楽しい事だけじゃない。試される事もある。
僕達が作った歌には何かが足りない。僕は悲しんでいる人にエールを送りたい。いっその事歌詞とメロディーを変えてみるかと思うんだけど、どうしようか?悩んでしまう。とりあえず僕達が演奏した曲をテープで録音して僕と涼子さんの家に戻り、検討してみることにした。
バンドの練習はすぐに終わり、僕達は涼子さんと僕の家に戻り、先ほど僕達が作った歌を聴いていた。それにYouTubeで色々な名曲を聴いて勉強していた。
「ちょっとあっ君、もう遅いんだからそろそろ寝ましょう」
涼子さんがそう言って時計を見ると、午後十一時を示していた。
涼子さんと奈々子さんと斎藤さんは眠ってしまったようだが、僕は歌のことで眠れなかった。本当に心にグッとくる歌を作ることがこんなに大変な事だとは思いもしなかった。
バンドをやっていると楽しいがやはりコンクールに出るのだから優勝はしたい。だから楽しいことだけではいけないのかもしれない。
明日のスクーリングはクロッキーだったっけ。とにかく音楽の事は置いといて、明日に専念したいところだけど、僕は不器用な人間なのかそうは行かなかった。
そしてまだ夜は明けていないのだけれども、僕達は三時に起きてしまう。今日は新聞配達の仕事はお休みなのに、どうやら僕達は新聞配達に行く時間に起きてしまう習慣が出来てしまった。実を言うと僕はあまり眠れなかったため、もう一度眠ろうかとしたが、三人は絵の勉強をしている。それに感化されるように僕も負けていられないと思って、僕も絵の勉強に専念した。
みんなの熱を感じていると眠気など吹っ飛んでしまう。今日はクロッキーかあ、とにかく僕達は負けてはいられない。
午前七時頃になって、そろそろ、学校に行く時間だ。学校に行く前に僕はみんなに朝ご飯を作ることになった。昨日のご飯が残っていたため僕は卵かけご飯をみんなに提供した。みんなおいしいと言ってくれたよ。
そして午前八時に学校に行く時間になった。学校に行くまでの時間は音楽の事でいっぱいだった。学校に到着して、僕達が教室に入ると、真ん中にブルータスの白い像があり、版がそれを囲むように置かれていた。
僕達生徒が立っていると、熱い高岡先生がやってきた。
「おう。お前ら席に着け」
そう言われて僕達生徒は席に適当についた。
「今日はブルータスのクロッキーを始める。とにかく書くときは書く時間よりも、よく見て書くこと、分かったか」
そう言われてブルータスのクロッキーが始まった。とにかく集中して今度こそ、小川君を抜いてやると思って僕はクロッキーに専念した。
とにかく音楽の事は置いといて、今はクロッキーに専念しなければ。
でも僕はそんなに器用な人間ではないことを思い知らされる。
どうしたらみんなの心をつかめるような曲を作れるか僕は考えてしまう。
そんな事ではダメだ。今はクロッキーに集中しなければ、また小川君に圧倒的差をつけられてしまう。今はクロッキーだ。クロッキーに専念するときだ。
分かっている音楽の事を忘れることぐらいは、僕は小説家兼絵師になるためにこの学校を選んだんだ。
そしてブルータスのクロッキーは出来上がり、丁度その時、時間になってしまった。僕達生徒はブルータスの版画を提出する事になっている。
これで今日も良い順に評価される。
そして評価された。
僕の絵はどこかと思ってみたら、僕が二十位で、奈々子さんが十七位で、涼子さんが十五位で、斎藤さんが十位になっていた。僕達四人の中で最下位は僕になってしまった。しかもあの小川君はまたまた一位を取ってしまった。小川君の絵を見てみると、凄い引き込まれるような完璧な絵だと圧巻される。
そんな小川君とお近づきになりたいと思って、小川君に声をかけてみた。
「小川君、相変わらず君の絵は凄いね」
すると小川君は顔を真っ赤にして、どこかに行ってしまった。
僕と小川君のやりとりを見ていた奈々子さんが「無愛想な子ね、返事ぐらいはすれば良いのに」
「まあ、小川君は知的障害者って聞いたから、何か僕を警戒してしまったのかもしれない」
「知的障害の子って幼少の頃からいじめに遭うって言うけれど、それは本当の事かもしれないわね」
知的障害を負っている人はいじめられるか、僕もいじめに遭っていたから小川君が警戒する気持ちも分かるかもしれない。でも小川君はいじめられたのだろうか分からないが照れたのかもしれない。まあ、あんな顔を真っ赤にして逃げていったのだからそうなのかもしれない。
終わった頃にはお昼を過ぎていた。今日はクロッキーをやって終わることになった。帰るとき小川君はもうすでにいなかった。
しかも学校は秋葉原にあるんだよな。秋葉原の町はおいしい店がたくさんある。僕達は秋葉原にある豚山と言うラーメン屋さんに並んだ。
そこは行列が出来ていて、何かその行列に引き込まれて僕達は入った。小川君か、お近づきになりたいと思ったけれど、そうは行かないみたいだ。それとコンクールに演奏する曲のことで僕はいっぱいだった。
鞄から僕が描いた譜面を見ると、やっぱり何かが足りないと思っている。本当にこんなんでコンクール優勝なんて出来ないよ。と僕は思っている。そして豚山に入るとそこも油が凄くて、店員さんに油はどれくらいにしますと聞かれて、僕達はごっつの二の前にならないように、油少なめにした。それに分量も半端じゃない。こんなに食べられるのかと思うほどの量だ。
僕達は思いきって食べた。全部食べ終わったときにはもうお腹いっぱいで曲どころではなく、もう何も考えられないほど満腹になっていた。そう言えば、少なめでも普通のラーメン屋さんでも大盛りぐらいの量だと言われたっけ。それに僕達はニンニクを入れて、今はニンニク臭い。とにかくバス停まで行くのに凄く時間がかかってしまった。
豚山かあ、おいしいところだったけれど、量が半端じゃないだったら少なめにして貰うべきだったかもしれない。本当に秋葉原は不思議な町だ。
そして僕達はヘロヘロになりながらバス停に到着して、到着すると丁度バスが来ていた。ここから家までバスで四十分はかかってしまうんだよな。
とにかくバスの中で座って、お年寄りに席を譲る余裕もないほど、満腹で気持ちが悪かった。でも豚山おいしかったよ。でも量が半端じゃない。
僕と涼子さん家の最寄りに到着して、僕達は落ち着いて、早速僕は曲を編曲に専念するために図書館に向かった。外から光さんの姿が見えて、光さんは忙しそうに仕事をしている。光さんも加わって欲しい思ったが、忙しそうなので、僕達四人だけで音楽に専念することになった。
スタジオに入ると、早速涼子さんが激しくドラムを叩いていた。何か心に来る音色だった。早速ウォーミングアップのためにXJapanの紅を演奏する。他人のバンドのコピーをする事は簡単だ。でも曲を作ることに僕はX JAPANの紅を作ったヨシキは凄いと思う。激しく演奏しているようだがXJapanの紅はあまり難しくない。
ウォーミングアップも終わったことだし僕は早速アコースティックギターを持ちながら曲を書いていた。
だが何が足りないのかは全然分からなかった。とにかく僕は分からないので、みんなにアドリブで弾いて貰うことにした。何か首元までは答えが出ているんだろうけれど、もう少しもう少し・・・・・。
でも分からなかった、これではコンクールの第一次審査で落ちてしまうだろう。本当にどうすれば良いのか今の僕には分からなかった。




