涼子さんの悲しみ触れた時、僕は・・・
曲作りに専念する僕。何かが足りないこの曲。悩まされる。
そこで涼子さんが「何よまだ曲の事で悩んでいたの?」
「うん、この曲じゃあ、コンクールで第一次審査で落ちてしまうだろうなと思って」
「でも私はあっ君が作ってくれた曲は大好きなんだけどな」
「涼子さんはそう言ってくれるけれども、僕的にはまだまだな感じがする」
「とりあえず、あっ君の作ってくれた曲に何が不満なの?」
「何かが足りない。これじゃあ、人の胸に届くことはないんだけれども」
そこで奈々子さんが「アツジいったい何が足りないって言うのよ。あたし達にとってこの曲は完璧な物だと思うんだけれどもな」
「そう言ってくれるのは、奈々子さんと涼子さんと斎藤さんだけだよ。何かが足りない」
斎藤さんも奈々子さんも涼子さんも困ったような顔をしていた。
みんなが心配しているがこの曲ではダメな気がする。
そこで涼子さんが「あっ君は私達がしていることをそのまま誌にしてみれば」
「僕達の事を詩に?」
「そうだよあっ君、私達は互いに熱を出し合ってここまで頑張って来れたじゃん。その事を詩にして、私達の熱い演奏に乗せれば良いと思うんだけれども」
僕達の事を詩に?そうだ。僕達の事を詩にして僕達の熱い演奏に乗せれば良いんだ。
すると沸々と頭から詩が思い浮かんできた。しかも燃えるような熱い思いがそうさせている。
僕はバックからすぐにノートと鉛筆を取り出して、詩を描いた。
『そして熱き思いを乗せて僕達は飛び出すんだ。時にはぶつかり合うけれど、僕達の熱い思いは冷めはしない。君にも分けてあげるよこの歌をいつまでも君にささいであげるよ。こんなにも大きな夢なら僕達は負けることはない。どんな困難にも打ち勝つ自信がわいてくる。愛するあなたにこの曲を送り続けたい。後悔することもあるけれども、それも生きるための香辛料だと思えば良い
熱き思い冷めやしない。
最初は一人だけれども、仲間が集まって今はそんな仲間達と懸命に演奏をしている・・・』
僕の手は止まらなかった。胸が熱いのはみんなが僕が詩を書いているときに、三人はシンクロして演奏を続けている。そうだ。僕達の事を描けば良いんだ。これならコンクールに出しても良いかもしれない。でも僕達はライブをしたことがない。コンクールの前に僕達の実力を示すためにライブがしてみたいこの事を三人に伝えると、それは良いアイディアね。と言うようなことを三人は言っている。
この事を光さんに伝えると、光さんはにっこりと笑って、了承してくれた。
そんな時桃子が泣きながら図書館にやってきた。
「桃子、お前泣いているのか?どうしたんだよ」
「うちもう耐えられない。学校の人達はうちを蹴落とす事しか考えていない」
桃子はいつも中間や期末試験になるといつも上位の方に区分される。さらに成績上位者からクラスが変わるみたいだ。
僕は桃子が僕達以外の友達を見たことがなかったっけ。進学校と言う物はそういう所なのか?これじゃあ桃子がかわいそうだ。その時僕はピンときた、桃子のために一曲作れる気がした。それに桃子も僕が作った歌に共感を得てくれれば良いと思っている。
『悲しみにとらわれたとき、いつも僕はここにいるよ。だから君は独りぼっちじゃない僕もみんなもいるよ。だから涙はこぼさないで。でも泣きたいときは思い切り泣いてそして思い切り笑ってよ。君が悲しいと僕まで悲しくなってしまう。だから君は一人じゃない。いつでもどこでも呼んでくれれば駆けつけてあげられるよ。だから涙は見せないで』
僕は弾き語りで桃子にエールを送るために作ったアドリブの曲だ。
