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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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いよいよ始まったスクーリング

 朝、目が覚めると午前三時を示している。今日は僕が朝ご飯を作ろうとしたが、奈々子さんが僕達に朝ご飯を作ってくれていた。メニューはトーストを縁にマヨネーズをかけてその真ん中に卵をのせて電子レンジでチンしてしまえば出来上がり。僕達は奈々子さんが作ってくれた朝ご飯を食べて新聞配達に向かった。


 今日は新聞配達の仕事が終わったら即にスクーリングだ。スクーリングでは何が待ち受けているのか僕達はワクワクしていた。


 新聞配達の仕事では今日は僕と奈々子さんが組み、もう一方は涼子さんと斎藤さんが組むことになっていた。


「今日からスクーリングだね奈々子さん」


「そうね、あの高岡って言う先生はあたし達に『お前達絶対に絵で飯が食えるようにしてやるからな!』って豪語していたけれど、いったいどんな授業が始まるんだろうね」


「本当に熱い先生だったよね」


「それよりもアツジ、新聞配達の仕事に専念してよね。あんたがいつもあたし達の足を引っ張っているんだからね」


「分かりましたよ奈々子さん」


 そう言って僕と奈々子さんは本気で新聞配達の仕事をこなした。


 帰ってきたときには涼子さんと斎藤さんがすでに到着していた。


「本当にアツジと新聞配達の仕事を組むと負けるってジンクスは本当のようね」


 と奈々子さんは怒っていた。


「昨日は涼子さんと組んで勝ったじゃないか」


「涼子も翔子も新聞配達の達人になっているのよ。そんな達人達に話なんてしている暇なんてないのよ」


「ごめんなさい」と謝るしかない僕であった。


 さて今日はスクーリングの日だ。どんな授業が待っているのか僕達は楽しみであった。

 スクーリングに行く前に時間は二時間程度ある。その間に僕達は絵を描いていた。僕は斎藤さんと奈々子さんと光さんと桃子の絵をアニメチックにアレンジして描いていた。


「アツジ、それってあたし達?」


「うん。みんなの絵をアニメチックに描いていたんだ」


 涼子さんも斎藤さんも僕の絵に興味を持ち、僕みたいにうまくなりたいと思っていたみたいだ。


 僕達は小説家兼絵師の夢を見ている。それに僕達が描く小説はライトノベルみたいな感じだ。そうだ僕達はライトノベルのような絵を描いてみたいと思っているのだ。


 もっと四人で絵を描いてみたいが、そろそろ時間だ。僕達はそれぞれのアイパットを持って学校に向かった。


 学校はバスで四十分、僕達はバスに乗って学校へと向かっていった。


 学校は廃校になった校舎をリフォームして作られている。でもリフォームしたからと言って綺麗になったわけではなく、まだ外観はボロいままだ。仕方がない安い通信制の高校に通うのだからそんなもんなんだろうなと僕達は思った。


 学校に入ると、上履きを持ってきたのだが、土足でも大丈夫みたいだ。リフォームしたからと言って内装もかなりボロかった。


 教室に入ると、僕達はみんな同じクラスで何枚か版が並べてあった。


 生徒達はまともな人もいたが、障害を持っている人もいた。僕は知っている障害を持った人は何かに没頭しすぎてもしかしたら、僕達よりも絵がうまいのかもしれないと。


 版に向かい合わせに座らされて、僕と涼子さんは向かい合って、奈々子さんと涼子さんも向かい合って勉強することになった。


 そしてあの熱い高岡先生がやってきた。


「おはよう。諸君。君達のレポートを見せて貰ったよ。みんなそれぞれ個性があるのは当たり前だが、俺はそれでいいと思っている。ここは美術を習う所だからな。そう言えば西宮と斎藤と長谷川と東雲のようにパソコンで絵を描いて良いと思っている」


