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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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星空の下で夢を語り合う僕達

「涼子さん」


 そう言いながら涼子さんを追いかけた。すると涼子さんは立ち止まってくれた。


「ゴメンみっともないところを見られちゃったね」


「そんな事はないよ。初めて見せてくれたね、涼子さんの悲しみを」


「悲しみなんてそんなに良い物じゃないわよ」


「僕は思うんだ。悲しみの多い人間は本当の優しさを知っていると」


「そんな事を言うあっ君は本当にプレイボーイだね。私が惚れてしまうのも無理ないのかもしれない」


「そんな事を言われたのは涼子さんが初めてだよ」


「あっ君僅かな時間しかないけれど、デートしようよ」


 時計は午後五時を示している。本当に僅かな時間しかないデートしか出来ないかもしれない。でもそれでいいと思っている。


「じゃあ、涼子さん星を見に行こうよ」


「今見頃の星と言ったら、乙女座のスピカね」


「よく知っているね。涼子さん。それとアルクトゥルスとスピカとデネボラで春の大三角を知っているかな?」


「えーそんなのあるの?」


「とにかく河川敷まで行って見に行こうよ」


 そして僕達は手を繋ぎながら河川敷まで向かった。


「いつも四人だから、二人きりになるのってあまりないからね」


 僕が言うと涼子さんは僕を抱きしめてきた。涼子さんは小さいから僕が抱き上げないと抱きしめられないので、華奢で、胸がでかく、その胸元が僕の胸に当たってドキドキした。


「私チビだけど胸だけは大きいんだよね」


「別に胸が大きくたって小さくたって涼子さんは僕は好きだよ。今日は涼子さんの悲しみに直面して僕は本当に嬉しいんだよ」


 そして抱擁を解いて、僕と涼子さんは河川敷に向かってそして到着した。

 そこはいつもの場所だった。春の大三角を見つけるには北斗七星の尾の部分を南に曲げて辿ると見えてくる春の大三角。アルクトゥルス、スピカ、デネボラ、都会では少ししか見えないけれど、その春の大三角は見える。


 星を見ていると、何だか気持ちが落ち着いてくる。それに歌詞も思い浮かんでくる。


「あら、お邪魔だったかしら」


 どこからか奈々子さんの声が聞こえてきた。


「奈々子さん?」


 するとぞろぞろと茂みの中から奈々子さんに斎藤さんに桃子に光さんまでやってきた。


「何よあなた達良くここが分かったわね」


 涼子さんが言うと奈々子さんが「二人で嫌らしいことをしているんじゃないかと思ったけれど、相変わらずアツジはヘタレね。この機会にやっちゃえば良いのに」


「何を言っているの奈々子さん。そんなことはしないよ」


 光さんが「そうよ奈々子、あっ君にヘタレだって言ったことを訂正しなさいよ」


「はいはい。訂正しますよ。ごめんなさい」


「奈々子、誠意って物が感じられないわよ」


 そこで僕が「奈々子さんってそんな人だよ」


 すると奈々子さんのピンタが僕に炸裂した。


「何をするんだよ、奈々子さん殴ることはないじゃないか?」


「アツジにはデリカシーって物がないから、そうなるんだよ」


「奈々子、そうやって怒らないの!」


「ごめんなさい」


 まあ、良いか、奈々子さんが怒るって事はいつもの事だし、平和の象徴みたいな物だもんな。奈々子さん不機嫌だと急に優しくなったりするからな。


 そこで桃子が「ねえ、うちにも星座を教えてよ、お兄ちゃん」


 桃子は学校では星座は勉強はしないのか。まあ理科の事だったら夏の大三角ぐらいしか勉強しないからな。


「ああ、良いよ。教えてあげるよ。あの北斗七星の尾を追って行くとうしかい座のアルクトゥルス、そのしたに乙女座のスピカ・・・」


「知っているようち。理科で勉強したから。でもうちは勉強しただけで本物は見たことがない。それであれが獅子座のデネボラで春の大三角があるんでしょ」


「よく知っているじゃないか桃子」


「だって光さんに教えて貰ったもん」


「ありがとうございます光さん。妹の勉強に付き合ってあげて」


「良いのよ。桃子ちゃんはいつもやる気だから、こちらも教え甲斐があるって物よ。とにかく勉強は大変かもしれないけれど、楽しくやりたい物だよね。私はそう言った学校を作るのが夢なんだ」