すると桃子はその悲しい涙を忘れて笑ってくれた。そうだ。これだ。こう言った曲を作れば良い。
桃子は泣きながら僕の所に飛びついてきた。本当にかわいい妹だ。そうか、桃子が通っている進学校では人を蹴落とすことしか考えない連中しかいないのか。それは困った物だな。
「だったら桃子、普通の公立の学校に転校すれば良いじゃないか」
「そんな事お父さんやお母さんが許してくれないよ」
そうだよな。僕の家の家族は頭の堅い人間だ。進学校からの転校は認めてくれないだろう。
そこで光さんが現れて、「どうしたの?」桃子が泣いているのを見て何か切なそうに僕達を見ている。
僕は桃子の事情を光さんに伝えた。
「なるほど、桃子ちゃんが通う進学校には人を蹴落とす人しかしない訳ね」
「うちが信頼している友達にうちは裏切られた。うちもう耐えられない」
桃子は今度は光さんの胸に飛び込んだ。光さんの抱擁か、さぞ心地いいもんなんだろうな。ってそんな事を思っている場合じゃない。桃子の悲しみを何とかしてあげないと。
「桃子ちゃん。明日家の師匠が経営している英明塾に来なさいよ」
「でも学校をサボるわけには行かないよ」
「大丈夫よあっ君も、あなたのお兄ちゃんもいじめられて図書館に来たんだから」
そうだった。僕はテレビで光さんが夏休み終わる直前に学校が嫌なら図書館にいらっしゃいよって言ってくれたんだっけ。
「そうだよ。桃子、学校なんてさぼちゃえよ。それで僕達と一緒に色々な事をしようよ。桃子は一人じゃない。僕達がついている」
「それよりも、コンクールまで後三週間、桃子ちゃんにも協力させて貰うんだから」
涼子さんが言う、心なしかなぜか涼子さんは不機嫌そうな感じがした。
それで桃子も僕達の仲間入りと言う訳か?桃子は僕よりも二つも年が違うんだもんな。そう言えば桃子には僕が苦しんでいる時、何度か慰めて貰ったことがあるもんな。今度は僕が桃子を助ける番だ。桃子期待して待っていてくれよ。僕達の親は頭が固いけれど、光さんにかかればお茶の子さいさいって感じだから。
正直桃子が悲しいと僕も悲しい。それに仲間も悲しいと思っている。桃子にはお兄ちゃんや涼子さんに奈々子さんに斎藤さんがついている。だから一人じゃない。だから桃子一緒にお兄ちゃん達と一緒にこれからは勉強していこうよ。そして桃子の本当にやりたいことを探していこうよ。
そこで涼子さんが「何よ。あなた達には両親がいるんでしょ。それに進学校に行くお金だって親が払ってくれるんでしょ」
「ちょっと涼子、桃子ちゃんは凄く苦しんでいるんだよ。そんな言い方したらかわいそうじゃない」
「何がかわいそうよ。私は親の顔も知らないで、育ってきたんだから」
「涼子の気持ちも分かるよ」
「分かるって何が分かるのよ。あなた達は家族と食事をしたり、家族と旅行にだって行ったことがあるんでしょ」
確かにそうだ。涼子さんの言うとおり、家族と暮らしていて悪いことばかりではなかった。一緒に食事をしたり一緒に旅行にも行ったりした。だから本当に悲しいのは涼子さんなのかもしれない。ここで僕は初めて涼子さんの悲しみに触れた感じがした。涼子さんは憧れていたのかもしれない。家族と食事をしたり、家族に誕生日を祝ったり、家族とクリスマスやお正月を楽しんだりする事を。そう思うと僕と桃子は涼子さん達と比べて恵まれた人間だと言うことが分かった。涼子さんが不機嫌だったのはそういう事なのかもしれない。
僕達がいるスタジオの雰囲気は最悪な感じになってしまって、涼子さんは「興がそがれてしまったわね」と言って、どこかに行ってしまった。その時見せた涼子さんの涙を見れた感じがした。
僕は涼子さんの恋人として涼子さんを追いかけた。