 僕達はそれを聞いて安心した。続けて高岡先生は、「だがパソコンで絵が描けるからと言って一番になった訳じゃない。この絵を見て見ろ」


 高岡先生が言う絵を見てみると、それはものすごく印象に残る絵だった。絵の具で描かれた絵だったがそれはもう芸術の範疇に匹敵するぐらいの絵であった。


 これを描いたのは知的障害を持つ小川君だった。これはまさしく才能だ。僕達にそれほどうまく印象的な絵を描く力は今はない。でも僕達も才能がないわけじゃないと思っている。


 そこで僕達は燃えたわけだ。知的障害を持つ小川君の絵を超えるような絵を描いてみせると。小川君は見るからに知的障害を持ったような雰囲気であった。高岡先生は小川君のことを賞賛していた。


 それで今日初めてのスクーリングは並べられた版にモデルの女性を呼んで、その自画像を描くことだった。モデルの女性は美人でりりしい顔立ちをしている。


 早速鉛筆で女性の自画像を描くことになった。どうやら絵は勉強と違って、やればやるほど出来るわけではない。でも考えることは出来る。そうだ。考えるのだ。あの女性をどのようにしたら、レオナルドダビンチのモナリザのような絵が描けるのだろうか?


 絵の具は使わずに鉛筆だけのデッサンだ。何か僕は小川君の絵を見て燃えてきたんだな。僕に小川君を超えるような才能を持っているかもしれない。でも聞いたことがあるがまともな感覚からでは絵は描けないと僕は知っている。


 まともじゃない感覚って何なんだろう?お馬鹿になれと言うのか?僕の方からは女性は横から見える。そんな女性を見ていると何か恋心を抱いてしまう。そうだ。それがまともじゃない感覚なのかもしれない。僕はあの女性の事を涼子さんだと思って書いてみると、自分で言うのも何だがうまく描けるような気がしてきた。


 高岡先生は言う「おい。お前ら、とにかく書くことよりも見る方に時間をかけて書くのだぞ」と。


 そうだ。あの女性を書くことよりも見る方に時間を費やした方がうまく描ける。


 本当にモデルだけあってあの女性は綺麗な人だな。一目惚れと言うのか、何かあの女性をもっとうまく描こうと僕はよく見て、描いた。女性は白いワンピースを着ている。それもチャームポイントになっている。


 そうだ。その調子だ。その恋心を抱きながら女性を描けば良い。そして三十分くらいで出来上がったが、まだ残り三十分は残っている。だったらあの女性に相応しい花の絵を付け足してあげたいと思ったが、それはいけないだろう。とにかく残り三十分、もっと女性を綺麗に描くことに専念していた。


 もっと綺麗に描いてみせる。女性は僕の横から微動だにしないように横を向いたままだ。 さすがはモデルだ。モデルの女性はどんな過去を送ってきたのか気になってきた。

 彼女の横顔は儚げで麗しく見える。そんな彼女も描いていた。

 凄く儚げで凄く繊細そうな彼女であった。何か僕と付き合っている涼子さんのように見える。


 そして時間になってしまった。これからキャンバスを集めて、評価の高い順から並べられると言っている。僕は何位なのか分からないが、とにかく全力を尽くした。あのモデルの儚げな女性はいつの間にいなくなっていった。


 僕は彼女の事が気になっていたのだ。


 それで休憩時間に僕達四人は廊下に集まり話し合っていた。


「ねえ、あの女性見た?何か儚げで意外な過去を持つような女性に見えたんだけど」


「涼子さんもそう思う?僕もそれを感じていたよ。まるでもう一人の涼子さんだと思ったよ」


「何々?もう一人の私ってどういう事よ」


 ちょっと憤りを感じている涼子さん。僕は焦って「別に深いわけがあるわけじゃないんだ。ただ僕も涼子さんと同じように感じただけなんだよね」


「なるほど、そういう事かあ」


 そこで奈々子さんが「そろそろ順位が発表される時間になってきたよ」と言って並べられた僕達が描いたキャンパスが順位ごとに並べられている。僕は何位なのだろう?

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― 新着の感想 ―
[良い点]  アツジくん、人から刺激を受けるのはいいことだけど、少し人のことを気にしすぎていて心配です。  奈々子さん、新聞配達時に怒ってます。機嫌のいいサインのようです。   [一言]  劇中でみん…
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