「光さんの夢って学校を作ることなんですか?」


「まあ、学校と言うより、フリースクールを経営したいと思っているんだ。みんなが楽しく自分の夢に向かって勉強を出来るような学校を」


「それは素敵ですね」


「素敵でしょ。あっ君達は確か絵の学校に行って、小説の絵を自分達で描いてデビューする事が夢なんでしょ。それにバンドだってやっているじゃん。あなた達みたいな夢をいっぱい持てるような子を伸ばしてあげたいのが私の今の夢」


「僕達は応援していますから」「あたしも応援するよ光さん」奈々子さんが言う。「私も応援してます何かお手伝いが出来れば言ってください」と涼子さんが言う。「私も応援しています」斎藤さんが言う。「桃子は光さんの生徒第一号なんだから」


 星空の下、僕達は夢を互いに語り合い、何か凄く心が高揚した。僕達も光さんも友達兼ライバル同士だ。ライバル同士だから時にはぶつかり合う時があるけれど、いつもこうやって笑って仲良くなってしまうんだよな。ライバルと言うけれど、これはもしや切磋琢磨と言った方が適切なのかもしれない。


 とにかく春と言えども外はまだ寒い。


 さあ、これから始まるんだ。僕達の青春が、青春は本物になるための戦いだ。僕達はどのような形で本物になっていくのか分からないが、とにかく一生懸命に頑張るしかない。そう言えば涼子さんを悲しませてしまったんだっけ。


 涼子さんの気持ちも知らないで、僕達は涼子さんを悲しませてしまった。そんな涼子さんに僕達は謝った。すると涼子さんはりりしい笑顔で「別に良いよ」って言ってくれた。でも僕的には嬉しかったんだよな。初めて涼子さんの悲しみに触れられる事が出来て。涼子さんは公衆便所で産み捨てられたかわいそうと言ったら悪いけれど、そんな残酷な過去の持ち主だ。


 そして僕達は僕と涼子さん家に戻って、僕達は美術学校のレポートをこなしていた。レポートと言っても、教科書が凄く薄い感じだった。それに基礎的な事しか学ばないようなレベルだった。でも僕達は本気で百点を取るつもりで勉学に励んでいる。


 僕達はもう来月の勉強をこなしてしまっている。何か勉強では拍子抜けしてしまうが、あの小川君には僕は負けたくないと思っている。それで僕達はそれぞれのアイパットで絵を描いていた。僕達の本気をあの高岡先生に見せつけてやるんだ。


 そう言えば高岡先生は『お前達を絵で食っていけるようにしてやるからな』と豪語していたっけ。それを僕が言って、三人にも僕にも火がついたんだよな。魅力あふれる絵を描くには大変な事だった。でも僕達は負けはしない。魅力的な絵を描いて、高岡先生に認められるような絵を描いてやる。


「四人とも。今日はこれぐらいにしたら?」


 光さんの声が聞こえてきて、僕達を外に誘った。


 光さんと桃子は何を考えているのだろうと思っていると、外に出て、桜並木に連れて行ってくれた。そうかもう桜の季節なんだな。それに屋台もいっぱい並んでいる。


「ここはみんな私がおごるからみんなで好きな物を買って食べなさいね」


 そう言って光さんは僕達に五千円札を渡した。


 僕達はこんなに入りませんよと言ったが、光さんが若い人が遠慮しないの。と言って、僕達はとりあえず四人で焼きそばを買うことになった。屋台の焼きそばは本当においしいな。それにたこ焼きもおいしそうだ。桃子も含めて五人で五千円札はちょっと多すぎたかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  涼子さんの暗い悲しみはまだまだこんなものではないような気がします。アツジくんに受け止められるかな?  奈々子さんのときは、アツジくんは彼女の苦しみを受け止めるつもりだったのに、彼女が素直…
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