞は十七部よ」


 おっと桃子の事が心配でこっちに仕事の支障が出そうになってしまった。涼子さんは僕のことをからかって言った。


 そうだ。ここは桃子を信じてやるしかないな。人の心配をしている場合じゃない。危うくミスをするところだった。


 そんなこんなで新聞配達の仕事は終わり配達所に戻ると、奈々子さんと斎藤さんと桃子はすでに帰っていた。奈々子さんと斎藤さんはともかく、桃子まで先にやられてしまったのだろうか?


 敗因は桃子の事が心配で作業に集中できなかったからだ。


「お兄ちゃん。ジュースをおごってね」


 すると奈々子さんも斎藤さんも僕に対して、「お兄ちゃん」と言ってジュースをせがんできた。涼子さんは「しっかりしてよお兄ちゃん」


「もうみんなして、お兄ちゃんお兄ちゃんもう良いでしょ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  みんなのお兄ちゃんになってしまいましたね(^^)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